【榎木淳弥&増田俊樹】韓国発・大人気BL映画『セマンティックエラー・ザ・ムービー』日本吹き替え版が公開中!【スペシャル対談】

韓国でBL小説大賞を受賞し、実写化ドラマが韓国、中国、台湾、そして日本でも大ヒットしているピュアなボーイズラブストーリー、『セマンティックエラー』。実写劇場版が『セマンティックエラー ザ・ムービー』として日本でも公開され、話題を集めています。本作の主人公、ジェヨンとサンウの声を実写劇場版、短編アニメ、オーディオドラマすべてで担当された人気声優・榎木淳弥さんと増田俊樹さんの対談を2回にわたりお届けします!

――今作は韓国だけでなくアジア

――今作は韓国だけでなくアジア圏で大人気の作品ですが、吹き替えを担当された感想をお聞かせください。
榎木 海外でも人気の作品と聞いて、かかわることができて嬉しいなと思いました。今回僕が演じたのはジェヨンという役なのですが、普段、僕が演じることの多いタイプって小柄でサンウみたいな役のほうが多いんです。なぜジェヨンに抜擢されたんだろうと、意外だったことが印象に残っています。
増田 海外作品の吹き替え版というのは人気があるからこそ日本語版を出そうとなるものだと思うので、そういった作品の吹き替え担当に選んでいただけたことはとても嬉しかったです。これまで、ボーイズラブのアニメやドラマCD作品に携わらせていただいてきましたが、実写作品ならではの表現を感じることができて、とてもいい経験になりました。

――ピュアなボーイミーツボーイの作品ですが、それぞれの役を演じるにあたって意識したことや、難しかったことを教えてください。
榎木 今回担当したジェヨンという役は自信があって才能が溢れるキャラクターでした。僕が小柄なので、その厚みのある声を自分の体から出すというのが難しかったです。単に低い声というのでもなく、体から倍音のような声を響かせようと思いまして。僕はそういう役柄の芝居をあまりやってこなかったので、そのキャラクターを声だけで表現するというところが挑戦でしたね。物理的にちょっと声の工程を変えるとかも大切だと思いますし、ハキハキ喋るといった細かいところまで意識して表現しました。
増田 ジェヨンもサンウも、どちらも演じてみたいと思うぐらい魅力的なキャラクターだと思っていました。サンウに限らずですが、僕は普段から自分に合っている・合っていないというのは、あまり考えないようにしているんです。どのキャラクターも自分とまったく同じということはないので、声をあてさせていただく役者さんのお芝居に対して失礼のないようにと思って演じていました。

――日本でもほかのアジアの国でもBL作品が大人気ですが、なかでもこの『セマンティックエラー』が愛されている理由や魅力はどんなところだと思われますか? ご自身が感じているこの作品の魅力も教えてください。
増田 ジェヨンはモテるのに、彼自身はあまり恋をしたことがないような人だと思うんです。でも、サンウに出会って本気の気持ちが芽生えてしまう。これまで自分の中にあった価値観が覆されて、惹かれていく自分の気持ちに悩んでごまかそうとするんですけど、やっぱり本能には抗えない。そうやってお互いに惹かれあっていった先の到達点がしっかり描かれていくところが本作の魅力だと思います。性格が真逆な2人なのに、一瞬の心のすれ違いから同じ方向を見つめる瞬間がくるというところを、観てくださる方たちに感じていただけたらいいなと思います。

――特徴的なキャラクターを演じ

――特徴的なキャラクターを演じられましたが、ジェヨンとサンウというキャラクターについてはどう感じていますか?
増田 サンウの魅力は作中でジェヨンが見つけていますし、作品を観てくださった方がそれぞれでいいなと思う部分を見つけてほしいので、あえてここでは明言しないようにします。ただ、サンウは自分に自信があって一貫性がある人なので、そういう人物を演じられるのは嬉しかったです。前半については、ですが。ジェヨンとのエラーのような出会いによって、その一貫性がいい意味で崩れる後半も見どころですね。ジェヨンは才能があってすごく魅力的だと思うのですが、時間を守らないところがあるから、そこはちょっと……(笑)。
榎木 僕も(劇中でサンウが)ひどいイタズラをされてるなって思いますし、ジェヨンにイラつく気持ちはすごくわかります(笑)。でも、2人の間でお互いに心に引っかかる部分が感じられて、ここで心の変化があったのかなと考えさせられる部分がありました。僕はけっこうおとなしいタイプなので、どちらかというとサンウに近いのかなと思いますね。あまり人に思ったことをそのまま言うのではなくて、整理してから話すことが多いので。それと、あまり自分に主体性がないので、悪気なくふりまわす人とだったら、そんなに一緒にいるのも嫌じゃなくて意外と楽だったりするかもしれません。

――エラーのような衝撃的な出会

――エラーのような衝撃的な出会いが描かれている作品ですが、お二人はエラーのような衝撃的な出会いは過去に体験したことはありますか?
榎木 大学のときに、声優になろうと思って、授業中に友達に相談したんです。そしたら、友達が授業を抜け出してまで「一回、冷静になって考えたほうがいい」と助言をくれて。それを聞いていた、たぶん教授だと思うんですが、見ず知らずの仙人みたいなおじさんが突然割り込んできて、「彼は自分が決めたんだから、やりたいことをやらせてあげたらいいんじゃないか」と言ってくれて。その言葉に納得して、友達も僕のことを快く送り出してくれたんです。このおじさんのおかげで、その後、事務所の養成所に入って今に至ります。
増田 僕はラーメンが好きで、都内の様々な駅にある有名なラーメン屋を探して仕事の合間に食べに行っているんです。でも、33年 もラーメンに付き合ってきたはずなのに「あー、まだまだ、僕には知らないことがあるんだな」と衝撃を感じたのが、煮干し系ラーメンのお店にある「和え玉」でした。替え玉みたいにラーメンのスープに入れてもいいですし、具も入っているので混ぜて食べてもいいですと言われて。まだ、和え玉の定義というのが僕も分かっていないのですが。これが僕の中では衝撃的な出会いでした。
榎木 衝撃的だよね。俺も知らなかった(笑)。

――大学を舞台にジェヨンとサンウやその友人たちも登場する作品ですが、大学や高校、専門学校での印象的な思い出を一つあげるとしたら?
増田 僕は専門学校時代はものすごく劣等生でした。劣等生という言い方はおかしいかもしれないですが(笑)。授業にはちゃんと行くんですけど、隙間があったらダッシュでゲームセンターまで行って、ギリギリ授業開始5分前ぐらいまで遊んで、ダッシュで戻って授業に出てというのを繰り返していた時が僕の一番の青春だなって思います(笑)。ずっとガンダムのゲームをやっていました。何分までに出れば絶対に間に合うっていうのを自分の中でちゃんと計算してました。
榎木 僕は高校の時に剣道部の先輩に連れられてメイド喫茶に初めて行ったことがあって。メニューに書いてある「ワニワニパニック」に500円かかると言われて、当時の僕は高校生だったので「ワニワニパニックに500円かかる」というのは衝撃的でしたね。こういう世界もあるんだなと、勉強になりました(笑)。

――最後にこの作品の魅力についてもう一度お聞かせください。
榎木 真逆の二人が混じりあっていくことが胸を打つと思います。二人ともちょっと変わったところがあるけれど、そんな二人がどう近づいていくのかを注目して観ていただけたらと思います。
増田 この作品はボーイズラブ作品であり、ものすごく純粋なボーイミーツボーイの作品になっています。また、さまざまな学生たちが登場する青春群像劇でもあります。人生において大切な人と出会い、それによって気持ちが動いていく様子が繊細に描かれている作品だと思いますので、そのどこかに興味を持ってくださった方に、一度観ていただけると嬉しいです。

榎木淳弥
‘88年10月19日生まれ 東京出身●『呪術廻戦』虎杖悠仁役、『め組の大吾 救国のオレンジ』十朱大吾役など多数のアニメ作品で主演を務めるほか『鴨乃橋ロンの禁断推理』一色都々丸役、『東京リベンジャーズ』乾青宗役、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ピーター・パーカー/スパイダーマン役吹替など。『2.5次元の誘惑(リリサ)』が今年放送予定。

増田俊樹
‘90年3月8日生まれ 広島出身●’11年『遊☆戯☆王ZEXAL』の神代凌牙役で声優デビュー。その後、幅広いジャンルの作品で活躍。近年の主な出演作は『僕のヒーローアカデミア』『「マッシュル-MASHLE-』、『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』ほか『HIGHCARD season2』が現在放送中。


『セマンティックエラー・ザ・ムービー』

韓国で爆発的人気となり’18年BL小説大賞を受賞した『セマンティックエラー』の実写化作品。韓国のみならず中国や台湾でもヒットし社会現象化! 大学3年生のチュ・サンウ(パク・ジェチャン/吹き替え:増田俊樹)は、学科イチの秀才で変わり者。一方、4年生のチャン・ジェヨン(パク・ソハム/吹き替え:榎木淳弥)は、学校イチのカリスマでモデル並みのイケメン・モテ男。最低最悪の出会いから、ぶつかり合って惹かれ合い、お互いへの気持ちに気づき、恋が一気に走り出す。日本劇場では【前編・後編】2部作構成。前編・後編ともに公開中。ⓒ2022 Watcha All Rights Reserved.

撮影/杉本大希 ヘアメーク/fring<榎木さん>、 小野かおり(emu Inc.)<増田さん> スタイリング/高山良昭<榎木さん> 、 MASAYA(PLY)<増田さん> 取材/門脇才知有 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)