柴咲コウさん「満島ひかりちゃんに頼りきりでした」現場で見たシゴデキぶり【映画『兄を持ち運べるサイズに』インタビュー】

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作家・村井理子さんのノンフィクションエッセイ『兄の終い』を原作にした映画『兄を持ち運べるサイズに』で主人公・理子を演じた柴咲コウさん。突然の兄の死をきっかけに、家族との距離や心のわだかまりと向き合う女性を繊細に体現しました。共演したオダギリジョーさん、満島ひかりさんとの時間、そして“表現すること”への思いまで──俳優として、表現者としての今を語ります。

Profile

8月5日生まれ。東京都出身。1998年女優デビュー後、映画『GO』(2001)で日本アカデミー賞をはじめ数々の賞を受賞し注目を集める。2002年からは音楽活動も開始し、RUI名義で『月のしずく』をヒットさせたほか、ドラマ『ガリレオ』(2007)や映画『容疑者Xの献身』(2008)の主題歌を福山雅治とのユニット「KOH+」として担当。2016年にはライフスタイルブランド「レトロワグラース」を設立し、2018年には環境省「環境特別広報大使」に就任するなど、幅広く活躍している。

一人の時間が心地よくて、家族でもずっと一緒にいるのが少し苦手

――最初に脚本を読まれたときの印象は?

自分とは家族構成も境遇も違うのに、強く共感して涙が込み上げました。ただ温かいだけの物語ではなく、自分の中に眠っていたわだかまりを掘り起こされるような感覚があって。人は誰しも、なるべく見ないようにしている感情を抱いて生きているんだなと改めて感じました。

――演じた理子という女性については、どんな印象を持たれましたか?

一見タイプは違うけれど、共通点もたくさんありました。人に弱さを見せたくないところや、家族でもずっと一緒にいるのが少し苦手なところなど。村井さんご本人も「家族とはわりとドライなんです」と話されていましたが、それは生まれた環境や親との関わりのなかで、一定の距離を保つことが“自分を守る術”として身についたのかもしれません。私は一人っ子なので、一人の時間が心地よくて、ベタベタした人間関係はあまり得意ではないんです。だから、そういうところは理子と似ていると思いました。

オダギリジョーさんと20年ぶりの共演!

――マイペースな兄を演じたオダギリジョーさんとは、『メゾン・ド・ヒミコ』(2005)以来の共演でしたね

いろいろ作品を拝見していたので、久しぶりという感じはあまりなかったです。オダギリさんの独特の佇まいが、この兄という存在を成立させていました。妹としては許せない部分が多いけれど、人からは好かれている。そんな“憎めなさ”をちゃんと表現してくださったおかげで、理子として自然な感情を表現できたように思います。

――撮影以外ではどんな感じだったんですか?

お互い社交的なタイプではないので、最初は「どうも」くらいの距離感でした(笑)。でも、スタッフを交えた食事会をきっかけに少しずつ距離が縮まったような気がします。

満島ひかりちゃんは、「No」と決めたらブレない、潔さが心地よい

――疎遠だった家族が再会する中で、満島ひかりさん演じた加奈子との関係性も印象的でした。あの自然な空気感はどう作られたんですか?

ちょうど再会のシーンがクランクインだったんです。「久しぶり!」から始められたのが自然でよかったですね。兄の元妻という複雑な関係性が、ひかりちゃんの人柄のおかげで無理なく形になりました。彼女はサバサバしていて気風がよく、理子にとって心地よい存在だったのでしょう。言い合いになるシーンもありましたが、それも家族らしい距離感だなと思っていました。あとで謝るわけでもなく、翌日には普通に一緒にご飯を食べる。そんな空気感が自然に出来上がっていったんです。

――満島さんと共演した感想を聞かせてください。

とにかく支えられました。年下ですが本当にしっかりしていて、特に仕事のときの集中力や判断の速さは抜群で、私よりもずっと“ピシャリ”としているんです。私は言いたいことはきちんと言うけれど、相手の反応次第では譲歩もします。でも、ひかりちゃんは「No」と決めたらブレない、その潔さが心地よくて。多くを語らなくても通じ合うものがありましたし、「何のために生きるのか」という根っこの部分が似ている気がしました。撮影中は本当に頼りきりで(笑)、衣食住から仕事のことや周囲との関わり方まで、いろんなことを相談していましたね。

歌詞を書くことは、自分の本音と向き合う時間

――中野量太監督からはどんなリクエストがありましたか?

クランクイン前から髪型や眼鏡などビジュアル面で細かい希望がありました。眼鏡は自分が普段使っているものを採用してもらって。一番自然で、“かけてます感”がなかったんです。髪は「原作の理子に寄せてほしい」と言われたので、少し丸みをもたせて顎に沿うようにカットしました。監督の理子像と私のイメージに大きなズレはなく、あとは “キツく見えないか”という点は意識しました。私は普段、わりとハッキリ物を言うタイプですが、理子は頑固さはあっても物腰は柔らかい。なので、自分の中の “ピシャリ感”は抑えるようにしていました。

――作家の理子にとって“書くこと”は心を支える行為でもあります。柴咲さんにとって気持ちが軽くなる瞬間は?

歌詞を書いているときですね。歌詞を書くことって、装うこともできるけれど、自分の本音とも向き合わないと書けない部分があるんです。そういう意味で、理子の書くことと通じるものがあると思いました。自分にとっても、心を支える大切な時間です。

――歌詞はどんなふうに生まれるんですか?

私にとっては、作詞は仕事というより“癒し”。アウトプットすることが大事で、お芝居をしているときにも、言葉や詞が自然に湧いてきます。普段の自分ではない、役の影響を受けている状態で書くことも多々あります。逆に、ビジネス的な業務をしているときは全く書けなくて(笑)。「音楽制作期間です」と時間を与えられても、切り替えるのに時間がかかってしまう。音楽とお芝居は自分の中で密接に繋がっていて、作用し合っているように感じます。

Information

映画『兄を持ち運べるサイズに』11月28日(金)公開
作家の理子(柴咲)は、警察から兄(オダギリジョー)の急死を知らされ東北へ向かう。元義姉の加奈子(満島ひかり)、姪の満里奈、甥の良一と7年ぶりに再会。兄の遺品を整理する中で、知らなかった兄の一面に触れる。怒り、笑い、涙しながら家族を想い直す、4人のてんてこまいな4日間が始まる。

シャツ¥46,200(RUMCHE) ニット¥6,800パンツ¥8,900(ともにIMMEZ) ピアス¥22,000(JUSTINE CLENQUET/THE WALL SHOWROOM) リング<左中指>¥84,700(oeau) リング<右中指> ¥46,200(MAYU/MAYU SHOWROOM)

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撮影/木村敦(Ajoite) スタイリング/柴田 圭 ヘアメーク/SHIGE(AVGVST) 取材/服部広子 編集/越知恭子