宮沢りえさん(52)「自分に満足できない性格なんです」25年以上続く迷いの現在地
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「このままでいいのかな」。仕事、結婚、出産、これからの生き方。選択肢が増えた今だからこそ、ふと立ち止まってしまう瞬間は、誰にでも訪れます。長く表現の第一線に立ち続けてきた宮沢りえさんも、その問いを今も抱えながら歩んできた一人。悩み続けること、逃げなかった選択、そして49歳から始めた新しい挑戦。迷いながらも前に進みたいと願うCLASSY.世代に向けて、宮沢さんの言葉は、「今の自分でいい」と、そっと背中を押してくれます。
Profile
1973年東京都生まれ。映画・舞台・テレビドラマなど幅広く活躍。映画『たそがれ清兵衛』をはじめ数々の作品で高い評価を受け、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞などを受賞。舞台作品にも精力的に取り組み、表現の幅をさらに広げている。俳優としての活動に加え、新事務所「MOSS」を立ち上げ、新たなステージにも挑戦している。
満足した時点で、成長は止まってしまう気がするんです
――『CLASSY.』の読者は25〜35歳の働く女性です。結婚する・しない、子どもを産む・産まない、仕事を続ける・辞める……と選択肢が多いからこそ迷う世代でもあります。宮沢さんご自身がアラサーの頃を振り返ったとき、「このままでいいのかな」と立ち止まったのは、どんな時期でしたか?
その問いは、ずっと持ち続けていますね。「このままでいいのかな」って。自分に満足できない病というか(笑)、今やっていることが本当にいいのかどうかは、常に考えてしまうんです。お芝居をしていても、「もっといい方法があるんじゃないか」と思いますし、今も壁にぶつかります。だから、25歳から30歳くらいの頃に感じていた悩みと、今抱えている悩みって、根っこはそんなに変わっていない気がします。「このままでいいのか」という問いは、私はあったほうがいいと思う。満足してしまった時点で、成長は止まってしまう気がするんですよね。
成長って、身長が伸びるみたいなことだけじゃなくて、人や作品との出会いによって気づきが生まれることも含めたものだと思います。年齢によって悩みの形は変わるけれど、結局は“悩むこと”とどう付き合っていくか。その繰り返しなのかな、と。
――宮沢さんは29歳のとき、『たそがれ清兵衛』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞されています。あの経験は、ご自身の中で自信や支えになっている部分はありますか?
もちろん、嬉しかったです。あの賞は、山田洋次監督と出会い、あの作品に出会えたからこそいただけたものだと思っています。演じたことを評価していただけたのは、本当に幸せでした。ただ、「賞をいただいたこと」が今の自分を助けてくれるかというと、そうではないんです。ご褒美としてはありがたく受け止めていますが、それが今の自分の強みになっているかと言われると、実際は違う。結局、目の前の作品にどう向き合うかは、毎回ゼロから。そこは今も変わらないですね。
逃げ出さなかったほうが、得られるものが大きい
――はたから見ると、10代から主演に抜擢され、常にプレッシャーと向き合ってこられた印象があります。心が折れそうになったり、「つらい」と感じたとき、宮沢さんご自身を支えてきた原動力は何でしょうか?
うーん…「逃げ出さなかったほうが、得られるものが大きい」と思うことですね。これまでの経験の中で、逃げずに向き合ったからこそ辿り着けた場所が、確かにあったからだと思います。怖くても踏みとどまった先には、必ず何かしら得られるものがある。私はそう信じています。ただ、これを読んでくださっている方の状況は本当にそれぞれ違うので、すべてをそのまま受け止めなくてもいいとも思っています。我慢しなくていい場所もあるし、一概には言えないですよね。
でも、仕事のこと、そして「本当にやりたい仕事」で壁にぶつかったときは、怖くても逃げずに向き合ったほうがいい。私自身も、もちろん怖いです。でも、その先には必ず手にできるものがあると思っています。とはいえ、怠けたいときは怠けていい(笑)。オンとオフを自分の中でちゃんとつくって、楽しいことを“ご褒美”にしながら、またプレッシャーに向かっていく。結局は、その繰り返しなのかなと思います。
――宮沢さんにとって、オフの時間や“ご褒美”はどんなものですか?
旅行ですね。この作品が終わったらどこに行こうかな、と考えて、ホテルを予約したり、飛行機を選んだりする時間がすごく好きなんです。以前、真冬の12月に“沼に入っていく”シーンを撮影したことがあって、「大変なシーンだったな」と今でも印象に残っています(笑)。でも、そのときも年末年始の旅行を思い浮かべたら、「よし、頑張ろう」って思えた。
旅は、ずっと私の原動力ですね。あとは、友達と美味しいご飯を食べに行くこと。そこはたぶん、皆さんと同じかもしれないです。
外見面のアップデートは、「まず血流を良くすること」
――長く第一線で活躍されてきた中で、ご自身をアップデートするために、外見面で意識していることはありますか?
外見で言うと、私はまず「血流を良くしよう」と思っています。血液って、心臓が一生懸命送り出してくれているじゃないですか。心臓って本当に偉いなと思うんですけど(笑)。その心臓のためにも、自分で血流を良くすることを意識しています。その延長で、体を整える、という感覚ですね。
舞台に立つのは本当に体力勝負なので、重たいウェイトを持ち上げなくても、全身を使うし、体幹はとても大事だと思っています。発声もそうですが、“物語を背負って立つ”ためには、ただ立っているだけでも全身に神経が行き届いていないといけない。特に舞台は360度、常にその役として存在し続けるので、舞台に立つこと自体が体幹トレーニングみたいなところもありますね。ただ、舞台が終わると本当にぐにゃぐにゃになります。「これはいけないな」と思って、そこでまたトレーニングを始めたりするんです。でも実は、私、意外と怠け者で。全然ストイックじゃないんです。ストイックなのは、仕事のときだけですね。
49歳からでも、新しいことは始められる
――逆に、プライベートでは「ここは怠けがちだな」と思う部分はありますか?
「週2でピラティスに行く」とか聞くと、本当にすごいなと思います。私の場合は、友達と会うと「予約しなきゃ」って言っているのに、気づいたら次の舞台が始まっていて…みたいな(笑)。でも、緊張する体と緩める体、そのバランスは意外と悪くないのかもしれません。
――一方で、無理に頑張らなくても、自然と夢中になってしまうことはありますか?
49歳で、スノーボードを始めました。撮影でニセコに行ったとき、たまたま時間が空いて。スタッフに勧められて、軽い気持ちで挑戦したのがきっかけでした。最初は「無理無理無理!」って、正直かなり拒否していたんです(笑)。「できないことに挑戦するほうが面白いよ」って言われても、それって“できる側の人の言葉でしょ”って思って。でも、なんだか悔しくて、「じゃあ、やってみようかな」って。
案の定、最初は全然できなくて、ずっと転んでばかり。それでも最後に、「あ、今転ばなかったかも」っていう瞬間があって、それがすごく嬉しかったんです。練習すれば少しずつできることが増えていく。その積み重ねが、思っていた以上に楽しくて。40代になると、気持ちは自然と顔に出る気がします。だからこそ、何かに夢中になっている人は、やっぱり楽しそうに見える。できなかったことが、続けるうちにできるようになる。その感覚は、スノーボードでも仕事でも同じですね。──結局、「継続は力なり」ですね(笑)。
Information
パルコ・プロデュース2026『メアリー・ステュアート』
時代に翻弄されながらも自らの人生を生き抜こうとしたメアリー・ステュアートと、君主として生きることを選んだエリザベスⅠ世。相反する選択をした二人の女王の対峙を通して、「何を選び、どう生きるのか」という普遍的な問いが浮かび上がる。演出は 栗山民也。メアリー役に 宮沢りえ、エリザベスⅠ世役に 若村麻由美。実力派キャストが描く王室悲劇。
東京公演 2026年4月8日(水)~5月1日(金)@PARCO劇場
福岡公演 2026年5月9日(土)~5月10日(日)@J:COM北九州芸術劇場
兵庫公演 2026年5月14日(木)~5月17日(日)@兵庫県立芸術文化センター
愛知公演 2026年5月21日(木)~5月23日(土)@穂の国とよはし芸術劇場PLAT
北海道公演 2026年5月30日(土)~5月31日(日)@カナモトホール(札幌市民ホール)
ワンピース、ブラウス、シューズ、ピアス/すべて参考商品(すべてボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)
【SHOP LIST】 ボッテガ・ヴェネタ ジャパン 0120-60-1966
撮影/HAL KUZUYA ヘアメーク/菊地美香子 ( TRON ) スタイリング/佐々木敬子(AGENCE HRATA) 取材/池田鉄平 編集/越知恭子