51歳現役モデル・ブレンダさん「2カットで帰らされた屈辱が、私の人生を変えました」

数々のファッション誌でカバーモデルを務め、私たち世代にとって憧れの存在であり続けるモデル、ブレンダさん。変わらぬ美しさとハッピーオーラに加え、ハワイで家族と謳歌するナチュラルなライフスタイルにも注目が集まっています。今や日本でモデルとしての揺るぎない地位を確立しているブレンダさんですが、最初の頃は「モデルは若い時だけだと思っていた」のだとか。コロナが明けて本格的に日本での仕事をリスタートさせた今、意外な来日のきっかけ、今に至るまでの軌跡を、改めて振り返っていただきました。

お話をうかがったのは……モデル・ブレンダさん(51歳)

《プロフィール》

1972年生まれ、ハワイ出身。17歳でスカウトされてモデルデビュー。1990年の来日後は、『JJ』を皮切りに数々の雑誌で表紙を飾り続けるモデル界のレジェンド的存在。現在は夫、14歳と12歳の男の子2人の息子とハワイに暮らす。

「日本へ行きたい!」気持ちでデビュー。モデル業は二の次

デビューは17歳。高校を卒業した頃、「日本でモデルの仕事をしないか」とハワイで日本の事務所にスカウトされたのがきっかけです。卒業後はそのまま大学に進学する予定でしたが、「日本に行きたい!」という思いが勝り、夏休みの3カ月間限定でやるつもりで来日しました。正直、モデルの仕事はどうでもよかった(笑)。ハワイで会う日本人観光客が優しい人ばかりで、そこから日本という国に強い興味を持っていたんです。

親元を離れて一人で海外に行くのも初めてで、日本語もろくに話せない状態でしたが、初めての日本はとにかく楽しかった!日本語の勉強や友人作りに一生懸命で、モデル業は二の次。そもそも、ハワイから来たばかりで日焼けしていたので、あまり仕事がありませんでした。少し日焼けが抜けてきた滞在の最後の期間に、「もう日本に来るのは最後かも」と思って広告等の撮影をこなすように。そこで『JJ』の仕事が入り、当時のJJ編集長に「30年に1人出るか出ないかくらいのモデルだ!」と気に入っていただけて。また来てくださいと次の仕事へと繋がり、大学も休むことになったんです。

2カットで帰らされた撮影が、仕事への姿勢を変えました

アルバイト感覚で経験も乏しく、日本語も今のようには話せなかった最初の頃、忘れられない仕事があります。

ある日、雑誌の仕事で、6カット撮影予定と聞いていた事前の話とは違い、たった2カットで「もう終わりです、お疲れさまでした」と撮影が終了したことがありました。撮影現場は非常にシビアな雰囲気。日本語が分からないため、最初は何が起きたのか分かりませんでした。しかし、代わりのモデルが立てられ、現場から帰されて…私の表現力が拙いせいで打ち切られたんだ、とようやく気付きました。

日本に来たばかりの私は、ナチュラルでにっこり笑うポーズしかできず、その現場で求められていたクールなポージングができませんでした。帰らされたことが悔しくて、悔しくて…。そのまま本屋さんへ直行。ファッション誌を熟読し、クールなポーズを猛勉強しました。

その直後の仕事がJJの撮影で、「もうポーズも大丈夫!」と自信を持って臨んだのですが、その場では逆に「クールすぎる。もっとナチュラルに、ハッピーに!」と言われて、えっ今度はそっち?と(笑)。でも、それがかえって勉強になりましたね。現場に合わせて何を求められているのか分からないと、プロフェッショナルじゃない。そのことに気づいてからは、スムーズに仕事が進むようになっていきました。

「モデルは本業ではない」と思っていたからこそ続けられた

努力した甲斐あってかその後も順調に仕事が増えていき、忙しくなって、結局はハワイの大学を休学。日本でモデル業を本格化することになりました。3カ月の約束で送り出した両親は、最初は戸惑っていましたが、最終的には応援してくれました。

日本ではモデルをやりながらインターナショナルスクールに通う日々で、多忙を極めていたものの、ハワイに帰れば私がモデルをしていることを知る人は少ない。それがいい切り替えになりましたね。そんな環境もあったからか、実はモデルを本業と捉えたことはなくて…。「ラッキーなことにたまたま日本で求められ、モデルをしているだけ」――そんな意識が強く、モデルは若い時だけだから次のキャリアを考えないと、と思っていました。

今も同じで、モデルが核!という手応えはありません。こんなに長く続けるとは思わなかった!当たり前だと思わず、毎回新鮮で「いつも仕事をくれてありがとう!」というスタンスです。モデルがすべてではなく、子供と過ごす時間や趣味…生きがいがたくさんあります。いろいろあるから、今もハッピーに過ごせているのかもしれないですね。

オールインワン¥63,800(コラム/エストネーション)トップス¥19,800(ミコモリ × サードマガジン/ミコモリ)ピアス¥57,200ネックレス¥53,900(ヴァガス/イセタンサローネ東京)

撮影/長谷川勝久 メーク/佐々木貞江 ヘア/Dai Michishita スタイリスト/安西こずえ 取材/吉田瑞穂 編集/浜野彩希

美ST