黒島結菜さん×北川景子さん対談 「子ども達にもこんないい先生に出会って欲しい」~心に残る先生との記憶
イヤミスの女王・湊かなえさん原作の映画『未来」で、黒島結菜さんは教師、
北川景子さんは生徒の母親役として共演したお二人。
映画を通して、そして自身の経験から、
子ども時代に先生から受ける影響の大きさについて、改めて感じることがあったよう。
そこで、心に残る先生にまつわるエピソードをたっぷりと語っていただきました!
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イヤミスの女王・湊かなえさんが流した涙にキュン
北川 今回の映画『未来』は、湊かなえさんの小説が原作ですが、私、湊かなえさんが大好きで。
この小説が出た8年前に、夢中になって読んだのを覚えています。
黒島 湊さん、最初の試写に来てくださって、映画を観終わった後に涙を流しながら
「ありがとうございます」と言ってくださったんです。嬉しかったですね。
北川 いざ、「好きな小説」という記憶で脚本を読み進めていくと、実際は結構ヘビーな作品でしたね(笑)。私が演じた文乃は、大きなショックを受けて基本壊れてしまっているはかなげな女性。
そんな女性を演じるのが難しくて、脚本にはなかったのですが、原作に「ショックなことがあると
お人形さんみたいに目がビー玉みたいになる」とあったのを覚えていて、それをヒントに演じていましたね。
それでも、私は生身の人間なので「どうやったらビー玉みたいな目になるんだろう……」と、
頭を悩ませていました。
黒島 私は、先生役だったのですが、生徒や生徒の母親との距離感が難しかったですね。
親から虐待を受ける生徒に、おせっかいなくらい関わっていくのですが、今の時代、
どこまでプライベートに踏み込んでいいのだろう……?って。子供たちに手を差し伸べたい、
という思いを持ちながら、どこか距離感は意識していました。
北川 それに加えて、瀬々敬久監督から「もう1回!」と何回も優しく声がかって。
黒島 私も、瀬々監督とご一緒するのは2回目なのですが、演技に関して細かいことは言おっしゃらない
ものの、拘るところはとことんなので、集中力を切らさないようにするのが大変でした。
北川 でも、振り返ってみると、私が最も難しかったのは、演じる役と私自身とのギャップ。
どんなにはかなげな女性を演じようとも、私生活ではすごく逞しく生きていますから(笑)。
ONとOFFの人格の切り替えが最も難しかったかもしれませんね。
子供時代の先生との記憶が、今の「私」を作っている
黒島 それにしても、子どもの頃に先生から受ける影響は、大きいですよね。
北川 自分自身の経験からもそう思うし、子供を持ってなおさらそう思いますね。
黒島 私自身、先生にはすごく恵まれていて。今でも、先生と連絡を取ることもあるんです。
それぞれの先生との思い出も、心に残っていますね。例えば、小学校の時の先生は、
「”できる””できない”じゃない、”やる”か”やらない”かだ」と口癖のように毎日言っていたんです。
それで、小学校の時にそのスピリッツを叩き込まれました。私が、「何でもやってみよう」と
思って挑戦できるのは、きっとその時の先生のおかげだなと思います。
北川 私も結構先生が好きでした。
心に残っているのは、小学校の2年生の時の先生。
阪神大災で被災をして、香川県に住む祖母の家から学校に通った時期があったんです。
カリキュラムが違ったのか、科目によっては全然まだ習っていないところだったり、
逆に既に習ったところと重複してしまったりと、勉強がうまくいかなかった時期があったんです。
7歳とか8歳だと、違う小学校に行くというだけで、ちょっとアウェイに感じてもいました。
そんな時に、当時の香川の担任の先生が、よく家庭を訪問してくれたんですね。
そう、今回の黒島さんが演じた真唯子先生みたいな感じでよく気にかけてくれたんです。
疎開が終わって、また神戸に帰るという時は、先生が声掛けをしてくれたようで、
クラス全員からの寄せ書きをもらいました。
すごい温かく見守ってくださった先生でした。
黒島 私も似たような経験があります。
私は高校の時にちょうどこの仕事を始めて、生まれ育った沖縄から東京へと通うようになったんです。
それで、東京での仕事を終えて沖縄での学校生活に戻ると、授業も遅れているし、友達との関わりも
ちょっとずつ減って、それを先生が気にかけてよく声をかけてくれました。忙しさのあまり疲れが出て
授業中に寝てしまった時は、厳しく言われることもありましたが、その一方で私が高校生活を気持ちよく
送れるようにと気を配ってくれていました。
北川 今思い返すと、小学校時代の先生はきっと20代後半くらいで若かった。
今の私より全然若いのに、しっかりしていて温かかったですね。
子供を持ってからは、なおさらその先生のことを折に触れて思い出したりします。
子ども達も、そんな温かい先生に巡り会えたらいいな、って。
黒島 私は、今でも沖縄に帰ると、高校時代の仲良かったメンバーでゴハンに行ったり呑みに
行ったりするのですが、そんな関係を保ち続けられるのも、当時の先生のおかげだと思うんです。
その証に、友人の結婚式で沖縄に戻ると、決まってその先生も招待されていて(笑)。
「久しぶり!」なんて、よく顔を合わせるんです。
私は、先生に恵まれましたね。それが、今の私に繋がっているのだと思います。
Yuina Kurosima
1997年生まれ。沖縄出身。
2013年に『ひまわり~沖縄は忘れない~』で映画初出演。『カツベン!』で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞する。その後、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」(22)ではヒロインを務めた。主な出演作に『十二人の死にたい子どもたち』(19)、『明け方の若者たち』(21)、『鋼の錬金術師』シリーズ、『シルバニアファミリーフレアからのおくりもの』(23/声の出演)、『パレード』『夏目アラタの結婚』(共に24)、『港のひかり』(25)など。瀬々監督作品の出演は『ストレイヤーズ・クロニクル』(15)以来、2作目となる。
Keiko Kitagawa
1986年生まれ、兵庫出身。
2003年、ドラマ「美少女戦士セーラームーン」(TBS)で女優デビュー。以降、『パラダイス・キス』(11)、『抱きしめたいー真実の物語―』(14)、『君の膵臓をたべたい』(17)、『スマホを落としただけなのに』(18)、『約束のネバーランド』(20)、『キネマの神様』(21)など、数々の作品で主演・ヒロインを務める。最新主演作『ナイトフラワー』(25)では、第50回報知映画賞主演女優賞を受賞。瀬々監督作品への出演は『ラーゲリより愛を込めて』(22)に続いて2作目となる。
『未来』
出演:黒島結菜
山﨑七海 坂東龍汰 細田佳央太 近藤華 松坂桃李 北川景子
原作:湊かなえ『未来』(双葉文庫)
監督:瀬々敬久
複雑な家庭環境で育ちながらも、教師になる夢を叶えた真唯子。彼女の教え子・章子のもとにある日、一通の手紙が届く。差出人は――「2年後のわたし」。返事を書くことで、父の死や、心を閉ざした母との孤独な日々に耐えていた章子だが、母の恋人からの暴力、いじめ、そして信じられない事実に追い詰められていく。絶望の果て、禁断の計画を立てる章子。そんな章子を救おうとする真唯子は、社会の理不尽さに押しつぶされそうになりながら、それでも手を差し伸べようとするが……。 自身初の映画化作品『告白』が大ヒットを記録した作家・湊かなえが、デビュー10周年に発表した渾身の傑作ミステリーを、『ラーゲリより愛を込めて』『譲られなかった者たちへ』の瀬々敬久監督が映画化。
撮影/西崎博哉(MOUATACHE) ヘアメイク/ナライユミ<黒島さん>、SAKURA(makiura office)<北川さん>
スタイリスト/伊藤省吾<黒島さん>、多木成美<北川さん> 取材・構成/河合由樹