現金を使わない「キャッシュレス決済」でお金の考え方はどう変わる?

クレジットカードや電子マネーなど、現金を使わない支払い方法が増えてきています。なかでも、スマホを使ったキャッシュレス決済が話題に。キャッシュレス化が進むことで、生活はどう変わるのでしょうか?

今回は「キャッシュレス決済」について、マクロエコノミストの崔 真淑(さいますみ)さんに解説していただきました。

崔 真淑(さいますみ)さん

マクロエコノミスト。大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に勤務し、最年少女性アナリストとして主要メディアで解説者に抜擢される。現在はGood News and Companies代表、シーボン社外取締役、昭和女子大研究員。日経CNBC『崔 真淑のサイ視点』ほかテレビ東京、NHK、BSスカパー!等で経済解説を行う。身近に感じる経済解説が人気。

完全キャッシュレスのお店が増える可能性も

政府はキャッシュレス決済を導入した店舗や企業に対して還元する施策に向けて動いています。スマホでのキャッシュレス決済の種類も増えてきていますが、これは大きく2つの種類に分かれます。1つは、非接触IC決済。スマホをかざすだけで決済できる、「おサイフケータイ」タイプの支払い方法です。もう1つは、スマホにアプリをインストールして、二次元コードを利用する決済です。

このキャッシュレス決済で、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。

まず1つ目は、現金が使えない完全キャッシュレスのお店が増える可能性があること。日本のキャッシュレス浸透率は20%未満と低いのですが、その背景には、ATMが多く現金の利便性が高いことが指摘されています。ではなぜ、キャッシュレスが求められているのでしょうか?理由は、人材不足です。小売店を中心に人材難で、レジや現金決済を任せられる人材を見つけたり育てるコストが高くなっています。実際、都市圏では完全キャッシュレスのお店も登場しています。

アプリ連動でお金の使い方が効率的に

2つ目は、お金の使い方です。キャッシュレスとなり、現金が伴わないことで無駄使いが増えるという懸念も聞かれます。しかし、学術研究では、キャッシュレスでお金の支出が増えるという明確な根拠はまだ確認されていないようです。むしろ、私はお金の効率的な使い方が進むと考えています。というのも、各キャッシュレスサービスは、家計簿アプリと連動していることが多く、自分が過去に何にお金を使ったかをグラフなどで一目瞭然にしてくれます。私も実際に使っていますが、「先月は旅行で使いすぎたから、今月は控えめにしようかな」などのように支出を意識することができ、お金の使い方に変化が出てきたのを感じています。

ただし、これはあくまで成人の感覚です。現金にすらまだなじみのない子どもたちには、どうお金の教育をするかが重要で、これは将来のマネーリテラシーにも直結しかねません。キャッシュレス時代により、子どもへのスマホリテラシーには、コンテンツ閲覧だけでなくお金の使い方も重要な教育の一つになるかもしれませんね。

スマホ決済ってどんなもの?

【決済方法】

●非接触IC決済…スマホを専用の機械にかざして決済する方法。
●二次元コード決済…客のスマホの二次元コードを店が読み取る、または店が提示する二次元コードを客側が読み取って決済する方法。

【支払い手段】

●前払い
事前にお金をチャージしておき、支払いの際に使う方式。例:Suica、nanaco、Edyなど。

●即時払い
登録した銀行口座からすぐに支払われる方式。例:ゆうちょPayなど。

●後払い
クレジットカードなどで、1カ月分の利用額を翌月以降の決められた期日に払う方式。例:PayPay、iD、QUICPayなど。

崔 真淑さんが考える「キャッシュレス決済でどうなる?」

・現金が使えないお店が増える可能性も。
・見える化が進みお金の使い方が効率的になりそう。

※掲載中の情報はMart誌面掲載時のものです。

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イラスト/熊野友紀子 構成/タカノマイ(Mart編集部)

Mart2019年6月号
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