真木よう子さん「ちょっと身を削るくらいの役のほうがやりがいがあっていい」【映画『アンダーカレント』主演】
カルト的人気を誇る漫画の実写化で話題! 10月6日より公開中の映画『アンダーカレント』の主演を務める真木よう子さんにスペシャルインタビュー。40代を迎えての心境や人生観について話してくれた前回に続き、今回は最新主演映画の見どころにフォーカス。国内外から熱狂的な支持を得た漫画の実写化で、感じた思いとは?
◆インタビュー前半はこちらから
人生の選択に迷ったり、悩んだときこそ観てほしい
―映画『アンダーカレント』の見どころを教えてください。特にCLASSY.世代に注目してほしいところはありますか?
この作品は人によって感じ方がすごく違うと思うんです。観て気分が落ちる人もいれば、上がる人もいる。「この映画ってどんな映画なんですか?」って聞かれて、一言でポンって答えられるような映画じゃないんですよ。だからこそ、ある程度人生を生きてきた大人には共感できるところがある映画だと思います。ほら、CLASSY.読者である20代や30代の頃って、人生の選択だったり悩みや迷いが多い世代じゃないですか。だからこの作品に出てくるさまざまなキャラクターに共感できるだろうし、響くところがあると思います。
―この映画を通して、CLASSY.世代の読者にどんなメッセージが伝わったらいいなと思いますか?
自分を大切にするというのは、すなわち自分の周りを大切な人を大切にするってことなんだな、と伝わったらいいなと思います。自分も周りも幸せにする近道というか…「人と向き合う」というテーマを感じてもらいながら、ぜひ観てほしいです。
身を削るくらい大変な役のほうが、やりがいがあっていい
―真木さんが演じられたのは、主人公のかなえ。ある日、夫が突然失踪してしまう銭湯の女主人という役柄です。どんなテンションでこの役作りに取り組みましたか?
主人公かなえが抱えているものが、ちょっと重すぎるので……演じた感想は率直に「苦しかった」ですね。この役を受ける時点で覚悟はいるなと思ったし、案の定、撮影中も苦しかったです。でもこの役に挑戦できてよかったと思っていますね。ちょっと身を削る部分もあったけど、私はそういう役の方が好きなんです。身を削って演る方が、やりがいがあるじゃないですか? 簡単にできちゃう役なんて、所詮簡単にできちゃう役ですよ。もちろん、どんな作品もどんな役も全部真剣ですけど、「やったことないからやってみたい!」とか、そういう自分の新鮮な気持ちや意欲も大切にしながら芝居に向き合いました。
「自分なんか…」って考える人はあんまり好きじゃない
―年齢を重ねても、守りに入らず攻め続けるのは、真木さんの信念でしょうか?
私わからないんですよ(笑)。守りに入る方法がまったくわからない! 究極的には、自分を守ってくれる人なんていないと思ってます。だから攻めているように見えるのかもしれない。
―自分の信念を貫いて、いつでも攻めている姿は素敵です。
私は自分自身の幸せを大切にできない人には、自分の大切な人を幸せにすることはできないと思ってるし、「自分なんか…」とか「俺なんかが…」って考える人たちって、あまり好きじゃないです。「そんなこと言ってる人に、何の意見も聞きたくないよ!」って思っちゃう。自信を持って自分を好きでいられない人が、自分を大事にできますか? まずは自分自身を好きになってからじゃないと、自分も自分の大切な人も守れないでしょ。だから、自分の思うように生きていたいなって思うんです。
人生の最期に「あれ? これって誰の人生だっけ?」と思わないために…
―では、真木さんにとって、幸せでいるための秘訣を挙げるなら?
自分の幸せや目標を考えたときに、まず初めにすべきことが「自分と向き合うこと」だと思っています。そうすることで、人生の大きな岐路が目の前にあって迷ったとしても、どの道なら自分が後悔しないか、見極めることができるようになるから。人生の最期に「これで良かった」って思える決断を下していきたいから、自分自身としっかり向き合うことが大事だと思います。まあ。私だってまだまだその岐路の途中なんですけどね。「これが私の選んだ道だった」と胸を張って言えるように、自分自身が納得できる判断を重ねていくことが大事だと思っています。それは仕事も人生も、きっとパートナー選びだって同じこと。私が一番嫌なのは、最期になって「あれ? これって誰の人生だっけ?」って思いながら人生を終えることです。そんな人生は嫌だから、しっかり自分と向き合い続けていきたいです。
映画『アンダーカレント』
10月6日より全国公開中
主演・真木よう子×監督・今泉力哉×音楽・細野晴臣がタッグを組み、伝説的ロングセラー漫画を超豪華キャストで完全映画化! 家業の銭湯を継いだかなえ。夫が失踪し、謎の男・堀が現れ、怪しげな探偵・山崎と出会う。ある事件をきっかけに浮かび上がるそれぞれの想いとは?
出演/真木よう子、井浦新、リリー・フランキー、永山瑛太、江口のりこ、中村久美、康すおん、内田理央ほか。
監督/今泉力哉
音楽/細野晴臣
原作/豊田徹也 「アンダーカレント」 講談社 「アフタヌーンKC」刊
公式サイト:undercurrent-movie.com
【衣装詳細】
ワンピース¥75,900(AKANE UTSUNOMIYA tel.03-3410-3599)右イヤーカフ¥143,000右イヤーカフパーツ¥35,200左イヤーカフ¥77,000左イヤーカフパーツ①¥55,000左イヤーカフパーツ②¥49,500左中指に付けたリング¥539,000(すべてoeau/晴海 ショールーム tel.03-6433-5395)
撮影/杉本大希 ヘアメーク/Miyuki Ishikawa(B.I.G.S.) スタイリング/藤井希恵(THYMON Inc.) 取材・文/佐藤かな子 構成/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)