【セックスレス AND THE CITY -女たちの告白-】「セックスして!」と迫り夫はドン引き…起死回生、妊娠したい38歳妻の打開策は

日本では半数以上の夫婦が陥っているといわれるセックスレス。歯科衛生士のゆみさん(仮名、38歳)も、歯科技工士の夫・浩一さん(仮名、39歳)と約4年間性交渉がないそうです。ゆみさんは妊活を考えており、「性交渉の話を避けたがる夫」との関係に悩んでカウンセリングを受けることになりました。

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■交際当時は厳密には「不倫だった」

ゆみさんと浩一さんは、職場で知り合い、3年間の交際を経て結婚した同世代の夫婦です。
「当時私は技工士が常駐する大規模歯科医院に勤めていました。同僚として仲良くなり、交際が始まった頃は『秘密の職場恋愛』として盛り上がりました。というのも、大きな声では言えませんが、交際開始時、彼は離婚協議中で、厳密にいうと不倫でした。不倫男の『妻とは別れる』という言葉は嘘が多いと聞きますが、彼の場合は奥さんのほうから別れを切り出されているらしいと同僚から聞いていたので、フライング交際してしまったんです。始まりこそ後ろめたい状況でしたが、離婚の条件も折り合ったようで、言葉どおり離婚して晴れて普通のカップルになれました」。
浩一さんと前妻の離婚理由は複数あるそうですが、決定打は前妻と浩一さんの実家との不和だといいます。
「彼にはお姉さんがいて、2人の子供を抱えて実家に住むシングルマザーなんです。姪がかわいくて姉や実家に仕送りをしすぎたこと、なにかと義理の母親に肩入れをすることなどが原因で不仲になっていったようです。ちなみに、夫と前の奥さんとの間には子供はいません。私とのことがバレていれば決定打は不倫になっていたのかもしれませんが、それはバレていないそうです」。

■職場に同棲がバレて入籍することに

ゆみさんと浩一さんは、2年間の同棲を経て結婚しました。
「彼はそこまで結婚に興味がなかったみたいですが、さすがに同棲すると職場で噂になってしまって。例えば、2人が別々に同じ人に『朝食に何食べた?』と聞かれて、『夕飯の残り物のカレイの煮付け』と答えてしまい。『ゆみちゃんも同じこと言ってたけど、カレイの煮付け流行ってんの?』と苦笑いされたり。そんなことが積み重なって、隠し続けるのもめんどうになり、『籍入れちゃわない?』と私から言って結婚することになりました」。
前妻ともめたという義実家問題ですが、ゆみさんの場合はさほど気にならなかったといいます。
「私の実家にも半引きこもりの家事手伝いの妹がいますし、人の実家のことをとやかく言える立場じゃないので。それに私と結婚した頃にはお義姉さんも仕事を見つけていて、夫の姪もだいぶ成長していたので援助する金額も減っていました」。
入籍しても、財布は別々で、決まった金額を家庭の財布に入れるという、同棲時代と同じ日々が続いている2人。
「結婚前に同棲したことで、すんなり入籍できたので後悔はしていませんが、やっぱりセックスレスになるのは早かったですね。ミステリアスな部分がなくなるので、盛り上がる余白がまったくないというか……。2人で食べたいものを食べて、行きたいところに行って、見たいテレビを見て満足していますが、ふと気がついたら、妊娠適齢期が過ぎ去りかけていました」。

■「10時にセックスを」と言って夫に引かれる

「1人でいいから子供がほしい」と思っていたゆみさんは、浩一さんに「子供ってどう思う?」と聞いてみたそうです。
「いらないと言われるかと思ったのですが、『まぁかわいいかもしれないけど仮にいたとしても1人だよね、経済的に』という答えでした。それなら善は急げとネットで妊活の方法を調べて、基礎体温を測って『今日妊娠しやすいから、10時にセックスして』と誘ったら、のけぞるくらいにドン引きされてしまいました」。
浩一さんは、仕事から帰ってきてビールを飲んでいたので「今日? 無理」とバッサリ。
「私は『子供1人ならいいって言ったじゃん』と抗議したんですけど、呆れたように『いいって言ったじゃんって、犬や猫じゃないんだから』とため息をつかれて。『男性は、さぁやろう、とか言われてできるものでもないわけ。体調とか、心理状況とかいろいろ条件が重ならないとエンジンはかからない。だいたい何? セックスしてって生々しいし怖いわ』って断られました」。
じゃあ、いつならいいのかと聞くと「だから、いつ気分が盛り上がるかなんて分からないんだって」の一点張り。
「ここまで4年もセックスレスでしたし、もう絶望的だと思って泣いてしまって。さすがに涙を見て同情してくれたのか、『考えてはおくけど、今日は疲れたから勘弁して』と彼は別の部屋に行ってしまいました」。
ゆみさんは、自身がもはや夫にとって「勘弁してほしいもの」だという事実に傷ついたといいます。

■婦人科でカウンセリングをしてから夫を説得

ゆみさんは「卵子凍結」という選択肢も検討し、婦人科の門を叩いたそうです。
「職場の女性の先生に紹介された、評判のいいレディースクリニックに行きました。私のメンタルが不安定で、『性交渉がとれなくて』と恥ずかしさのあまり涙ぐんでしまうと、診察の前に併設されているカウンセリングルームに通されました。妊活カウンセラーさんはとても聞き上手な女性で、一緒に夫婦関係についても考えてくれました」。
カウンセラーに「夫婦での話し合いとヴィジョンの共有が大切。相手の気持ちにも寄り添った言葉選びを」とアドバイスされたゆみさんは、妊活について、あえて「医学用語」を使うように心がけたそうです。
「前回『セックスしてって生々しい』とドン引きされたので、もう学会のプレゼンくらい堅い言葉を使いました。『この時間帯に性交渉をとるか、性交渉が不可能であれば卵子を採取して…』みたいな。彼は理系脳なので、そういう話し合いは比較的聞く耳を持ってくれました」。
結局、ゆみさんと浩一さんは妊活向けのクリニックを訪れ、人工授精にトライしているそうです。人工授精は、女性側の排卵の時期に合わせて、洗浄濃縮したパートナーの精子を子宮内に注入する方法です。
「それと並行して『可能であれば性交渉』をスケジューリングして、2回くらいは成立しました。失敗しても特に責めることなく『今回は不成立だけど人工授精があるから』と気まずくならないようにしています。5回トライして無理なら体外受精にステップアップする予定です」。
性交渉は特に楽しいものではなく淡々と行われるそうですが、ゆみさんは、ほしいのはイチャイチャではなく子供なので「共同作業」として成り立っていればいいと語っています。

※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。

取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA

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美ST