【D.LEAGUE 開幕直前!】CyberAgent Legit・TAKUMIさんチームをひとつにする”キャプテンシー”(前編/全2回)
世界最高峰の日本発プロダンスリーグ【D.LEAGUE 25-26 SEASON】が、10月25日・26日にいよいよ開幕!
注目は、REGULAR SEASONを3連覇し、「24-25 SEASON」のCHAMPIONSHIPでD.LEAGUE史上初の完全優勝を成し遂げたCyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)。そのリーダーであり、日本のダンス界を牽引するTAKUMIさんに、D.LEAGUEの魅力やキャプテンシーについて伺いました。(第1回/全2回)
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【特別カット集】CyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)・TAKUMIさんの圧巻のムーブ、その“一瞬”をとらえました。
D.LEAGUE(Dリーグ)とは……?
ダンスのプロ育成と、アート・スポーツ・ビジネス面での新たな価値の創造を目指し、2020年8月に発足した日本発のプロダンスリーグ。プロ野球やJリーグのように、才能あるプロダンサーが大手企業チームと契約し、約半年間のレギュラーシーズンを戦い、チャンピオンシップ優勝を目指す、スポーツとエンターテインメントが融合したダンスの頂上決戦。【25-26 SEASON】は新アリーナ「TOYOTA ARENA TOKYO」で16チームが参戦。【BLOCK HYPE】【BLOCK VIBE】の2BLOCK制での開催となり、さらなる盛り上がりが期待されています。
【D.LEAGUE】で活動することは “人生の選択”をしてもらうということ、リーダーとして責任を感じていた。
STORY編集部(以下同)――TAKUMIさんは、D.LEAGUE発足時からリーダーを務めています。初年度は最下位という不遇のシーズンを経験、その後22-23 SEASON、23-24 SEASONとリーグ優勝を果たすも、チャンピオンシップでは強豪・KADOKAWA DREAMSに負けてしまうという5年間を経て、ついに今年、悲願の完全制覇を達成しました。チャンピオンシップ優勝が決まったあと、支えてくれて周りの方々とどんな話をしましたか?
「勝てなかった初年度からずっと応援し、励まし続けてくれた家族は、この優勝をとても喜んでくれました。実際に会場にも来てくれて、『本当に良かったね』と心から喜んでくれました」
――5年という時間は、決して短くなかったと思います。その間、支えになった人や後押ししてくれたものは?
「いつも応援してくださる方々が僕たちと同じように悔しがってくれたり、シーズン優勝のときも同じ熱量で喜んでくださったのがすごく嬉しかったです。僕ら一人で戦っているんじゃないと感じられて、とても大きなパワーになりました。あとは、CyberAgent Legitのオーナー・曽山哲人さんをはじめ、サイバーエージェントの皆さんが、優勝に向けて環境を整えてくださったり、すごく尽力してくれました。その度に『期待しているよ』と言っていただいて、僕らも『来年こそは優勝します』と言いつつ、正直どこか自信が持てなくなる瞬間もあったんです。でも、これだけ多くの人が期待してくれているんだから頑張ろうと思えたことは、この5年間の中で本当に大きかったと思います」
『やめてもいいんだよ』母からの言葉
――特に印象に残っている言葉はありますか?
「母親から『やめてもいいんだよ』って言われたことがあって、僕のことをすごく心配してのことだったと思うのですが、その言葉を聞いたときに全然やめたくならなかったし、自分は好きでダンスをやってるんだと再確認できたことがすごく大きかったです。責任やプレッシャーもあったんですけど、それだけでやってないなって改めて自分の中で認識できましたし、より頑張ろうと思えるパワーになりました」
――悩んだとき、ご家族に相談されることはありますか?
「いや、しないですね。僕は人に相談するんじゃなくて、基本的には自分で解決するタイプです。ただ、そのときは人生で初めてちょっとパンクしそうになって、『もう無理かもしれない』とネガティブな言葉をこぼしてしまって。たまたま近くにいた母がその言葉をかけてくれて。グッときましたね。『やめる選択肢もある』でもそれがひとつあるだけで、その選択肢もあるけど自分自身が選んで続けているんだという気持ちになれたので、あの言葉にすごく感謝してます」
――CyberAgent Legitの誕生は、大学在学中にダンサーとして活動していたTAKUMIさんに、D.LEAGUE発起人の神田勘太朗(カリスマカンタロー)氏から声がかかったことがきっかけだそうですね。そこから、すでにダンス界で活躍していた仲間にTAKUMIさんが声をかけ、チームを結成しました。勝てない期間には、リーダーとして責任を強く感じることもあったのでは?
「チャンピオンシップで優勝するまで、ずっと感じていました。レジットのメンバーは、ダンサーとしてすごくリスペクトしている人たちですし、D.LEAGUEで活動するということは年間を通して戦うこと。単に大会に出るのではなく、“人生の選択”を一つしてもらう形になるので、そこには責任があると強く感じていました。だからこそ、チームに入ってよかったと思ってほしいという気持ちは常にありました」
――チームを優勝に導くためにリーダーとして意識していたことは?
「5年間の間で、自分の立ち位置や役割はどんどん変化していきました。初年度は年齢的に自分がチームの真ん中くらいで、自分ばかりが意見を言っても説得力がないと感じて、みんなが発言しやすい雰囲気を作りつつ、意見をまとめる役割を意識していました。3年目ごろからは、リーダーとして勝敗を左右する場面では自分が責任を担うことを強く意識するようになりました。たとえば24-25 SEASONでは、自分がディレクションする作品では、エースパフォーマンス(※1)を自分で請け負うようにしました。大事な局面で率先して前に出ること、行動で示すことが大事だと感じたんです。また、誰よりも“本気で頑張る”ことも意識していました。どんなに忙しくても自分が一番努力していれば、みんなも『もっと頑張ろう』と思ってくれるはず。そこは特に大切にしていました」
※1エースパフォーマンス=各チームが選出する代表選手によるソロパフォーマンスを評価する項目
――ヒップホップ、ポップ、ロック、ブレイキンなど、異なるダンスジャンルと個性を持ったメンバーが集まっているからこそ、大変だと感じることは?
「結成したばかりの頃は、ダンスのジャンルがみんなそれぞれ違うので、まとまりを出すのに本当に苦労しました。ファーストシーズンやセカンドシーズンの作品は、今と比べるとクオリティが低いなと感じます。ジャンルを均一にすることはできなくても、統一感をどう見せるかが大きな課題で、本当に難しかったですね」
――模索していく中でレジットの魅せ方を掴んだ瞬間はありましたか?
「3年目に初めてシーズン優勝してから、自分たちの強みが明確になりました。クオリティやスキルにこだわりつつ、揃えるべきところは揃えて減点がないようにする。完成度の高さをチーム全員が共通で意識していました。少しでもズレるとお互いに指摘し合う雰囲気も、いい練習になったと思います。チャンピオンシップでは、準決勝をディレクターのFISH BOYさん、決勝を僕がディレクションしました。振り付けだけでなく、音楽や照明などやることは多く、練習を抜けざるを得ないこともありますが、今シーズンは僕がいなくても他のメンバーがチームをまとめ、モチベーションを上げてくれました。メンバーひとりひとりが台頭したことは、チームの大きな成長ポイントだと思います」
“努力のスケジューリング”は勉強面でもずっと実践。 TAKUMIさん流・壁の乗り越え方
――活動を続ける中で目の前の壁をどのように乗り越えてきましたか? TAKUMIさんなりの方法や大切にしている考え方を教えてください。
「ダンスって明確な勝敗の基準があるわけではないので、見る人やタイミングによって勝敗が変わることも多いと思います。それでも、負けの理由をちゃんと探すようにしています。理由が分からなかったとしても、投げやりになったり『俺らよかったよね』で終わらせず、改善策や反省点を探し抜くことをやってきました」
――その考え方は、D.LEAGUEやダンス以外の場面でも実践してきたことですか?
「僕は負けず嫌いな性格ですが、失敗したときに絶対に人のせいにしないと心に決めています。失敗の要因を外に求めず、自分に何ができたかを考えて、次はこうしてみようと改善点のステップを作る。これはこれまでもずっと大事にしてきました。もともと努力することは得意な方で、目標を決めて、そこまでに自分に足りない部分を洗い出して“努力のスケジューリング”を組む、というやり方は勉強面でも幼い頃から続けてきました。それをダンスや他の分野でも応用しているという感じです」
大きな目標を達成したCyberAgent Legitが【D.LEAGUE 25-26 SEASON】で目指すのは……
――完全制覇という大きな目標を達成したレジットの【25-26 SEASON】は?
「完全優勝という目標は一つ達成できましたし、どんなに辛くても、うまくいかなくても諦めなければ実現できるということを証明できたと思います。【25-26 SEASON】は勝利を目指すと同時に、D.LEAGUE自体をどう盛り上げるか、もっと大きな目線で貢献する方法をチームとして考えていかなくてはいけないと思っています。他の業種やスポーツと一緒にイベントを行う機会もあるので、そうした経験から学び、リーグ自体をより良くしていきたいです」
――今シーズン、TAKUMIさんが注目している選手は?
「Valuence INFINITIES(バリュエンス・インフィニティーズ)のMAIKAさんです。今年新しく加わった選手で、キッズ時代から彼女のダンス動画を見て練習したりしていたので、同じ舞台で戦えると思うとすごく嬉しいです。昨年のレジットとバリュエンスの対戦では、MAIKAさんがSPダンサー(※2)として加わったことがあり、結果はドローでした。今シーズンまた戦えるのが楽しみです」
※2 SPダンサー=特定のラウンド限りでチームを一時的にサポートするダンサー。
盛り上がりをみせる日本のダンスシーンとTAKUMIさんが考える【D.LEAGUE】の魅力
――今の日本のダンス界の盛り上がりをどう感じていますか?
「本当に幸せなことだなと思います。僕自身ダンサーという職業を選ぶときはすごく悩みましたし、不安もありました。でも今は、自信を持ってこの道を選んでよかったと思っています。上の世代の方々が少しずつ築き上げてきてくださったおかげで、ダンスが世間から注目される存在になってきていると感じます。そこに立たせてもらっていることに感謝しつつ、注目されているからこそ、僕たちの表現が今のダンスシーンを象徴するものとして見られてしまう可能性もあるので、ダンスのクオリティやスキルは嘘なく、より追求していきたいと思っています」
――TAKUMIさんが思う、D.LEAGUEの面白さや見どころは?
「一年間という長い期間をかけて戦いますし、最終戦はトーナメント形式です。その中で各チームにはそれぞれ思いがあり、勝敗と隣合わせだからこそ自然にドラマが生まれやすいです。単に勝った負けたの話ではなく、チーム全体の思いやストーリーがパフォーマンスに乗るところが、D.LEAGUEの面白さだと思います」
撮影/山本雄生 取材/福吉由紀子[STORY編集部]
NEWS
STORY公式YouTubeにTAKUMIさんが登場! ダンサーを夢見るキッズたちと共演します。ぜひお楽しみに!
TAKUMIさん PROFILE
2000年5月19日生まれ、福島県福島市出身。CyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)のリーダーであり、LDH所属の10人組ダンス&ヴォーカルグループ、THE JET BOY BANGERZ(ザ・ジェット・ボーイ・バンガーズ)のメンバーでもある。10歳のとき、東日本大震災の影響で屋外での活動が制限される中、姉が通っていた地元のダンススタジオでPOPダンスに衝撃を受け、ダンスを始める。高校時代には各種大会で好成績を収め、ニューヨーク・アポロシアターで開催された「アマチュアナイト」で月間チャンピオンに輝く。その後、早稲田大学法学部に進学。2020年にD.LEAGUEが発足し、大学在籍中にプロダンサーとして活動を開始。卒業後の2022年からはアーティストとしてもデビューし、活躍の幅を広げている。
Instagram @beatelements_takumi
CyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)
『21世紀を代表するダンスチームになる』を目標に、世界のダンスコンテストやバトルで活躍するメンバーが集結。HIPHOP、POP、LOCK、BREAKING、CHOREOGRAPHYなど、ストリートダンスのさまざまなジャンルを得意とする。リーグ屈指のチームワークで魅せるスキルフルなダンスは多くのファンから支持され「D.LEAGUE 24-25 SEASON」ではREGULAR SEASON優勝およびCHAMPIONSHIP優勝を果たし、D.LEAGUE史上初の完全優勝を達成した。
さらに、2024年1月には英国のオーディション番組「BRITAIN’S GOT TALENT SERIES 17」に出演し、ゴールデンブザーを獲得。日本国内にとどまらず、海外にも挑戦の幅を広げている。
Instagram @cyberagentlegit
D.LEAGUE(Dリーグ)
【25-26 SEASON】は、新アリーナ「TOYOTA ARENA TOKYO」を舞台に、全16チームが参戦。大会は【BLOCK HYPE】【BLOCK VIBE】の2BLOCK制で開催。注目の1ROUNDは、10月25日(土)にBLOCK HYPE、10月26日(日)にBLOCK VIBEが予定されています。約半年間にわたる全8ROUND+CHAMPIONSHIPでは、世界最高峰のプロダンサーのステージを、会場で臨場感たっぷりに体感可能。興奮と感動を、その目でぜひ確かめてください!
Instagram @dleague_official
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