“家事分担と合わない”家計負担。夫への「納得いかない!」を建設的に解決するコツ
子どもの成長とともに支出が増え、気づけば負担に差が生まれやすい共働きの〝お金のセッパン問題〟。STORY世代夫婦の話し合い、どうしたら? 専門家に聞きました。
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「家事も育児も私で、生活費はセッパン?」共働き夫婦の“モヤモヤ”を放置しないためのルール
お話を伺った専門家
安東秀海さん、安東美紀子さん
夫婦関係を専門とするカウンセリングオフィス「Life Design Labo」を主宰。10年以上臨床に携わるベテランカウンセラーの秀海さんと、米国Gallup社認定Strengths Coachとしても活動する美紀子さんが、幅広い夫婦の悩みに寄り添う。
Q. 夫は家事をほとんどしないのに、家計負担だけはセッパンなのが納得できません
A. 分担を変えたい?感謝されたい?まずは不満の中身を明らかにして
話し合いをするとき、感情の赴くままに不満をぶつけるのはNG。「妻の機嫌が悪い」という状況だけが伝わり、肝心の本当にわかってほしいことが伝わりません。まずは、思いの丈を書き出したりカウンセリングを活用したりして、自分の気持ちと向き合うことが大切。「夫に対して何が不満で、何を変えてほしいのか」を明確にしてから、話し合いを持ちかけましょう。家事をもっと負担してほしいのか、家計に入れるお金を増やしてほしいのか、はたまた毎日頑張る自分に感謝や労いの言葉がほしいのか。モヤモヤの正体を言語化することで、夫へのリクエストが明確になり、お互いにとって納得感のある話し合いができるようになります。また、「お金の話は夫のプライドに触れるかもしれない」ということを頭の片隅に置いておくことも重要。「お給料=自分の評価」と思っている男性も多く、家族ごととして家計の話を持ちかけたとしても、自分自身を否定されたように感じて怒ったり落ち込んだりしてしまう可能性があります。話し合いの最初に、「あくまで家族の将来設計として、家計の話がしたい」と伝えておくことで、議論がしやすい土台作りにつながります
Q. 生活費はセッパンしていないが、夫から〝会社の〇〇さん夫婦はセッパンらしいよ〟と言われてモヤモヤ
A. 案外、深い意味がない場合も。「つぶやき」には「つぶやき」で返答を
夫の何気ない言葉が心に刺さり、悲しくなったりイライラしてしまうこともありますよね。ですが、夫のつぶやきはあくまでつぶやき。何の意図もないことがほとんどですから、ご安心を! もし発言にモヤッとしたときは、すぐに聞き返すことが大切。夫はつぶやいたことすらも忘れてしまうことが多いからです。その際は、「生活費セッパンにしたいってこと~?」と同じテンションで返すと、喧嘩になりにくいのでおすすめ。また不満やイライラに黙ってしまうタイプの夫には、労いの言葉を枕詞に話を始めてみましょう。話し合いの場面に加え、日頃から感謝をきちんと伝えておけば、根本的な夫婦関係の改善にもつながります。伝えすぎかも? と感じるくらいでちょうど良いんです。
Q. 息子の成長で食費が増え、食費担当の私が自由に使えるお金がどんどん減っています
A. 話し合うなら、日時の予約と大まかなデータの用意を
家計の話を切り出したいときは、「○曜日の夜に時間をもらえる?」と、内容は伝えずに日時を押さえておくのが◎。一見深刻に感じさせておくことで、実際話し始めたときに「なんだ、その程度か」と心理的ハードルが下がり、要望が通りやすくなります。また話し合いの場面では、感情に訴えるのではなく、事前準備を徹底することが大切。「何に」「どのくらい」お金がかかっていて、「どこに」「いくら」足りていないのか。ざっくりでもいいので、直近2カ月分ほどの家計の内訳を可視化しておきましょう。それに加えて、普段から物価高を共有しておけば、いざ話をするときに温度差が生まれにくくなります。「お米を買ってきて!」と買物をお願いしたり、「レタスが○円もしたんだよ〜」と何気なく情報を共有しておくのが有効です。
Q. お金の話はタブーな雰囲気。夫の収入が良い時は安心ですが、悪い時は余計聞けなくなり…
A. 不安なのは〝今〟? 〝将来〟? 知りたいことを明確にしてから戦略を
収入にアップダウンがある場合、夫に家計の話をするときは、仕事の調子が良さそうなタイミングを選びましょう。ただし、話し合いに入る前にまず大切なのは、自分が何に不安を感じているのかを整理することです。今の家計の動きが見えていないことが不安なのか、それとも将来に対する漠然とした不安なのか。そこを明確にしたうえで、収入に波のある家庭は数年分の家計を振り返り、お金の大まかな流れを把握してみましょう。さらに、今後かかりそうな大きな出費を洗い出し、将来的にどれくらいの蓄えがあれば、お互いが安心して満足のいく生活を送れるのかをすり合わせていくことが大切です。また、どちらか一方がお金の管理を担っている場合は、その体制が本当に夫婦にとってベストなスタイルなのかも、早めに話し合っておきたいポイント。そして、もうひとつ忘れてはいけないのが不満の扱い方。不満を溜め込めば必ず爆発しますので、日頃から小出しに上手に伝える練習をしていきましょう。
Q. 私がジュエリーに、夫が車にお金をかける意味がわかり合えません。夫婦間で収入差があり、価値観のズレがストレスに
A. お金の価値観は変えられません。「妻がご機嫌」という新価値をつくって
お金を何に使いたいか、そこに何を喜びとして感じるかは、人それぞれ。一緒に暮らしていると、どうしても相手のお金の使い道が目に入り、気になってしまいますが、「お金を好きなことに使う」という行為そのものが、働くモチベーションや心の余裕につながっていることも事実です。もちろん、どちらかがお金を使いすぎて家計を圧迫したり、生活に支障が出るようであれば問題。そうでない限りは、「喜びをくれるものへの投資」として、まずは理解する姿勢を持ちたいところ。夫には、ジュエリーやバッグ、推しのライブそのものの価格や価値ではなく、それによって妻が笑顔でいられることこそが、家庭にとっての価値だと伝えていきましょう。
【まとめ】お金の話し合い3箇条
- 不満をぶつける前に、「夫に変えてほしいこと」を明確に
- 長期的なことは〝論理的に〟短期的なことは〝気持ちを添えて〟
- 「日頃の褒めちぎり」が話し合いを円滑にする近道に
撮影/BOCO イラスト/添田あき 取材/片山あゆみ、渡部夕子 ※情報は2026年3月号掲載時のものです。
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