菅野美穂さん(46歳)子育てや父の介護を通じて気づく「『やりたくない』も含めて幸せ」
育児は根気強く毎日同じことの繰り返し。そんな日々の中、美容は自己肯定感を高めてくれると実感したという俳優の菅野美穂さん。日常の苦悩や落ち込み、そして失敗を隠すことなく語るその姿は、同世代を生きる私たちに元気を与えてくれます。持ち前の明るさで、私たちへ力強いエールを送ってくれました。
◆あわせて読みたい
▶菅野美穂さん(46歳)ますます魅力的に!透明感あふれる特別カット集
どう歳を重ねるか迷いの時期、センス良く歳を重ねていきたい
身近な素敵な人を観察すると、皆さんブラウンマスカラをつけているんです。メークが新鮮な方ってバッグもオシャレ。きっと器もオシャレだろうし、トータルで素敵なんだろうなと憧れます。やり方を聞くと、最初にピンクのマスカラを塗った上に、ブラウンをのせるそう。ネイビーのアイラインも白目がキレイに見えると聞き、どちらも買いに行って挑戦しました。
40代になってからは口紅の威力も実感しています。唇に色がないのはマネキンみたいで気になる。普段は自分に適した明るめのベージュをつけていますが、似合わないけど赤い口紅をつけてみたい。コスメが新しくなると、心に石鹼が入る気がしますね。心に余裕も生まれ、眉間にシワを寄せる回数が減ってきました。
運動もついつい後回しにしてきたけれど、放っておくと、40代は痩せない病、50代は太る病にかかると聞き、週1のホットヨガ以外に家でできるヨガホイールを始めました。すると前側のすねが痛いんです。ここに問題があるとわかり、どうにかしないとと思っているところです。
今までは体にいいと聞けば単純にやり続けていたけど、自分にとって調子がいいか悪いかを意識して、その都度変えていかなければいけないですね。美容はそれぞれが何に時間を費やしたか、その結果が現れると思います。でもどっぷりハマれるかというと今の私はちょっと違う。
最近、どう歳を重ねるか、何をどれくらいやるのか、選択する美容によってセンスを問われることを痛感しています。できればセンス良く歳を重ねたい。風吹ジュンさん、夏木マリさんは憧れです。でも何かを追求するほど、今の私には余裕がなく、子供の送り迎えの時期が終わってから頑張るつもりです。
そんな中、父親の闘病で、1週間ですが24時間介護をしました。たった1週間、しかも実家の家族でローテーションを組んでいたのに全員がボロボロになって。親の介護は誰もが経験する辛さですね。それを少しでもラクに乗り越えるためにも、まず自分自身を労り、自分の時間を大切にすることが大事なのだと思います。
10月スタートのドラマで刺繡の先生役をやるため刺繡を始めたのですが、これが意外と楽しい時間。刺繡は絶対に糸を切ってはいけないんです。時間がかかってもほぐすほうがいいそうで、手っ取り早く済ませようとすると余計面倒なことになる、まさに人生みたいなものだなと思いながらチクチクと縫って無心になれる。十分恵まれているのに幸せだと感じないのは、私が謙虚じゃないからだと最近反省もしています。
昔は幸せって不安やイライラが全くないものだと思っていたけど、「腹立つ」「やりたくない」も含めて幸せなんですよね。毎日、子供と一緒に21時に寝るのですが、夜中に、子供たちの動きでふと目を覚ますと、布団を占領する子供の面積が増えていて、こんなに大きくなったんだ、と幸せな気持ちになります。
達成感もまだ感じられないし、嫌だと思って毎日を過ごしているけれど、子供の成長を確実に感じられることは自分が思っている以上に力強く、私に元気と勇気を与えてくれるんですよね。
《Profile》
1977年埼玉県出身。’93年女優デビュー後、ドラマ「イグアナの娘」で話題に。エランドール新人賞大賞など受賞多数。ドラマ「働きマン」「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」、連続テレビ小説「ひよっこ」、映画『大奥 右衛門佐・綱吉編』『明日の食卓』など幅広く活躍。10月より主役・伊沢ゆりあを演じる木曜ドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」(毎週木曜夜21:00~)が放送中。
《衣装クレジット》
・黒ジャンプスーツ
ジャンプスーツ[オーダーモデル]¥308,000(リュンヌ)バングル¥2,530,000ブレスレット¥1,210,000(ともにルドゥテ)インナー スタイリスト私物
・ピンクシャツ
シャツ¥69,300(フォルテ フォルテ/コロネット)パンツ¥85,800(デパリエ/デパリエ ニュウマン新宿店)イヤーカフ¥25,300(マリア ブラック/マリア ブラック 表参道店)ブレスレット¥1,210,000(ルドゥテ)リング¥115,500(トーカティブ/トーカティブ 表参道)インナー スタイリスト私物
2023年『美ST』11月号掲載
撮影/下村一喜(AGENCE HIRATA) ヘア・メーク/北 一騎(Permanent) スタイリスト/青木千加子 取材/安田真里 編集/漢那美由紀