柴咲コウさん「3年半ストイックに生きて、“もう無理!”と思いました」【映画『兄を持ち運べるサイズに』インタビュー】

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映画『兄を持ち運べるサイズに』で、主人公・理子の繊細な心の揺れを丁寧に演じた柴咲コウさん。撮影を通して見つめ直した「自分の本音」や「仕事との向き合い方」、そして年齢を重ねた今だからこそ感じる“幸せ”について語ってくれました。ストイックな生活から「心の豊かさ」を重視する生き方へ。その変化の背景にある思いとは……。

Profile

8月5日生まれ。東京都出身。1998年女優デビュー後、映画『GO』(2001)で日本アカデミー賞をはじめ数々の賞を受賞し注目を集める。2002年からは音楽活動も開始し、RUI名義で『月のしずく』をヒットさせたほか、ドラマ『ガリレオ』(2007)や映画『容疑者Xの献身』(2008)の主題歌を福山雅治とのユニット「KOH+」として担当。2016年にはライフスタイルブランド「レトロワグラース」を設立し、2018年には環境省「環境特別広報大使」に就任するなど、幅広く活躍している。

内面では思いを出しきれずに、フラストレーションを感じることも

――舞台挨拶のとき、「最近、仕事への向き合い方やスタイルを見直している」とお話しされていました。作品や満島ひかりさんとの交流を通して、どんな気づきがありましたか?

まさに、そのあたりに大きな発見がありました。先ほども少し触れましたが、自分ではハッキリ物を言うタイプだと思っていたんです。でも実際は意外と本音を隠したり、言い淀んだりする部分があることに気づいて。言いたいことは言うので “強い人”と思われがちですが、内面では思いが出しきれずにフラストレーションを感じることもあるんです。ちょうど、自分の中で “より良く生きるための改善策”を再構築していた時期でもあったので、撮影現場での過ごし方やモチベーションの保ち方など、いろんなことを見直すきっかけになりました。結局これまでどこにゴールを定めているのかが曖昧だったんだなと気づき、明確な方向性を持つことの大切さを実感しました。

――CLASSY.の読者は20代後半から30代前半が中心です。そのころの柴咲さんは、30代を前にプレッシャーや不安を感じることはありましたか?

当時も発言のスタンスは今とあまり変わっていないと思います。でも、今振り返ってみると “若さ”や“年齢”に対するプレッシャーは、確かに今よりずっと強かった。世の中が作る「20代後半のあるべき姿」や「いよいよ30代」という空気感に影響を受けていた気がします。当時は、「悩み多き世代」と言われてもピンときていなかったけれど、漠然とした不安を抱えていたのかもしれません。でもその不安って、突き詰めると “自分にまだ何かが足りない”という気づきの表れなんですよね。

自分の声をちゃんと聞くと、自然と迷いが減ってきます

――人生の選択や人間関係で迷っているときのヒントやメッセージをいただけますか?

「素直になること」。それがいちばん大切だと思っています。そして、自分が本当に求めているもの、心がワクワクするものは何か。 “誰かがどう言うか”ではなく、 “自分はどう感じるか”をちゃんと見つめること。そういう習慣を持てると、自然と迷いが減ってくると思います。今はSNSなどの情報やちょっとした言葉に左右されやすい時代ですが、どんな意見もあなたの人生の責任を取ってはくれません。だからこそ、自分の声をちゃんと聞いてあげてほしいと思います。

――読書を通じてそうしたヒントを得ることもありますか?

あります。ノンフィクションをよく読みますし、哲学や精神科学の本も好きです。そうした本は、自分を客観視する手掛かりになるんですよね。人の意見を聞くこともありますが、学術的で客観的な“人間論”のほうがしっくりくることもあります。自己啓発というより、冷静に人間を観察するようなものに惹かれます。

たまのジャンクフードも心を満たす栄養に

――最近ハマっていることや、食生活で意識していることはありますか?

以前、3年半くらい、すごくストイックに食生活を管理していたんです。でも、あるとき体が「もう無理!」って(笑)。今は本当に柔軟になりました。食べたいものを食べる、それが今の私の答えです。大切なのは “心の豊かさ”。栄養やビタミンなどの科学的なアプローチももちろん大事ですが、“美味しい”という喜びに勝るものはありません。楽しい、嬉しいという感情は、まさに心のビタミン。たまにジャンクフードを食べるのだって、心を満たす栄養になると思います。

それに、最近はきちんと休息をとることの大切さも実感しています。パフォーマンスを最大限に発揮するためには、良質な休息が必要なんです。休むことをネガティブに捉える風潮もありますが、そこは変えていくべきだと思います。会社経営においても、次の段階に進むために、自ら率先して質の高い休みを取るようにしています。

――最後に、幸せを実感する瞬間を教えてください。

事業などは、結果が全てと判断されることが多々ありますが、私は過程そのものを愛するタイプ。取り組んでいる最中にこそ幸せを感じます。結果に執着してしまうと、思うような成果が出なかったときに不幸を感じてしまいますが、経験を積み重ね、その道のりを歩んでいけること自体が幸せだと思えると、人生の幸福度も上がります。

Information

映画『兄を持ち運べるサイズに』11月28日(金)公開
作家の理子(柴咲)は、警察から兄(オダギリジョー)の急死を知らされ東北へ向かう。元義姉の加奈子(満島ひかり)、姪の満里奈、甥の良一と7年ぶりに再会。兄の遺品を整理する中で、知らなかった兄の一面に触れる。怒り、笑い、涙しながら家族を想い直す、4人のてんてこまいな4日間が始まる。

シャツ¥46,200(RUMCHE) ニット¥6,800パンツ¥8,900(ともにIMMEZ) シューズ ¥192,500(Gianvito Rossi/Gianvito Rossi Japan) ピアス¥22,000(JUSTINE CLENQUET/THE WALL SHOWROOM) リング<左人差し指>¥79,200<左中指>¥84,700(ともにoeau)リング<右中指> ¥46,200(MAYU/MAYU SHOWROOM)

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撮影/木村敦(Ajoite) スタイリング/柴田 圭 ヘアメーク/SHIGE(AVGVST) 取材/服部広子 編集/越知恭子