「コーチングを日本にも」五輪銅メダリスト・都筑有夢路選手&都筑虹帆選手、次世代サポートへの想い

「自分を信じる力」を育みたい。
日本のトップサーファーとして活躍する、都筑有夢路(つづき・あむろ)選手&都筑虹帆(つづき・ななほ)選手が、2025年11月29日(土)神奈川県・鵠沼海岸にて、小・中学生の女の子向けのサーフィンイベントを開催しました。サーフィン指導、映像分析から座学、メンタルケアまで充実の内容!サーフィンの技術だけではない、心も育てるセッションを通して、おふたりはどんな未来の夢を描いているのか?イベントの内容とともに、熱い思いもインタビューしました。

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都筑有夢路選手とキッズが夢の共演!

サーフィンを通じて、心の成長も大切にしてほしい…そんな想いからスタート

有夢路選手

「プロサーファーとして海外で10年活動する中で、サーフィンを通じて自分自身の心が成長した経験を、将来を担う子どもたちに伝えたいと思っていましたし、子どもたちに、より良い環境でサーフィンに挑戦できる場を提供したいという願いも同時に持っていました。現役の私たちのリアルな声を子どもたちに届けたい思いが強かったんです」

虹帆選手

「有夢路ちゃんとは遠征先でよく話す機会があったんです。何かできれば…と考えていたところに、懇意にしている水野亜彩子さんから賛同いただき、地元の皆さんの協力や数々の協賛を得てこのイベントに繋がりました。ガールズパワーをテーマに、いずれは女性が輝ける場所を作れたら…とも話しています」

海外の経験から日本のサーフィンコーチングには課題があると感じた

有夢路選手

「海外ではコーチングがビジネスとして確立されていて、試合に負けたときに次に向けてどう気持ちを向けていくか?自分との向き合い方などの指導やメンタルケアも充実しています。一方で、日本では技術や戦術指導が中心となっていて、メンタル面へのアプローチは発展途上。日本でも当たり前のようにメンタルケアもできる環境やコーチングシステムを整えたいと思っていて。今回のイベントでは、自分との向き合い方についても考えられる、コーチングを取り入れました。」

虹帆選手

「子どもの頃のケアは、親御さんが中心になることが多いですよね。技術的な指導も親に受けている場合には、親子間の関係性で苦労を伴うことも多いように思います。実際私も同じような経験をしてきました。今回のように、コーチという第三者が間に入って、コーチングやメンタルケアをすることが、子どもたちの可能性を広げることにもなりますし、考えの幅が拡がることで、楽しい時間を過ごせる子どもが増えるのではないかと思うんです」

子どもたちの笑顔が何よりも嬉しかった

少し寒かった鵠沼海岸。ビーチクリーンをしたりアップで走ったりして、親睦を深め、子どもたちの心と体をほぐした

とにかく良いところを褒める!そして的確にアドバイスをする。子どもたちの目覚ましい上達は驚くほど

有夢路選手

「鵠沼海岸の方のご協力もあり、8人のガールズが貸切状態で波に乗れる環境が整えられました。3 〜4本の波に乗った後、だいたい30分くらいで陸に上がってもらってアドバイスする流れで。私たちのアドバイスを的確に受け入れていく子どもたちが頼もしかったですね。虹帆ちゃんとはライバルでもあるけれど、お互いリスペクトし合っていてすごくいい関係性であるってことを、子どもたちに見せられたのも良かったかな?と思っています」

虹帆選手

「コーチングする中で、“褒める”ことを意識していました。もし失敗したとしても挑戦したことを褒めて、次に繋げるマインドになってほしいと。チャレンジすることを怖がらないでほしいんです。有夢路ちゃんは子どもたちの良いところを見抜く力がすごい!私も同じスピードで課題解決までを考えていきました。子どもたちが上手に波に乗れてルンルンとスキップしながら陸に上がってくる姿を見て私たちも嬉しかったですね!」

「心の強さ」を身につけてもらうために…

有夢路選手の経験談を真剣に聞く子どもたち

小中学校での講演内容を活かして子どもたちへのセッションをする虹帆選手

有夢路選手

「私自身が今までの経験から培ったこと…。それはテクニカルな失敗の裏にある、感情的な原因を探る作業が大事ということ。たとえば試合でいつも通りならできるテイクを失敗してしまった場合、その裏に緊張や恐れが潜んでいることも。子どもの頃から、自分の思考パターンをある程度把握しておくことで、対策がとりやすくなると思うんです。私、実は自分の感情と向き合うために日記を書いているのですが、その内容と私の経験をもとに簡単なチェックシートを作成して、子どもたちに配りました。試合前に見てね!って。」

虹帆選手

「私も有夢路ちゃんと同じく、日記をつけています。感情の分析の仕方が似ているかもしれませんね。私の場合は理路整然とした内容ではないのですが…。ただ、もともと感情を表に出したくないタイプで、そのまんまの感情を書き出すことで、自分の心を客観視できるようになりました。そして、自分がなりたい自分像に近づくために何が必要か?考えを広げることができます。このルーティンが常に新しい自分になっていくためのステップだとも。こうして心の強さを身につけたように思います」

何よりも『自分』にフォーカスを当てること!未来は明るい!

有夢路選手

「サーフィンは海という自然に左右されるもの。海のせいにしたくなる原因がいっぱいあるのですが、常に自分がコントロールできる、自分のパフォーマンスに集中することが大切なんです。もちろん採点競技でもあるので、他人と比べることもあるかもしれませんが、結局は自分との戦い。どれだけ素晴らしいパフォーマンスを出せるか?に集中することで、きっと観る人たちを感動させたりワクワクさせることに繋がります。子どもたちにはそんな意識を身につけてほしいと思います」

虹帆選手

「私は少し深掘りした内容を子どもたちに持ち帰ってほしいと思っていました。思春期を迎える子どもたちの中には、夢を持つことに臆病になって子もいるかもしれません。以前、学校で講演したこともあるのですが、夢についてたくさん話しました。何かに挑戦することで新しい世界が広がり、そこに見える楽しいとか幸せという感情が、夢を見つけるヒントになること、そして、夢ができたときに、では何をしたら叶えられるか?といえば、一生懸命頑張ることと諦めないこと。根性論みたいになってしまいましたが、いろんな困難があったとしても、そこに憧れや幸せがあり続けるのであれば、絶対に諦めちゃダメって。私の経験則からもお話ししました。子どもたちには、サーフィンも頑張り続けていたらできるようになるし、キラキラ輝く未来があることも伝わったように思います。」  

イベントを終えて…

おふたりとも、子どもたちからの笑顔から力をもらい、教えていく中で、ご自身の技術についても新たな気づきや学びがあったとお話しされていました。

この経験は今後にも活かされイベントは続いていくことでしょう!

子どもたちの未来は明るい!

 

お問い合わせは

Aasakomizuno.564@gmail.com

撮影/shujiizumo 取材/竹永久美子

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