7割を占める外国人スタッフが活躍。地方老舗菓子メーカーの救世主に|(株)ICHIGO代表取締役・近本あゆみさん
女性としてこれからのキャリアについて悩むSTORY世代。’22年に女性活躍推進法が改定されてからはますます女性の活躍が期待され始め、徐々に女性管理職比率も高くなってきています。個人として評価され活躍される女性リーダーの方々には、キャリアの狭間で自身の生き方を見つめ、可能性を信じてチャレンジする姿がありました。今回ご登場いただくのは、「世界中をJAPANにする」というミッションを掲げ、日本の文化や魅力を世界へ発信するべく各種サブスクリプションサービスを中心に事業展開している株式会社「ICHIGO」代表取締役の近本あゆみさんです。(全3回の2回目)
スタッフの7割が外国人。「ICHIGO」の強みは顧客目線でプロダクトができること
STORY編集部(以下同)――新型コロナを受けて、2021年に始めた地方の人気の和菓子を集めたボックス「SAKURACO」が大ヒットしているそうですね。
利用者のアンケートやデータ等で、海外の方に日本の伝統的なお菓子に関心があり、和菓子のファンが多いことがわかりました。「それならば」とコロナ禍の2021年より、地方の菓子メーカーさんの地域限定の和菓子や日本茶を扱う「SAKURACO」の販売をスタート。コロナ禍の影響でダメージを受けていた地方の菓子メーカーさんを世界に紹介できる機会になりました。今では「SAKURACO」は、「TOKYO TREAT」と並ぶ人気ブランドに成長し、この2つのボックスで売上の売上上位を占めています。
――「SAKURACO」地方自治体とのコラボを始めたことで、老舗菓子メーカーの新たな販路を生み出しているそうですね。
「SAKURACO」では、当初はこちらで「今回は沖縄をテーマにしよう」と地方を勝手に決めて商品選定をしていました。けれども「地方自治体と一緒にやらせていただいた方が、よりその土地の特産物やお菓子の魅力を海外の方に発信できるのではないか」と思いついたところ、知らなかった歴史のある地方の老舗菓子メーカーさんを紹介していただき、ご当地コラボをスタートさせることができました。菓子メーカーさんのほとんどは世界に進出するのが初めてです。コロナ禍で痛手を受けている菓子メーカーさんに新しい販路を提供することで、経営の助けとなり地方活性化に貢献できたことをうれしく思っています。
――地方自治体との連携や日本文化の発信を評価した「クールジャパン・マッチングアワード2022」で特別賞も受賞されたと伺いました。
地方自治体と商品開発をして地域の魅力を発信するなど、地道にコツコツやってきた成果が認めていただけたことに感謝しています。「ICHIGO」のミッションとして、「日本の小さなメーカーが世界ブランドになるようサポートする」と掲げているので、日本の和菓子という文化を通して世界の人々へ繋げる架け橋になれていることがうれしいですね。創業当初はあんなに商品の仕入れに苦労していたのに、今では地方菓子メーカーさんから試食のお菓子を送っていただけるほどになりました(笑)。
――創業から6年で年商40億の売上げを達成されましたが、始めからその確信はありましたか? 「ICHIGO」の強みは何でしょうか?
正直全く想像していませんでした。けれども「今は何かを犠牲にしても、結果は後から付いてくる」という気持ちで、30代前半は地道に仕事だけに集中してきました。あとは一人の力だけでは未熟だし限界があるので、パートナーをはじめ、チームで動くことを意識してきました。
弊社はスタッフの7割が外国人です。「ICHIGO」の強みは何と言っても顧客目線でプロダクトができることだと思います。海外の方に日本の商品をお送りするので、マーケッターやデザイナーも外国人スタッフが携わっています。「こういうものが受け入れられる」と常に情報を収集し、例えば箱のデザインやコピーのフォントにしても、「こんなポップな色は日本人だと違和感を覚えるかもしれない」という物も、手にして喜ぶ顧客の気持ちを考慮し形にしました。
弊社は「日本の文化を通じて世界中の人を繋げ、常に日本の文化を体験したり日本が好きな人たち同士で語り合ったりすること」をビジョンに掲げて、SNSマーケティングにも力を入れています。利用者の多いアメリカの閲覧回数が多い時間を算出し、投稿時間や1日の回数を決めて投稿しています。
先日はマクドナルドがキャンペーンしていた「月見バーガー」を外国人スタッフが紹介したら大反響でした。マクドナルドはどこの国にもありますが、玉子を月に見立てているハンバーガーは日本ならではの目線なので、外国の方にはおもしろく感じるみたいです。それがわかるのも、同じ文化を共有している外国人スタッフだからこそ。スタッフは元々「ICHIGO」の利用者だったという人もいますし、留学で来日し、日本が好きになったので日本の物を海外に広めたいというビジョンに共感してくれて社員になった人もいます。
撮影/BOCO 取材/孫 理奈
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