「30歳で女優を辞めると本気で思っていた」綾瀬はるかさん(40)語るアラサー期

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仕事も人生も、計画通りにいかないことだらけ。20代後半から30代は、迷いやプレッシャーが押し寄せる時期でもあります。6月スタートの新ドラマ『ひとりでしにたい』(NHK)で“終活”をテーマにした主人公を演じる綾瀬はるかさんも、実はアラサー時代に「女優を辞めようかな」と思っていた時期があったのだそう。当時の葛藤や、人生を前向きに歩くためのヒント、そして、自分らしく生きるためのリフレッシュ方法について、たっぷりと語ってくれました。

Profile

1985年3月24日生まれ。広島県出身。2000年にデビュー後、ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』『JIN -仁-』『義母と娘のブルース』などで国民的女優に。映画では、『リボルバー・リリー』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。演技力と存在感を兼ね備えた日本を代表する実力派女優のひとり。

「30歳くらいで女優の仕事を辞めるのかな」と思っていた

――CLASSY.は20代後半から30代の女性が主な読者です。そこで今回は、綾瀬さんのアラサー時代についてお聞きしたいのですが、20代後半というと、NHKの大河ドラマ『八重の桜』(2013年放送)で主演されたころですね。当時、お仕事で悩んだり苦しんだりしていたことはありますか?

そうですね、大河は27歳のときでした。ただ当時は、悩みよりも楽しかった記憶のほうが強いですね。それまでは、「30歳くらいで女優の仕事を辞めるのかなあ」なんて気持ちがずっとあって。変わったのは、『八重の桜』での経験が大きかったと思います。「ものづくりって面白い!」って心から思えたんです。

――女優を辞めようと思っていたのは本気だったんですか?

ええ、わりと本気で(笑)。でも、大河ドラマは1年以上かけて撮影するので、共演者とスタッフが意見を出し合いながら作品を作っていく醍醐味を初めて実感しました。クランクアップのときは号泣しちゃって……。これから私はどんなふうに生きていくんだろうと思っていたら、なんと2週間後には次の映画の撮影が始まると言われて、「えーっ!?」って。しかも舞台はパリで、フランス語も覚えなきゃいけないなんて信じられない! って感じでした。

大河ドラマ直後のパリロケで弱音を吐いていたけれど…

――映画『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』(2014年公開)ですね。

そう! しかも今度は24歳の役。『八重の桜』では特殊メークで70歳くらいまで演じていたのに!? って。当時は「イヤだ、できない!」って泣きました。大河でご一緒していた西田敏行さんにも「大河が終わったらしばらく放心するから、ゆっくり休めばいいよ」って言われていたのに、全くそんな暇もなくて。「話が全然違う〜!」って思ってました(笑)。

――それでもちゃんと切り替えて乗り越えたんですね。

切り替えられたかはわからないけど、「やるしかない」って思ってなんとかやりきったんですよ。で、終わってみたら「あれ、やってよかったかも」って思えた。フランスでルーブル美術館に行ったり、現場の空気を味わったりして。最初は「絶対ムリ!」って思ったけれど、終わるころにはまたひとつ景色が変わっていた気がします。

――その経験から学ぶこともありましたか?

大河の撮影が終わったときは、「これが女優としての集大成だ」という思いもありました。でも結局、それは通過点にすぎなくて、試練はその後も次々とやってくるし、おそらくこれからも続いていくんだろうなあって、そこで思い知りました。少し大人になったのかもしれないですね。「人生ってそういうものなのかもなあ」って。

「イヤだな」って出来事が、自分にとって必要だったと気づけることもある

――いま30歳前後で悩んでいる読者の方も多いと思います。綾瀬さんから伝えられることってありますか?

難しいなあ……けれど、そのとき「なんでこんなことに!」って思うことが、後になって「あれ、悪くなかったな」って思えることって、結構ある気がします。もちろん逆もあるかもしれない。でも、「イヤだな」って思った出来事が、実は、自分にとって必要な経験だったと後から気づけることもあると思うんです。例えば、大学受験で落ちて「もうダメだ……」って思っても、その後行った学校で生涯の友に出会ったり。

――だからこそ、その瞬間をちゃんと感じて、受け入れることが大事なんですね。

私も当時は「できない!」「切り替えたくない!」ってマネージャーに泣きついてたし、浸っていたい気持ちもありました。でも、やるべきことはやらなきゃいけないから頑張りましたね。きっと、人生ってなるようになっていて、その道が最善だからこそ、そこにあるんだと思うんです。だから、この選択がベストだと信じれば、いい方向に進んでいくのかなあって。

――合同取材会でも、「なんだかんだ悩んでも、どんどん時は過ぎていく。過去に囚われているのは意味がない」とおっしゃっていましたね。

やっぱり、大事なのは“今”だと思うんです。あのときこうだったなあと思っても、「まあ、いいか」と切り替えて、今に集中すること。死に関しても、いつかそういうときが来ると受け入れながら、今をしっかり生きることがポジティブな姿勢なのかなって思います。

モヤモヤや違和感を感じたら、すぐに対処する

――また、『ひとりでしにたい』のタイトルに「自分らしくありたいっていう思いを感じた」とコメントされていましたが、綾瀬さんにとって“自分らしさ”とは?

うーん、自分らしさって、正直よくわからないんですけど(笑)、でも、自分の気持ちに素直でいることは大事にしています。思ったことはちゃんと伝えたいし、できるだけ自然体でいたいと思っています。今、特に意識していることは、違和感を早めに対処すること。小さな「ん?」を放っておくと、モヤモヤがどんどん大きくなるし、その時間がイヤなんです。だから、なるべく早く動くようにしています。

――人に話してみたり、行動してみたり。

そう、それだけでスッキリすることもあるんですよね。仕事でも人間関係でも、違和感があるまま続けるのはやっぱりよくないなって思ってます。

――今、一番楽しいのはどんな時間ですか?

美味しいご飯を食べながら、何でも話せる人と喋って、何気ないことでも大笑いできるときは、本当に幸せだなと思います。あとは、作品づくりの現場で、みんなで本音を出し合って、「いいものを作ろう!」と向き合っているときは、「生きてる!」って実感します。

「今日は楽しむ!」と決めた日は1人で発散

――お仕事以外のリフレッシュ方法は?

友達とお茶したり、チャイラテ飲みに行ったり。そういうちょっとしたことでも、すごくリフレッシュできますね。

――そういう日常の中の楽しみって、心を整えるのに大事ですよね。

家でゴロゴロするのも好きで、「1人パーティー」をするのもめっちゃ好きなんです。好きな食べ物とか飲み物をいろいろ並べて、テレビを観ながらダラダラ食べるっていう。「この時間が来たー!」って感じですね。

――めちゃくちゃいいですね。コスパも良さそうですし。

いや、意外と食費はかかります(笑)。とにかく「今日は楽しむ!」って決めて、至福のときを思いっきり満喫しています。

Information

土曜ドラマ『ひとりでしにたい』(全6回)

カレー沢薫による同名漫画を大森美香脚本でドラマ化。ひょんなことから終活について考え始める30代後半独身の主人公・山口鳴海(綾瀬はるか)が、「死にどう向き合うべきか」という問いに体当たりで挑む、笑って泣ける「終活」コメディ。NHK総合にて毎週土曜22時より放送。初回は6月21日スタート。

ツイルシャツ¥39,600(オーラリー)グルカパンツ¥49,940(ザ・リラクス)ピンキーリング¥275,000(オー/ハルミ ショールーム)リング¥28,600(マユ/マユ ショールーム)シューズ¥155,100(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ ジャパン カスタマーサービス)

撮影/You Ishii ヘアメーク/栗原里美(Three PEACE) スタイリング/山本マナ 取材/服部広子 編集/越知恭子