「動悸で目が覚める…」のは深刻な病気のせい?原因とセルフケア5選[医師監修]

夜中に突然胸がドキドキして目が覚めたり、寝起きに動悸がしたりして不安になったことはありませんか?  睡眠中の動悸は、疲れやストレスなどが関係することもあれば、病気が隠れているケースも。主な原因や日常生活でできるセルフケアを紹介します。

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1.睡眠中に動悸が起こる原因とは?

睡眠中の動悸は自律神経の乱れや生活習慣の影響を受けて起こっていると考えられます。それぞれ具体的に見てみましょう。

①自律神経の乱れ

自律神経は体を活動モードにする交感神経と休息モードにする副交感神経の2つからなり、血圧や呼吸など体のさまざまな機能をコントロールしています。
通常、睡眠時には副交感神経が優位になりますが、ストレスや疲労が重なると副交感神経と交感神経がうまく切り替わらず、交感神経が高ぶったままになるのです。交感神経は心拍数や血圧を上げる働きがあるため、自律神経が乱れていると眠りの途中で胸の鼓動を強く感じることがあります。
特に、寝る直前まで仕事や家事の段取りを考えていたり気持ちが張りつめたまま布団に入ったりすると、体が「まだ活動中」と認識してなかなか休まりません。

②生活習慣の影響

就寝前のカフェインやアルコールも、睡眠中の動悸に関係することがあります。カフェインは交感神経を刺激するため、夕方以降にコーヒーや緑茶などのカフェインを多く含む飲み物を飲んでいると、眠りに影響したり睡眠中の心拍数が増加したりする場合があります。
また、アルコールは高血圧や不整脈などを引き起こし、動悸につながる要因の一つ。お酒を飲むと寝つきがよくなったように感じる一方で、深い睡眠を減らして中途覚醒を増やすなど、睡眠の質の低下も招きます。

2.睡眠中の動悸は病気の影響?

睡眠中の動悸には、狭心症や不整脈など心臓の病気が関係していることも。狭心症は動脈硬化などによって心臓の血管が狭くなり、ストレスなどの負荷がかかることで心臓の痛みや圧迫感、動悸などが起こる病気です。一方、不整脈では脈が速くなったり乱れたりして、強い動悸、息切れ、めまいなどを伴う場合があります。
また、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする睡眠時無呼吸症候群でも、血液中の酸素が不足して動悸につながることがあります。いびきが大きい、日中の眠気が強い、起床時に疲れが残るなどの場合は注意が必要です。
胸の痛みや圧迫感、冷や汗、失神しそうな感じを伴う動悸が起こる場合は病気の可能性が考えられるため、早めに医療機関へ相談しましょう。

3.睡眠中の動悸に悩んでいるなら試したいセルフケア

病気のサインがないけれど睡眠中に動悸が起こるという場合は、夜の過ごし方を見直すことで改善できる可能性があります。今日からできるセルフケアを紹介します。

①就寝前にリラックスタイムを設ける

就寝前にリラックスタイムを設け、心身の緊張を緩めましょう。
例えば、寝床でのデジタル機器の使用は夜ふかしや睡眠不足につながりやすく、強い光は入眠を妨げることがあります。寝る前は、スマホやタブレットを手放す時間を作りましょう。
また、照明を少し落とし、静かな音楽を聴く、読書をする、温かい飲み物を飲むなどゆっくりと過ごすのも効果的。仕事や家事の心配ごとがある場合は、気持ちを紙に書き出したりスケジュールを整理したりして頭の中の考えごとを一旦頭の外に出すと、気持ちを落ち着かせるのに役立ちます。

②瞑想をする

瞑想で呼吸やいまこの瞬間に意識を向け、心身を落ち着かせるのも効果的。瞑想というと難しいイメージがあるかもしれませんが、布団に入る前にいすに座って目を軽く閉じ、呼吸に意識を向けるだけでも十分です。
最初は数分から始め、慣れてきたら少しずつ時間を延ばしましょう。途中で考えごとが浮かんでも、失敗ではありません。考えごとが浮かんでいることに気づいたら呼吸へ意識を戻すことを繰り返すと、心身の緊張をゆるめることにつながります。

③ストレッチをする

筋肉をゆっくり伸ばすストレッチは、筋肉の緊張をゆるめて血行を促し、心身のリラックスに役立ちます。寝る前は激しい運動ではなく、首や肩、背中、股関節周りを呼吸に合わせてやさしく伸ばす程度にしましょう。
反動をつけず、痛気持ちいいくらいのところで止めるのがポイント。肩や背中などの筋肉のこわばりがほどけると、深い呼吸がしやすくなり、自律神経を整えることにもつながります。

④ツボ押しをする

動悸の改善にはツボ押しも効果的。おすすめのツボが「内関(ないかん)」です。

・内関

「内関」は手の平を上に向けて拳をつくった際に現れる2本の腱の間にあり、手首のしわから指3本分ひじ寄りに位置するツボ。「内関」にはエネルギーの流れを改善し、精神を安定させたり痛みを落ち着かせたりする効能があります。
精神的な緊張をゆるめる効果も期待でき、就寝前や精神的な緊張を感じたときなどに押すと精神のリラックスにつながります。

⑤漢方薬を活用する

睡眠中の動悸が気になるなら漢方薬を活用するのも一つの手。漢方薬は自然由来の生薬を複数組み合わせてつくられており、不調の根本にアプローチして改善を目指します。体質から改善するため、繰り返す不調の改善にも役立ちます。
睡眠中の動悸には「自律神経のバランスを整える」「精神の緊張をゆるめる」「血流を改善する」などの働きがある漢方薬を選びましょう。

<睡眠中の動悸におすすめの漢方薬>

・柴胡加竜骨牡蛎湯 (さいこかりゅうこつぼれいとう)
体にこもった熱を冷ますとともに、精神を安定させて自律神経を整え、不眠や動悸を改善する漢方薬。疲れやすく神経過敏で、イライラや不安、動悸などの症状がある人に向いています。

・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
のどや胸部に滞ったエネルギーを取り除き、精神の緊張をゆるめて精神不安を改善する漢方薬。気分がふさぎ、のどや食道部に異物感があり、動悸やめまい、吐き気などのある人に向いています。

漢方薬は体質や症状によって合うものが異なります。自分に合う漢方薬を知りたいなら、専門家に相談するのが安心です。専門家の力も借りながら、自分に合ったセルフケアを取り入れて睡眠中の動悸を改善しましょう。

【睡眠中の動悸に関するQ&A】

Q.睡眠中の動悸が起きる背景には加齢の影響もありますか?

女性ホルモンの変化によって自律神経が乱れ、動悸や睡眠障害などにつながることがあります。月経周期の変化、寝汗、気分のゆらぎなども重なっているなら、更年期の諸症状が起こっている可能性があります。気になる場合は婦人科へ相談しましょう。

Q.睡眠中の動悸が続く場合、医療機関を受診すべきですか?

動悸が頻繁に起こる、胸痛や息苦しさ、めまい、失神しそうな感じを伴う場合は、医療機関を受診しましょう。心臓の病気だけでなく、貧血や甲状腺の病気、服用中の薬の影響などが関係することもあります。症状の出方や時間帯、飲酒やカフェインとの関係をメモしておくと、診察時に伝えやすくなります。

Q.動悸で目が覚めたときの対処法を教えてください。

動悸で目が覚めた際には、上体を少し起こす、横向きになるなど、楽な姿勢をとりましょう。胸に手を当てて、吸う息より吐く息を長めにするよう意識すると、気持ちが落ち着きやすくなります。強い胸痛や息苦しさを伴う場合は、医療機関へ相談してください。

教えてくれたのは…医師 木村 眞樹子さん

都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。

編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか

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