水上恒司さん(26)「ラブシーンはアクションだと思って演じています」【映画『九龍ジェネリックロマンス』インタビュー】

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眉月じゅんの人気漫画『九龍ジェネリックロマンス』(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)が実写映画化。吉岡里帆さん演じる過去の記憶を失った令子と、水上恒司さん演じる謎めいた先輩社員・工藤の物語。魅惑的な街・九龍を舞台にしたミステリー・ラブロマンスが展開されます。今回、自分より9歳年上の役を演じることにワクワクしたという水上さんに、作品選びの基準や役づくりのポイント、吉岡さんとの共演エピソードまで、じっくり語ってもらいました。

Profile

1999年5月12日生まれ、福岡県出身。2018年10月、ドラマ『中学聖日記』で俳優デビュー。2020年、映画『弥生、三月 -君を愛した30年-』、『望み』、『ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-』での演技が評価され、『第44回日本アカデミー賞』新人俳優賞を受賞。22年9月、岡田健史から現名称に改名。以降、映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』で『第47回日本アカデミー賞』優秀主演男優賞を受賞。NHK連続テレビ小説『ブギウギ』などに出演。今年2月、『2025年エランドール賞』新人賞を受賞。

自分より9歳上の役。やったことのないことに対してワクワクできるって、すごくいいこと

――今回、原作漫画を読まれてから撮影に入ったのでしょうか?

そうですね。オファーを受けたときは脚本がまだなくて、原作を読みました。

読んでみたら、日本の作品って往々にして説明的で、状況をセリフでわかりやすく説明することが多いんですが、この漫画は“余白”がすごく多い。描写だけの場面や、セリフがかき消されているようなコマもあって、読み手によって解釈や考察の幅がぐっと広がるんです。これを映画にしたら絶対面白くなるだろうなと思いました。一読者としてワクワクしましたね。

――出演を決めた最大の理由は?

まず、自分より9歳年上の人物を演じることです。それがすごく楽しみでした。下じゃなくてよかったですけど(笑)。僕は作品を選ぶとき、まだ自分が知らないこと、やったことのないことを優先します。それは35歳になっても同じでありたいと思う部分。やったことのないことに対してワクワクできるって、すごくいいことじゃないですか。

それから、僕が演じる工藤が抱えている“痛み”は非常に大きく、僕自身も体験したことがない。疑似体験として演じるのか、自分の中で本当に生み出すのか。そういうアプローチを考えるのが面白かったです。「できるかな、できないかな。でも、できると思ってここに来てるんだよな」って思いながら演じました。

新しい作品に入るとき、台本を前にして「これ、自分にできるかな」と思うんです。クランクインの1か月前くらいから声に出して読み始めると、「あ、これわからないな」っていう箇所が結構出てくる。その経験が増えれば、本能的にそういう“わからないもの”を避けようとするかもしれない。でも、そんなつまらない選び方はしたくない。そういう危機管理能力よりも、挑戦して成長するほうを選びたいんです。

野球選手と違って、役者は生涯現役が不可能じゃない

――これまでの経験から生まれた考えですか?

そうですね。7〜8年、かなりのハイペースでいろんな作品に出させてもらっていると、「これをやれば間違いない」というパターンが見えてくるんです。ちょっと生意気な言い方ですが、自分の強み、“武器”がわかってくる。

例えばプロ野球選手なら、選手寿命は35歳前後で、全盛期を考えれば、その武器を早めに使って結果を残すべきかもしれない。でも役者は死ぬまで芝居ができる。年齢を重ねてできることが減っても、生涯現役だって不可能じゃない。だったら武器に執着せず、まだやったことのないことに挑戦して、新しい武器を増やしていきたい。26歳でできなかったことが36歳でできるようになったら、「ああ、わかるようになったな」と思えるはず。そのための選び方を今しています。

――演じる工藤はどんな人物だと捉えていますか?

ダメな男、ですね(笑)。でも、魅力的なダメさにしたいんです。映画『王将』で三國連太郎さんが演じた棋士みたいに、情けないけど憎めない。働けよ!って思うけど、なぜか放っておけない。人との関係性の中で「許す心」ってすごく大事。僕も相手にそれを持たないといけないし、自分も許されるような愛嬌のある人間でありたい。欠点を抱えていても、それを克服しようとする姿は人を惹きつける。工藤はそういう男だと思います。

工藤が令子に抱きつくシーンは、“抱かれにいってる”んです

――吉岡里帆さんとの共演はいかがでしたか?

吉岡さんは真面目で熱心。絶対に手を抜かないし、妥協もしない。でも、寛容さもあるから委ねられる。信頼できる方です。

工藤が令子に抱きつくシーンがあるんですが、あれは“抱きにいく”んじゃなく“抱かれにいってる”。弱さや甘えをさらけ出して令子に委ねる瞬間なんです。カッコつけて「お前、寂しいんだろ」みたいなこと言ってるけど、実は自分が安心しにいってる。そんな情けない工藤を令子がガシッと掴む。あんなに小さい体なのに、彼女が背負ってきたものの大きさが見えるからこそ、観客の心も動かされるんだと思います。

――ラブシーンは得意ですか?

昔、祖母に「あんたのキスシーン見たくな〜い」って言われましたね(笑)。でも、僕にとってはアクションと同じ感覚で、理由や感情をちゃんと持つことが大事です。アクションなら、「なぜ殴るのか」「殴ったら痛みなのか虚無なのか後悔なのか」「殴られたら怒りなのか感謝なのか反省なのか」。キスシーンも同じで、「なぜこの人とキスしたいのか」「した後に盛り上がるのか冷めるのか」。カメラにどう映るかという技術面も共通です。

もちろん恥ずかしさはありますよ。大勢のスタッフが真剣に見ているわけですから。でも、アクションと同じ感覚で臨めば、恥ずかしさよりも役としての理由のほうが勝ちますね。

information

映画『九龍ジェネリックロマンス』8月29日(金)公開
©眉月じゅん/集英社・映画「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会
企画・配給:バンダイナムコフィルムワークス

舞台は、ノスタルジックな雰囲気漂う九龍城砦。不動産屋で働く鯨井令子(吉岡里帆)は、先輩社員の工藤発(水上恒司)に惹かれていく。しかしある日、一枚の写真をきっかけに工藤にはかつて、令子と瓜二つの婚約者がいたことを知る。同時に、自分に過去の記憶がないことが明らかになり……。過去と現在の時間軸が交錯するなか、二人の恋は秘められた真実を解き明かす。

シャツ¥1,705,000タンクトップ¥57,200パンツ¥173,800ベルト¥69,300シューズ¥214,500(すべてボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)

問い合わせ先
ボッテガ・ヴェネタ ジャパン 0120-60-1966

撮影/You Ishii スタイリング/藤長祥平 ヘアメーク/KOHEY(HAKU) 取材/服部広子 編集/越知恭子