【五輪】元卓球代表・平野早矢香さん(39)「早期流産、つわり…妊娠は“予想外”の連続でした」

パリ2024オリンピックがついに開幕! 2012年ロンドン五輪団体卓球女子銀メダリストであり、今回の五輪では卓球解説も担当する平野早矢香さんがVERY webに登場。現在一児の母である平野さんですが、37歳で出産するまで、早期流産やつわりを経験。産後は授乳や仕事復帰で試行錯誤したそう。当時のエピソードを伺いました。

妊婦健診で「心拍が確認できない」といわれて…

 

──現在育児中の平野さんですが、第一子出産前に流産を経験されたと伺いました。

2021年の1月に結婚して、一人目の子を授かったのが同じ年の11月でした。当時、喜び勇んで健診に行ったのですが、「心拍が確認できない」という予想外の事態に。「次回の健診でも心拍が確認できなかったら、流産の可能性が高いです」と医師から言われました。アスリートなので体力には自信があり、生理も順調。そんな自分が流産するとは当時想像もしていなかったです。その後、健診までの間は自分自身何もできることがなく、ただ時間が過ぎるのを待つしかなかったのでメンタル的にけっこうキツかったです。結果的にやはり心拍の確認が取れず、今回は流産という結果に。自然排出を待ちましたが兆候がなく、その間にも胎盤は成長しつわりの症状続いたため、12月中旬ごろに流産手術をしました。

 

早期流産は「誰のせいでもない」

 

──突然のことで衝撃も大きかったと思います。

当時の私はまったく知識がなかったのですが、妊娠初期段階での流産は割とよく起こることで、染色体異常の原因も多いようです。流産となると「何か自分が悪いことをしたのではないか?」自分を責めてしまう人もいると聞きますし、私も正直色々考えてしまいましたが、「早矢香さんのせいではないですよ、赤ちゃんに産まれてくる力がなかったんですよ」と医師から言われ、気持ちが楽になりました。またスポーツをやっていて体力があるとか、生理が順調かどうかにかかわらず、ある程度の確率で流産は起きることなのだということを改めて知りました。その後は通院を続けて経過観察し、妊活再開のタイミングは医師と相談しました。私の場合は生理が戻るのが早かったこともあり、翌年の4月に妊娠し、その年の12月に出産に至りました。

 

──妊娠中はつわりが重く大変だった、と伺っています。

つわりはかなりキツくて、安定期以前から出産直前まで続きました。食べられるものが限られていたので毎日同じものを口にしていましたね。お茶漬けやフルーツなどをよく食べていました。ほかのおかずや肉、魚はほとんど食べられなかったです。安定期に入るまでは毎日吐き気との闘いでした。なかなか公にできないので、とにかくしんどかったですね。エチケット袋をお守りのように携帯。食べ物の匂いをかいだだけで吐き気がしてしまうので、番組の楽屋に入ったらすぐに、用意されたお弁当をマネージャーさんにこっそり遠ざけてもらうことも多かったです。私の場合は卓球教室など身体を動かすお仕事もあるため、医師と相談し安定期に入ってから公表することにしましたが、妊娠や出産にまつわる知識を男女問わず学べる場がもっと必要だと自分自身の経験から感じました。

 

出産から数カ月で仕事復帰

──12月末に出産を経て、新年度の4月からレギュラー番組に復帰。完全な育休は3〜4カ月間と短めでした。

産後1カ月は想像していた以上に体がボロボロでした。脚が象のように浮腫み、腰も痛いので、スタスタとは歩けない。体調面ではなかなか調子が戻らず、育児のペースをつかむのがすごく大変でした。それでもメンタル的には夫や両親、先輩ママである妹や友人を頼りまくっていたので産後うつなどはありませんでした。出産後は子育て最優先でいきたいと思い、夫と相談しながら復帰のタイミングを調整しました。ありがたいことにレギュラー番組がいくつかあり、いずれも大好きな番組だったので続けさせていただけるなら、と。ただ出産前からある程度の復帰時期は番組側にお伝えしなければならなかったので、同じようなお仕事をしている先輩ママアスリートに話を聞いたり、私が仕事の時間を夫が育児をカバーできるかなど夫婦でよく話し合い、新年度のタイミングで復帰することにしました。出産直後のスタート段階から、おむつの替え方や沐浴のやり方、ミルクの作り方など、すべて夫婦でいっしょに学んだので、夫も私と同じように子どもの世話ができる状態です。

 

娘には「スポーツ以外の経験」も大切にしてほしい

 

──ご家族で卓球することはありますか?

夫とは結婚前に旅館にあるような卓球台で遊んだ記憶があります。夫は運動神経はいいけれど卓球経験はほぼないので、私がコントロールしながら軽くラリーするくらい(笑)。「お子さんに卓球をやらせますか?」とよく聞かれますが、できれば卓球以外のことをしてほしいと思っています。私自身は10代、20代まで卓球が第一優先だったので、楽しい学生生活やアルバイト、一般企業への就職などの皆と同じような人生経験がないんです。娘がどうしてもやりたいというならもちろん考えますが、スポーツ以外の経験も大切にしてほしいです。私が娘の人生を決めてしまうのは気がひけるので、もう少し大きくなって、本人が好きなことややりたいことが見つかった時に、それを思いっきりさせてあげたいなと思っています。

 

「一人で抱え込まずに相談」が育児のモットーです

 

──育児にまつわることで悩んだときは、どうしていますか?

子育て中の悩みについては、自分だけで抱え込もうとせず、即座に人に相談することを心がけています。夫に頼ったり、先輩ママである妹に頼ったり。子どもが病気になったり、育児グッズの選び方で迷ったりしたときは、すぐに信頼している友人にアドバイスを求めることも。目下の育児悩みは、歯磨きですね。歯が結構生えてきたのですが、食欲が旺盛なタイプなので、虫歯にならないようにちゃんと仕上げ磨きをしたいんです。でも、毎度大騒ぎで泣いて抵抗されるので、悪戦苦闘しながら磨いています。

 

──パリ五輪では現地での仕事も担当されます。

ありがたいことにお仕事をいただき、現地に行けることになりました。ただ今回は娘のこともあったので、ご依頼をお引き受けする前に夫や両親とよく話し合いました。結論として我が家は夫婦の育児スキルが同じくらいなので子どものケアは日本で夫に頑張ってもらい、単身で現地に行くことにしました。出産後のスケジュール管理は、悩ましいですよね。私もやりたいことは山のようにありますが、自分の自由時間や身体のメンテナンスにまわす時間は以前のように作れません。理想通りにいかないことが多いですが、優先順位をつけて、時間がなくてできないことは後回しに。今は、仕事を頑張りながらも家族との時間を大切に過ごしていきたいと思います。

PROFILE

平野早矢香(ひらのさやか)さん

1985年生まれ。栃木県出身。5歳で卓球を始める。高校卒業後、ミキハウスに入社。18歳で全日本卓球選手権・女子シングルス初優勝。2007年度から全日本選手権を3連覇達成、通算5度の日本一に輝く。2008年北京オリンピックでは、団体戦4位。2012年、ロンドンオリンピックでは福原愛、石川佳純両選手とともに団体戦で銀メダルを獲得。男女通じて日本卓球史上初の五輪メダリストとなった。世界選手権に14大会連続出場し、2014年東京大会では団体戦にて銀メダルを獲得。2016年の現役引退後は、一児の母として子育てをしながら、後進の指導に努めている。講演会や解説、スポーツキャスターとしても幅広く活動中。

撮影/堺 優史 ヘア・メーク/本多遥香(ROI) スタイリング/山本有紀 取材・文/亀井ゆりこ

ジャケット¥27,500 (カデュネ)サロペット¥23,100(アルページュストーリー)イヤリング¥2,180〈エルワイナウ〉ネックレス¥12,100〈Pearl for Life〉バングル¥22,000〈スティールジェニック〉リング¥20,600〈enn.〉(以上すべてロードス) ※インナーはスタイリスト私物

【衣装お問合せ先】

アルページュストーリー プレスルーム03-6894-8610

カデュネ プレスルーム03-6863-0100

ロードス03-6416-1995

 

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