ショータさん「ひとり時間の過ごし方」

ショータさんがコロナ禍直前の4年前にオープンしたバー「Beer & Wine grab」では、お客さんやスタッフたちとのコミュニケーションを大切にして、楽しんでいます。モデルと飲食業、その二足の草鞋があるからこそ、それぞれのスキルも磨かれているそう。そんなショータさんにとってのひとり時間は、自分の欲求を満たしながらインプットをする時間なのだそう。今回は、ひとり時間の過ごし方はもちろん、まだバーへ行ったことがない人でも楽しめるコツを教えてもらいました。

バイク通勤のおかげで、ひとり時間を少し長くつくれるんです

僕が1人の時間を取れるのは、お店を閉めてから帰宅した午前1:00からの2～3時間程度。もっと満喫したい気持ちもありますが、それ以上夜更かしをすると次の日に響いてしまうのでこれくらいが限界ですね（笑）。その限られた時間を少しでも長くつくるためにも、お店へはバイクで通っています。もともと19歳から乗っていましたが少しブランクがあって、2、3年前にまた乗り始めた“復活ライダー”です。
やっぱり都内の移動は、車よりも小回りの利くバイクが便利。乗っている間は運転に集中しているので、そこで無心になれるのもいいのかもしれません。
バイクはボバーっぽさを意識してカスタム。サイドミラーを下向きに変えていますが、視界も広がるので乗っている間の気分もいいんです。海のほうへ遠出をしても気持ちいいだろうけど、腰が痛いので通勤ぐらいの運転時間がちょうどいいですね（笑）。

下向きにつけたバックミラー

腰痛回避のためのサスペンション

音にこだわってマフラーも自分でカスタム

ずっと飲食業界で働くことが好きで、いつかは自分のお店を開くのが夢だったので、オープンして4年目になる「Beer & Wine grab」は念願の出店でした。いろいろなお店で修行をしながらチャンスを探っていた時に、今のお店の隣にある食器店のオーナーから「この場所でお店を開かないか？」と誘われたことがきっかけ。
でも、オープンをしてすぐにコロナ禍になってしまって、開店直後に最大の困難が訪れてしまったんです。
お店を閉めることも考えましたが、うちで働いてくれているスタッフたちは、僕と同じでモデルと兼業している子も多く、コロナ禍ではモデルの仕事もなくなっていましたから、みんなを守るために続ける選択をしました。毎日いろいろな戦略を考える日々でしたね。
実は、僕が15年続けているトライアスロンのチームには、飲食業界の名だたる重鎮たちが所属しているんです。そんな先輩たちからの助言を聞けたことも、お店を続けられたひとつの要因だと思います。

心に潤いを与えてくれるバーでの仕事を楽しむためにも「ひとり時間」が大切

「国産無農薬レモンを3時間煮込んでつくっています」という自家製レモンサワーがおすすめ。アルコールが苦手なら、レモンスカッシュかレモネードでつくることもできます

モデルの仕事って人間関係を築くことが難しいんですよね。撮影は時間が限られているし、効率的に進められるので話し込む時間もあまりなくて。ちょっと乾いた感じがある関係性に物足りなさがあったんです。
その点バーは、お客さんと深く話ができていろいろ学ばせてもらうことも多い。僕やお店を気に入ってもらえたら常連さんになってくれる。
こういう言い方をすると、モデル業がネガティブに聞こえるかもしれないですけど（笑）、モデルの仕事もやっぱり特別で、クライアントから必要とされないとそこへ行けないのがモデル業。比べると、飲食業界の入口は割と広く、その分個性で勝負をしないといけない。だからバーに立っている時間は、自分の個性を磨くために、とても大切な時間でもあるんです。飲食業で磨いて、モデル業で生かす。すべてがつながっています。

もしもバーに行ったことがなければ、ぜひうちのお店へ来てください！ 初めての人もウエルカムです。バーに入るのって、初めてのお店だと緊張しますよね。でも、そこで一歩踏み出してみると、今まで出会ったことのない優しくておもしろい先輩たちが楽しませてくれます。うちは扉がないので入りやすいですよ。お酒に詳しくなくても、どんなものが飲みたいか言ってもらえれば、僕がおすすめを出します。
ひとり時間を過ごしたい場合は、無理して話さなくてもOK。お客さん同士が向かい合って座る大きなテーブル席が特徴ですが、ひとりで飲みたい人もゆっくり過ごしています。お客さん同士の距離が近いように見えて、しっかり間を取ることもできる絶妙な距離感のテーブルなんです。それぞれの楽しみ方ができるので、安心して来てください。

お店にも一部置いてありますが、ランタン集めも「ひとり時間」の趣味のひとつ。電気でつくタイプや、オイルで灯るものなど、大きさや種類もさまざま

撮影／相澤琢磨　取材・文／川端宏実