梅宮アンナさん、蛍光色のマスクや服で通院「引かれるけど病院の中も自分の気持ちも明るくしたくて」
2024年8月13日、梅宮アンナさんは乳がん(浸潤性小葉がん)ステージ3Aを公表。2025年4月、放射線治療を終え、手術・抗がん剤・放射線という三大治療をすべて乗り越えました。JJモデルの頃から憧れの象徴だったアンナさんは、今、同じ時代を生きる同世代のひとりとして、様々なライフサイクルを経験しながら人生を更新し続けています。人生に、正解なんてない。それでも、誰かの経験が次の一歩のヒントになることはある。この連載では、STORY読者から寄せられた「アンナさんに聞いてみたいこと」をもとに仕事、再婚、家族、健康についてなど、人生の節目に向き合うリアルな言葉を、妹たちへ届けます。
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ℚ.治療と仕事の両立に悩む女性に向けて、アンナさんが日々心がけていることや支えになった考え方があれば教えてください。
ウィッグが、いつもの私に戻してくれました
私が一番助けられたのは、やっぱり「外に出ること」だったと思います。治療中も、ずっと家にこもることはしなかったですね。なかでも大きかったのが、ウィッグの存在。本当に、すごく助けられました。もし私が今使っているウィッグに出会えていなかったら、たぶん気持ちの持ち方は、もう少し違っていたと思います。
短い髪も、長い髪も用意して、病気になる前の自分に近い外見をつくった。それが、私のなかではすごく大きかった。病気になったからといって、「この服は着られない」とか「こういう格好をする気分じゃない」とか、そういうふうにはしたくなかったんです。むしろ、病気に見せないことのほうが、生活していくうえで大事だったんじゃないかなって思っています。ウィッグも本当に自然で、「え、本物でしょ?」って言われるくらい(笑)。あれは、本当に心強かったですね。
もちろん、抗がん剤治療中は、今みたいに元気な日ばかりじゃない。毎日気持ち悪かったし、しんどかった。それでも、仕事をするために外に出て、人と話す。これは、すごく大事だったと思います。寝たきりじゃないなら、気持ちを上げるのは、やっぱり自分なんですよね。勝手に元気になることはないから。
私は病院に行くときも、蛍光色のマスクをしたり、ネオンカラーの服で行ったり、夏は短パンで行っちゃったりして(笑)。ちょっと引かれることもあったけど、病院の中も、自分の気持ちも、明るくしたかった。「明るくいること」って、病気の人だけじゃなくて、すごく大事なことだと思うんです。落ち込むことは誰にでもあるけれど、ポジティブに持っていく工夫は、自分でできる。
私は病気のことを公表していたので、知っている人は声をかけてくれました。それが、すごく救いだった。でも一方で、病気のことを言えない人が多い社会でもある。「聞かれるのが嫌だから言わない」そういう声も、たくさん聞きます。それって、とてもセンシティブなことだから、隠したい気持ちも、もちろん分かる。ただ、言えないことで、今度は周りがどう声をかけていいか分からなくなってしまう。だから私は、できるだけ以前と変わらない自分でいようと思った。
昔には戻れないけど、服も、外見も、振る舞いも、できるだけ“普通”でいる。
そうしないと、人は声をかけてくれないんじゃないかなって。実際に、「どう声をかけていいか分からなかった」って言われたこともあります。「アンナちゃん、全然がんに見えないね」そう言われたとき、内心「それそれ!」って思っていました(笑)。変に気を使われすぎるより、ちゃんと対等に、普通に接してもらえるほうがいい。病気の人を、特別扱いしすぎない社会に、もう少しなっていくといいなって思います。
ℚ.副作用とどう向き合ってこられたか、心身のつらさを乗り越えるうえで実際に効果のあった工夫などを教えてください。
人によって辛いと感じる治療が違うかもしれません
この質問をされるということは、きっと副作用で悩んでいる方が多いんだろうなと思います。ただ、私自身の体験を正直にお話しすると…
私が服用しているのは、ホルモン療法のタモキシフェン。乳がんなど、女性ホルモンと関係のあるがんに対して、ホルモンの働きを抑える薬ですよね。よく聞くのは、ホットフラッシュや気分の落ち込み、朝起きられないといった更年期のような症状。でも私は、そうした症状をほとんど感じていません。「ちょっと合わないかも」と病院に相談したことも、これまで一度もありませんでした。
もうひとつ、飲む抗がん剤のベージニオも服用しています。こちらは、副作用として下痢が出やすいと言われている薬です。普段は「ちょっとトイレに行きたいな」という程度で、痛みが強かったり、動けなくなるような下痢ではありません。だから日常生活では、自分が治療中であるという意識すら、正直あまりないくらいでした。
ただ、実はお正月に旅に出たとき、いつもとは少し状況が違いました。
それが、予告なしにくる下痢だったんです。
「来るかも」と分かっていれば対処もできるけれど、何の前触れもなく突然で…。正直、恥ずかしい話ですが、下着が何枚あっても足りなくなりそうで、「これはちょっと無理かも…」と思いました。
旅先でしたし、一緒にいるよっちゃんに心配や気まずい思いをさせるのも嫌だったので、タモキシフェンとベージニオを、数日間だけお休みすることにしました。これらの薬は数年単位で付き合っていくものですし、1週間くらいであれば問題ないということは、以前から担当医にも相談していました。せっかくの楽しい旅が、そうじゃなくなってしまうのも辛かったんですよね。
その判断を後押ししてくれたのが、ある方の経験談でした。
毎日きちんと飲む時間を決めて、真面目に治療を続けてきた方が、「旅行のときだけは薬を休んだ」と話していて。その言葉に、すごく救われたんです。
だから私も、「無理をしない」「楽しい旅は、ちゃんと楽しむ」という選択をしました。
よく「副作用はそんなにつらくない」と書かれることもありますが、私が悩んだとしたら、それはタモキシフェンではなく、ベージニオの下痢。これは、人によって出方も、タイミングも、本当に違うんだなと、身をもって実感しました。
とはいえ、今はもう本当に普通の生活をしています。薬も、結果的に私には合っているんだと思います。
振り返ってみると、副作用を強く感じなかった理由のひとつは、「毎日、考えることがたくさんあった」からかもしれません。仕事のこともそうだし、結婚して新しい生活が始まったことも大きかった。今までやったことのないことを、毎日やっている感覚があるんです。
よく、更年期も「忙しい人ほど気づかなかった」という話を聞きますよね。アスリートに更年期の話があまり出てこないのも、きっと、常に身体を動かしているから。私もまさにそうで、じっと家にいるほうが、よっぽど具合が悪くなってしまうタイプ。
気づかないうちに、アグレッシブに動いていることが、私にとってのいちばんの対処法だったのかもしれません。
ℚ.芸能のお仕事をしていなかったとしたら、どんな働き方や生き方をされていたと思いますか?今の価値観から想像する“もうひとつの人生”を教えてください。
もし産まれ変わったら、大変だと思うけれど、やっぱり医者になりたいな
実はね、やりたかったこと、いっぱいあるんですよ。もう本当に、非現実的なものから、わりと現実的なものまで、数えきれないくらい。
だからもし「もう一回生まれ変わったら、また梅宮アンナになりたい?」って聞かれたら、正直、なりたくない(笑)。それくらい、別の人生もたくさん想像してきました。一番最初に憧れていた職業は、宇宙飛行士。小学生の頃ですね。ちょうど小学校6年生のときに、スペースシャトルの事故をテレビで見て「あ、ちょっと怖いかも」って思って、そこで一度夢は止まったんだけど。
あとは、CAさんにもなりたかった。空を飛ぶ仕事には、ずっと憧れがありました。それから、実はうち、都内に「梅宮医院」という病院があったんです。祖父が医師で、内科の医院をやっていて。小さい頃、いとこたちが並ばされて「この中の誰かが梅宮医院を継ぎなさい」って言われたこともありました。結局、誰も医者にはならなかったんですけど(笑)。
芸能界の仕事がちょっと嫌になった時期があって、24〜25歳くらいの頃かな。そのとき、本気で「もう一度勉強して、医大に行って、梅宮医院を継ごうかな」って考えたことがあるんです。でも現実は厳しくて。「今から勉強して医大なんて無理だ」「どれだけお金がかかると思ってるんだ」と、周りから散々言われて、「ですよね…」って、また元の道に戻ったんですけど。それでも今でも、思いますよ。もう少しだけ頑張ってみればよかったかなって。
病気を経験したこともあって、今あらためて思うのは、やっぱり医者になりたかったなという気持ち。人の命を救う仕事って、本当に一番尊い仕事なんじゃないかなって思うんです。今の時代だったら、美容皮膚科とかいろんな選択肢もあったかもしれない。でも、私が本当に惹かれていたのは、やっぱり命に直接向き合う仕事でした。
もちろん、今さら医者にはなれないけれど、こうして自分の経験を発信することで、誰かの背中を押したり、気持ちを軽くしたりすることはできる。それも、もしかしたら、私なりのもうひとつの形の医療なのかもしれないな、なんて思ったりしています。
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撮影/古水 良(cheek one) ヘア・メーク/森 ユキオ(ROI) スタイリスト/乾 千恵 取材/日野 珠希
SHOP LIST
〇カイタックインターナショナル 03-5722-3684
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