SHELLYさん「芸能界の“性的同意”担当として呼ばれることはとてもありがたいです」

3月8日の国際女性デーに先駆けて、カルティエが2025年大阪・関西万博「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」の内覧・体験コンテンツを発表しました。同時に行われたトークセッションでは、VERY本誌連載でもおなじみのSHELLYさんがモデレーターに。イベント後に「国際女性デーに向けて今、発信したいこと」を伺いました。

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【左から】SHELLYさん、慶應義塾大学教授・宮田裕章さん、スプツニ子!さんや、MPower Partnersゼネラル・パートナー・キャシー松井さん、京都精華大学元学長/東京都公立大学法人理事(国際担当)・ウスビ・サコさん、カルティエ ジャパン プレジデント&CEO・宮地 純さん 

 

—4月13日 ~10月13日に開催される大阪・関西万博。カルティエが手がけるウーマンズ パビリオンの見どころの一つ、『WA』スペースがとても楽しみです。SHELLYさんのほか、登壇者のみなさんのお話は勉強になりました。

どなたのお話もとても興味深かったですが、都市開発で「男性が考える未来的な都市」は、高速道路がたくさんあったり外に働きに出ることが前提だというお話はすごく面白かったですよね。まさに今話題なのが、トイレの数の不均衡が男性社会の象徴だ、ということ。どこでも女性用トイレが行列になっているのはおかしいじゃないですか。100mあったら男女で50m・50mねっていうのは、平等に見えて平等ではない。まだまだ気づかないいろんなところに、男性社会・家父長制が根っこを生やしているんだな、と思いました。アファーマティブ アクション※1 など積極的に女性に地位を与えていくのも大事だと思いました。
※1 積極的格差是正措置。雇用や大学入試などで、人種や民族的マイノリティ、ジェンダーなどを考慮して特別枠を設ける措置。歴史的に差別を受けていたり、慣行や固定的な役割分担のために能力を発揮する機会に恵まれていない人種やジェンダーなどによる格差を是正していく必要があるという考えに基づく。

 

「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」は、「When women thrive, humanity thrives ~ともに生き、ともに輝く未来へ~」をコンセプトに掲げ、すべての人々が真に平等に生き尊敬し合い共に歩みながら、能力を発揮できる世界をつくるきっかけを生み出すことを目指しています。女性たちの体験や視点を通じ、公平で持続可能な未来を志すことを来場者に呼びかけます。

—宮田教授のお話も興味深かったです。

今の日本はマジョリティのための社会になっていて、枠から外れてしまうととても生きにくい世の中になっている、というお話がありました。宮田先生は、マイノリティである女性のことに関しては、男性がもっともっと声を上げなければいけないとおっしゃっていて。そんなふうに言ってくださる男性がまだまだ日本は少ないように感じます。私自身も、LGBTQ+に関してはアライ※2 が声を上げなければいけない、苦しんでいる人は苦しいと説明しなくてもいいと思っているんです。自分がマジョリティ側でいることに関しては、積極的にマイノリティについて発信することも大切にしたいです。
※2 LGBTQ+当事者ではないが、彼らを支持、支援する人

 

—2025年の今、一番気になっているジェンダーに関する問題は何ですか?

最近もずっと変わらず「性的同意」「性教育」についてですね。性教育は人権教育だし、自分や相手の体を知って大事にすること、理解することで視野や想像力も広がると思っています。

 

—「性的同意」という言葉も世の中にかなり浸透しましたね。

はい。今、芸能界の「性的同意」担当のように呼んでいただくことも増えたのですが、ありがたい限りと思っています。10年前だったらこうしたことをテレビで問題提起すると“怖い”“厳しい”と言われることが多かったけど、今は10代、20代が“そうだそうだ”と反応してくれたり、カメラが回っていないところで“めっちゃ応援しています”と声をかけてもらうことが多いんです。まだ声を大にしては言いづらいんだろうけど、心の中では応援してくれている人が増えて時代が変わってきたなと思います。これからも優しくちょっとずつ寝た子を起こすように続けていきたいです。
そして今はまだまだ、女性が「ケア」をしていることに甘えている社会があります。ケアラーの仕事の評価が低いのは大問題だし、例えば専業主婦の方にしても、(夫が)働きに出られる状況を作っている女性たちがいなくなったら社会は回るんですか?ということをもっと主張したいし、その価値を高めていくこともしていきたいですね。

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撮影/根本真裕美<光文社写真室> 取材・文/有馬美穂