元気な老後を過ごすために40代50代から始めたい【フレイル】対策って?5つの方法[医師監修]

疲れやすさや気力の低下を感じることはありませんか? 以前は難なくこなせていたことに時間がかかったり、外出が億劫に感じたりする場合、「フレイル」になり始めているのかもしれません。フレイルは早めに気づき、生活習慣を整えることで改善が期待できます。原因やセルフケアを紹介します。

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1.フレイルって?

フレイルとは、加齢に伴い心身の活力が低下し、老い衰えた状態のことです。健康な状態と、日常生活で手助けが必要な「要介護状態」の中間地点に位置しており、ケガや病気などのきっかけで要介護状態になる可能性があります。
フレイルには、大きく分けて身体的フレイル・精神心理的フレイル・社会的フレイルの3つの要素があります。
身体的フレイルは身体の衰えのことで、筋肉量が低下するサルコペニアや、筋肉や骨などが衰えて立つ・歩くなどに支障が出るロコモティブシンドロームなどが代表的です。
精神心理的フレイルは、定年退職やパートナーとの死別などによるうつ状態や意欲の低下、認知機能の低下など、精神的に虚弱になっている状態のことです。
社会的フレイルは引きこもりや孤立など、社会とのつながりが希薄になることを指します。
高齢者に限らず40代や50代であっても、フレイルやフレイルの前段階の「プレフレイル」になっていることがあるため、いつまでも健康的に過ごすためには早くから対策を始めることが重要です。

2.フレイルが進行する原因

フレイルが進行する背景には、加齢による変化だけでなく、日々の生活習慣や環境が大きく関わっていることも。
例えば、運動不足によって筋肉量が減少すると、筋力が低下して身体機能の衰えを招きます。また、活動量が低下すると空腹を感じにくくなって食欲が低下する場合もあります。偏った食事を続けたりしている場合は、低栄養の状態に陥りかねません。
低栄養の状態になると、疲れやすさや意欲の低下などにつながり、外出したり他者と交流したりするのも億劫に感じて社会とのつながりが薄くなることがあります。これにより、さらに活動量が低下して食事量が減るという悪循環を生み出すのです。
この悪循環を「フレイルサイクル」といい、放置するとフレイルが進行して要介護状態に陥る可能性が高まります。

3.あなたは当てはまる?フレイルのサイン

「まだ若いから大丈夫」と思っていても、実はフレイルに近づいている可能性があります。以下のようなサインが見られたら、フレイルが始まっている、あるいはプレフレイルかもしれません。

□体重が減少した

□以前より疲れやすくなった

□歩くのが遅くなった

□握力が弱くなった

□食事中にむせやすくなった

□食欲がわかなくなった

これらの変化に気づいたら、フレイル対策の始めどき。気づいた時点で生活習慣を整えることで、健やかな状態へと戻る可能性があります。

4.フレイルを防ぐセルフケア

フレイルは生活習慣を見直すことで改善できます。フレイルを防ぐために取り入れたいセルフケアを紹介します。

①栄養バランスのいい食事を心がける

フレイルを予防するには、食生活を見直して栄養不足を防ぐことが大切。特に意識したいのが、たんぱく質やビタミンDなどの筋肉や骨の健康を保つために必要な栄養素です。たんぱく質やビタミンDをしっかりとることで、筋肉量の減少や骨密度の低下を防ぎます。
また、過度なダイエットや欠食による栄養不足にも注意が必要です。毎日3食とることを意識し、調理がおっくうな場合は缶詰や冷凍食品など簡単に調理できるものを活用して欠食を防ぎましょう。

②適度に体を動かす

適度に体を動かして筋肉量の低下を防ぐことも、フレイル予防につながります。
ウォーキングやジョギングなどの運動を習慣にするほか、日常生活の中で無理なく体を動かすことを意識しましょう。通勤時に少し遠回りをして歩く距離を伸ばす、エスカレーターではなく階段を使う、テレビを見ながらストレッチをするなどが効果的です。
ただし、すでに筋力が低下している場合、いきなり激しい運動をすると転倒などでケガをする可能性があるため無理は禁物です。簡単なストレッチなど、無理なくできることから始めましょう。

③感染症予防をする

フレイル対策として意外に見落としがちなのが感染症対策です。
免疫機能が低下しているとインフルエンザや肺炎などの感染症にかかりやすくなります。これらをきっかけに入院して寝ている期間が長くなると、一気に筋力が落ちてフレイルが加速したり、そのまま寝たきりになったりすることがあります。
そのため、手洗い・うがいや換気、ワクチンの接種といった基本的な感染症予防を習慣にすることが大切です。十分な睡眠をとり、規則正しい生活を送ることで免疫機能を高めていきましょう。

④積極的に社会参加する

積極的に社会参加して社会とのつながりを維持することは、意欲低下の防止につながります。趣味のサークルや地域のボランティアに参加したり、町内会などの自治組織の活動に参加したりして、積極的に社会と関わる機会を作りましょう。
友人や家族と会って食事や会話を楽しむのも効果的。人や社会とのつながりを持ち続けることは、心身の健康を保つことにつながります。

⑤漢方薬を活用する

心身の健康を保つために、体質改善を目指す漢方薬を活用するのもおすすめです。漢方薬は心と体全体のバランスを整えることで不調にアプローチするため、西洋医学では明確な病名がつかないような不調に悩む方にも取り入れられています。
フレイル対策では「胃腸の機能を高めて体力を回復する」「血行を良くして体全体に栄養を届ける」「自律神経を整える」などの働きがある漢方薬を選びましょう。

<フレイル対策におすすめの漢方薬>

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸の機能を改善して栄養効率を高め、気力や体力を充実させる漢方薬です。胃腸虚弱で疲れやすい人に向いています。

・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
気力や体力を補って血行を良くし、体の隅々まで栄養を届けて体力低下、疲労、倦怠感を改善する漢方薬です。貧血気味で疲れやすい人に向いています。

他にも、足腰の衰えに効果的な「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」や栄養状態を改善する「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」などもおすすめです。漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談し、体や心の状態、体質に合わせて自分に合う漢方薬を選びましょう。

【フレイルに関するQ&A】

Q.フレイル状態になるとどのような影響がありますか?

フレイルの状態になると、健康な人に比べて病気にかかりやすくなったり転倒して骨折したりするリスクが高まります。また、病気の重症化や骨折などで入院して体を動かす機会が減り筋力が低下すると、要介護状態や寝たきりになる可能性も高くなるため注意が必要です。

Q.フレイルは何歳頃から注意が必要ですか?

フレイルは60代以降でなりやすくなりますが、その原因となる筋肉の衰えや活動量の低下などには、それまでの生活習慣の積み重ねが大きく影響しています。そのため、40代・50代の頃から、食事や運動、社会参加を意識し、自分の健康状態に関心を持つことが重要です。

Q.フレイルになった場合改善できますか?

フレイルは健康な状態と要介護の中間の状態であり、可逆性(元に戻る性質)を持っています。早期に気付き、栄養バランスの良い食事や適切な運動、社会参加などの対策を行うことで、健康に近い状態に戻ったり、要介護状態への進行を防いだりすることが期待できます。

<参考文献>

※1 公益社団法人東京都医師会「フレイル予防」

※2 公益財団法人長寿科学振興財団健康長寿ネット「フレイルの原因」

教えてくれたのは…医師 木村 眞樹子さん

都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。

編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか

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美ST