【梅宮アンナさん】闘病中に分かった大人の友情「友人が少ないことに、引け目を感じていたけれど…」

2024年8月13日、梅宮アンナさんは乳がん(浸潤性小葉がん)のステージ3Aと診断されたことを公表しました。11月7日に右胸の全摘出手術を受け、3月5日に抗がん剤治療を終え、そして4月、放射線治療も終了。こうして、がん治療の三大柱――手術・抗がん剤・放射線――すべてを乗り越えることができました。今は、治療を終えたその先にある“これから”と向き合う日々。この連載では、がんとともに生きる梅宮アンナさんが、心と体の変化、日常の気づき、そして未来への思いを、率直に綴っていきます。

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50代になって、“友人”の意味が静かに変わった

若い頃は、友人が少ないことに、どこか引け目を感じていました。でも50代になった今、そんな気持ちはもう全くありません。

私はもともと群れるのが苦手で、ひとりっ子だったことも関係しているのか、昔から自分をわかってくれる友人は1人いれば充分という感覚が根っこにあります。50代になってからの友人関係は、数ではなく質。精神的に自立していないと、大人の友情はなかなか続かないと思うんです。大人になると、「自分で立っていること」が前提になる。そこがグラついていると、人間関係もどこか不安定になってしまいますよね。

芸能界にいると特別な付き合いをしているように見られがちですが、実際はむしろ逆かもしれません。人間関係においては、よりシビア。表と裏がはっきりしている人、損得や上下関係で近づいてくる人とは、長くは続かない。だからこそ、深くて静かな繋がりを、私はとても大切にしています。大人になって見つけた本当の友人関係は、そうした静かなつながりの中にありました。

ママ友付き合いもありましたが、それはあくまでも子どもを介した関係。子ども同士が離れれば自然と疎遠になることもありますし、それが悪いわけではありません。そういう時期を経て私は、自分という人間をちゃんと見てくれる人が、本当の友人なんだと気づけた気がします。

たとえば、抗がん剤の副作用でまったく食欲が出なかったとき。何も食べられずにいた私のもとに、友人が「アンナちゃん、ご飯作るよ!」って、ブロッコリーを持ってきてくれたんです。私、ブロッコリー大嫌いなんですよ(笑)。それでも「体にいいから!」って、毎回ブロッコリー。もう、愛情の押し売りみたいな(笑)。でもその気持ちが、ものすごく嬉しかった。

こういう優しさに、私は何度も助けられてきました。病気になって改めて思うのは、周囲の人たちが自分にできることを最善でやってくれたということ。その思いが、どれほど力になったか分かりません。

一方で、この数ヶ月で交友関係もすごく明確になりました。良い悪いじゃなくて、あ、この人とはもう無理かもと感じる関係は、自然と離れていく。逆に、最後まで残る人は、やっぱり優しい人。派手じゃないけど、静かで温かい。そういう優しさを持った人たちが、今、私のまわりにいてくれる。それが、50代になった今の私にとっての友人のかたちです。

現在のマネージャーさんは学生時代の親友

――40年の友情が、がんと向き合う私を支える力に変わった
それは去年の春。乳がんの疑いがあって病院に通い始めた頃、思いがけない再会がありました。現マネージャーさんのマコさんの友人が、病院で私を見かけたことがきっかけで、マコさんからLINEが届いたんです。

「アンコ、病院にいたって聞いたけど、どうしたの?」
そのとき、私はまだ当時のマネージャーにも話していなかったのに、マコさんには自然と「実は胸の調子が悪くて…」と打ち明けていました。

それくらい、なんでも言える友人だったんです。マコさんとは中学時代からの付き合い。
ずっとベッタリだったわけではないけれど、お互いの人生の節目には、いつも不思議と戻ってくる存在でした。距離ができたり、しばらく会わなかった時期もあったけれど、必要なタイミングでちゃんと再びつながる——そんな縁が私たちにはあるんです。

そんななか、彼女はごく自然に、そっと私のサポートを始めてくれました。
「病気を公表したらきっと連絡が殺到するから、まず連絡先を整えておこう」って。そこからメールアドレスの変更、マスコミ対応、保険の手続き、仕事の整理まで……。すべてを彼女が一歩先、二歩先を読んで動いてくれました。

しかも、ただ事務的に助けてくれるだけじゃない。抗がん剤治療で落ち込んでいたときには、一緒に病院まで来てくれて、治療中の数時間を黙ってそばで過ごしてくれたり。私が気持ちの波に飲まれてあたふたしていても、彼女はいつも冷静で、判断が早くて、今でもLINEのスタンプひとつでお互いの気分が分かるくらい。まるで“心の翻訳者”のような存在です。
家族ではないけれど、家族のような信頼感。それが、今の私とマコさんとの関係です。

髪も少しずつ生えてきた今、楽しみなのは…

抗がん剤治療を終えてから、少しずつ髪の毛が生えてきて、鏡を見るたびに「お、ちょっと戻ってきてるな」と感じる瞬間があります。まだまだ時間はかかるけれど、抗がん剤前の私に近づいていくのが、今はすごく嬉しい。今の髪は、全体的にふわっとした産毛のような状態。特に前髪のあたりは、芝生みたい(笑)。前髪って、ほかの部分に比べて生えるのがちょっと遅いんですよね。

でも、毎朝鏡を見ながら伸びてきたかもってチェックするのが、ささやかな楽しみになっています。ウィッグは今も「シトリン」さんのものを愛用中。卒業までは、たぶんあと1年くらいかかるのかなと思っています。治療直後は髪がまったくなかったので、頭の形にぴったり合わせて作ってもらったけれど、髪が少しずつ伸びてくると、頭のサイズ感が微妙に変わってくる。でも、そのあたりもきちんと設計されていて、中の縫い目をほどいて調整できたり、アジャスターでフィット感を変えられたり。これからも無理なく付き合っていけそうです。

まつ毛も、うっすらと産毛のような細い毛が生えてきていて、「戻ってきてる…!」と気づくだけで気持ちがパッと明るくなります。やっぱり、自分の体が“再生している”のを目に見えて感じられるって、何よりの希望になるんですよね。

眉毛については、抗がん剤治療が始まる前にアートメイクをしておきました。治療中は肌に負担をかけない方が良いので、始める前にやっておくのが本当におすすめ。私は恵比寿のクリニックにお願いしたんですが、抗がん剤治療に対する理解が深い医療系の施設だったので、安心して施術を受けられました。

こうして元に戻っていく過程を、少しずつ味わえるのが、今の私にとっていちばんの楽しみかもしれません。

ファッションやメイクも、いきなり以前の自分に戻すんじゃなくて、今の私に似合うスタイルを少しずつ探していきたい。新しく生えてきた髪、新しいまつ毛、そして新しい感覚で――。また、新しい自分に出会えることが楽しみなんです。

そんなふうに思える日が来るなんて、治療の真っただ中にいた頃は、まったく想像もできなかった。でも今は、その“ジャーニー”さえも、大切にしたいと思えています。

アンナさん衣装:私物
撮影/中田陽子 取材・文/日野珠希

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