【皇后雅子さま】〈空港ファッション〉に宿る品格とメッセージ性のある着こなし集

2025年7月。国際親善のためのモンゴル公式訪問にて。写真:工藤 直通/アフロ

令和になり外国訪問、そして国内の訪問も精力的にこなされている雅子さま。常にエレガントでいてスタイリッシュな雅子さまの、飛行機に乗られる前後の装いも毎回話題に。

今回は、そんな雅子さまの気になる“空港ファッション”にフォーカス。放送作家で皇室ライターのつげのり子さんとともに、雅子さまが“旅立ち”に込められた心遣いと美意識を紐解きます。

 

「皇族の方々の海外や地方への公式訪問での飛行機に乗られる前後のファッションは、公式のルールが明確にあるわけではないのですが、皇族として“品位ある装い”を心がけられているという点は、どのような場面においても一貫しています。その上で、2つの特徴を推察することができます。

令和になり先日のモンゴル訪問で3度目となる海外への国賓としての公式訪問。訪問先の国や人々への敬意をこめて、スカートのスーツ、ハット、クラッチバッグ、そしてグローブと、国際儀礼に基づいた装いをされています。スカートの丈がやや長めなのも特徴です。

国内での飛行機移動の際は、到着後に視察に臨まれることもあり、機能性を重視したパンツのスーツスタイルが多い印象です。到着後に、厳粛な式典や慰霊碑への供花など配慮が求められる場面では、着替えられることもあります。

そして共通しているのが色やデザインで、訪問先への敬意を表していること。イギリスだから、英国国旗の色、のようにストレートなメッセージではなく、ひとひねり効いたメッセージ性が雅子さまのファッション様式の特徴とも言えそうです」(つげさん)。

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海外への公式訪問では、国際儀礼を意識したスカートスタイル

国賓としてモンゴルを公式訪問された際の雅子さまの空港ファッションは、天皇陛下のネクタイの色とリンクされた淡いピンクのスカートのスーツスタイルでした。「スカートのスーツ、ハット、クラッチバッグ、一粒、一連のパールのジュエリー、そして手元にはグローブと、国際儀礼にのっとったスタイル。モンゴルにはピンクの岩塩など、ピンクのものが多くあります。ナーダムの開会式では、雅子さまは伝統衣装を意識された装いをされていましたが、最初に空港に到着された時のお召し物は、モンゴルを表すピンクのスーツでした。ぱっと色でメッセージが伝わる装いを意識されているのだと思います」(つげさん)。ハット、スーツ、クラッチ、グローブ、靴とすべてピンクと白で統一された洗練された印象。ともすれば甘すぎな印象になるピンクも、ジャケットのシャープなVカラーや、スカートのタイトなラインで、凛としたハンサムな雰囲気に。

2025年7月。国際親善のためのモンゴル公式訪問にて。写真:工藤 直通/アフロ

両陛下ともにゆかりのあるイギリスへの念願の公式訪問は、話題に。「両陛下揃ってのイギリスへの公式訪問とあって、天皇陛下のブルーのネクタイに雅子さまのスーツのお色を合わせられた、仲のよさが伝わる装いでした。雅子さまは、お若い頃から様々な色味のブルーをお召しになられるほど、ブルーが愛用カラー。この日は、訪問先のイギリス王室に愛される陶磁器のトップブランド、ウェッジウッドの代名詞、ジャスパー ペールブルーを思わせる配色のスーツを。訪問中は、白の装いが多かったのですが、到着された時はブルーを選ばれ、イギリスへの敬意をお召しもので表現されていたのだと思います」(つげさん)。ペールブルーに、アクセント的に白を効かせたスーツスタイル。縦のラインが強調される深いVのバイカラーのショールカラー、タイトスカート、また、スクエアなリボンのあしらいやクラッチで、エレガントなだけでなくスマートな印象に。

2024年6月。国際親善のためイギリス公式訪問にて。写真:つのだよしお/アフロ

国内の訪問では、敬意を示されながら機能性も重視したパンツスタイル

天皇陛下の来県は即位前を含めて7度目となりますが、愛子さまは初めての来県。そういった意味でも特別な訪問でした。「公式な場での装いを、ご家族でお色をリンクされているのは恒例となりつつありますが、沖縄訪問での到着時では、色、デザイン、そしてヘアメークまでも双子のように合わせられていたのが印象的です。雅子さまはパンツスーツ、愛子さまはスカートスーツの違いはありますが、ライトブルーのテーラードカラーのスーツ、全身同系色でまとめられ、白いクラッチにパールのジュエリーと合わせられています。雅子さまは、同日に行われた供花の際にはスカートに着替えられて、よりフォーマルな装いになっていらっしゃいますが、空港では動きやすさを重視されパンツを選ばれているのでは? と感じています」(つげさん)。雅子さまのスーツは、2019年茨城県、2023年岩手県訪問でもお召しになっていたものだそう。物を長く愛用される雅子さまらしさが際立つスーツは、衿を少し立てられ、パールも大ぶりでマニッシュに着こなされています。一方、愛子さまは可憐な雰囲気。アイテムをリンクしながらも、個性を強調された意思のあるスタイルが素敵です。

2025年6月、戦後80年の戦没者慰霊のための沖縄訪問にて。写真:工藤直通/アフロ

「式典に出席される時も、その式典の歴史やイメージ、行われる場所など、事前にリサーチされお召しもので敬意を示される雅子さま。海づくり大会は、海にちなんで、毎年ブルーの装いで出席されています。2024年は、雅子さまがブルーの中でも特にお好きと感じられるロイヤルブルーのパンツスーツに、靴、クラッチと全身色を統一されていました」(つげさん)。ジュエリーは、パールの中でも洗練された印象のバロックパールのイヤリングとネックレス、そしてスーツはダブルのデザインと、トレンド感の強い装い。格式の高さがありながらも、雅子さまらしい知的なムードが目を引きます。

2024年11月、全国豊かな海づくり大会出席で大分県入りにて。写真:工藤直通/アフロ

「到着時は、陛下の淡いカラーのジャケットに合わせて、ご自身は淡いグレーブルーの動きやすいパンツスーツスタイルでした。しかし、その後の国民スポーツ大会開会式には、佐賀県のイメージカラーであるシンフォニーグリーンのスーツに着替えられ出席されているので、非常に細やかな心配り、TPOを考えられてお召し物をきめられているのだなと改めて感じました(つげさん)」。両陛下が、毎年出席されるこの国民スポーツ大会の開会式は、場所を変えて開催しているので、両陛下にとって地方の方々と触れ合う貴重な機会。地域の様々な人々と歓談されるので、リラックス感を与える淡いカラーを選ばれていたのは雅子さまのご配慮なのかもしれません。

2024年10月、国民スポーツ大会開会式出席などのため、佐賀県入りにて写真:工藤直通/アフロ

教えてくれたのは…
放送作家・皇室ライター
つげ のり子さん

テレビ東京系『皇室の窓』の放送作家。西武文理大学非常勤講師。2001年の愛子さまご誕生以来、皇室番組の構成を担当し、皇室研究をライフワークとしている。ワイドショーから政治経済番組、ラジオまで様々な番組の構成を手掛ける。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)『素顔の雅子さま』『素顔の美智子さま』(河出書房新社)などがある。

取材/味澤彩子

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