【道枝駿佑さん】映画『君が最後に遺した歌』三木孝浩監督、亀田誠治 音楽Pとスペシャル対談<全文掲載>

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切ないラブストーリーに印象的な映像と音楽。観る人の記憶に残る映画『君が最後に遺した歌』。今回は主演の道枝駿佑さんと監督・三木孝浩さん、音楽プロデュース・亀田誠治さんとの貴重な対談が実現。二人のクリエイターとの対談から道枝さんの“今”が見えてきました。

僕の音楽家人生のスタートはまるで春人(亀田さん)

――道枝さんが演じる春人という役に触れた時の感想は?

亀田さん(以下・敬称略):「僕の音楽家としてのスタートは春人くんとすごく似ているんです。全然認められなくて。一緒にグループを組んだ仲間だけがデビューして僕は入れなかったんですよ」
道枝さん(以下・敬称略):「へー!そうなんですね」
亀田:「それでも“スタジオに遊びにおいで”と声をかけられると伺ったりしてね。でもその間も一緒に曲を作っていた仲間はデビューをしていって…。これが僕が23、24歳頃に多発したんですよ」
道枝:「今回もそういうシーンがありますよね」
亀田:「そうそう、だから道枝さんにはもちろん、監督、プロデューサーさんに“これ、僕だから!”って(笑)。35年くらい前の自分を見ているようで無茶苦茶刺さって。春人の人生と若かりし自分がピッタリと重なって、震えました。これはいい曲を書かないと!って(笑)」
道枝:「亀田さんの音楽を聴いた時、リハーサルから感情が溢れてしまって。泣きそうだなって思った時に監督が“もうあとは本番で聞けばいいよね”って言ってくださったんです(笑)。あれは助かりましたね」
亀田:「そうだったんだね!?僕はずっと春人と道枝さんが重なっているのだけど、道枝さんは春人との共通点はある?」
道枝:「僕も(春人と同じく)繊細な方だとは思っていて。考えすぎちゃうところがある…。発言する前に考えちゃうんです。言葉にするのがすごく苦手で」
亀田:「伸びるアーティストの皆さんって、言葉にする瞬間にいろんな葛藤があったり、込み上げるものがあって言葉にならないからまず音楽にしたりするんですよ。道枝さんもそういうタイプですね」
道枝:「そうですかね?(笑)」
亀田:「僕はおしゃべりのくせに言葉にできないんです(笑)」
二人:(笑)

この作品は、想像力のエネルギー交換の結果

「サウンドトラック、全部エモいですよね」(道枝さん)
亀田:「三木組は、映像を撮る前に曲を作るんですよ。だから監督のイメージを先にもらうんです。いわば想像力のエネルギー交換」
道枝:「完成したものを観た時、撮影時に想像していたものと一緒で驚きました!」
亀田:「僕は泣きましたよ(笑)。想像を超えていて。人が演じると曲に魂が入る。そこが映画に音楽をつけることの楽しさですね」

――道枝さんの新たな魅力は?

「春人の心の動きに合わせた曲作りをしました」(亀田さん)
亀田:「役者さんとしての表情や所作だったりが進化されていて。道枝さんしか出せない光というか、オーラがあるんですよね」
道枝:「ありがとうございます」
亀田:「道枝さんに曲を提供させてもらう機会があれば、僕の人生を注いだようなものを作ります!」
道枝:「壮大すぎます。でも嬉しいです。いつか叶いますように」

音楽プロデュース・亀田誠治さん
音楽プロデューサー・ベーシスト。椎名林檎、スピッツ、平井堅など数多くのプロデュースやアレンジを手がける。2021年には映画『糸』で日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。すでに話題沸騰中の生見愛瑠さんが演じるヒロイン・綾音が歌う劇中歌は、亀田さんによる書き下ろし。今作の音楽をすべて担当しています。

新しい道枝さんが見たかった(三木監督)

――『今夜、世界からこの恋が消えても』(通称“セカコイ”)以来の久しぶりのタッグはいかがでしたか?

三木監督(以下・敬称略):「今回は、前回ご一緒した“セカコイ”で役的に出せなかった道枝さんの魅力を皆さんに見てもらいたいなと思っていました。それで“受けの芝居”を大切にしていきたいねっていう話をしまして。春人はいろんな気持ちのレイヤーがあるので、そういう複雑な感情を表現して欲しいと話したら、見事に演じてくれました」
道枝さん(以下・敬称略):「ありがとうございます。監督が撮影前にお手紙をくださって。そこにキャラクターのイメージが書かれていて、現場でも合間に読み返したりして。すごく安心する手紙だったので、撮影期間中は台本に挟んでずっと持ち歩いていました」
三木:「作品の印象はどうだった?」
道枝:「切ないなって思いました。でもそんな中でも前に進もうとする春人を応援したくなったり。役作りでいうと、普通の少年なんで、作り込みすぎるというよりかは等身大に近い感じに…僕も割と自分は普通だと思っているんで、自然体を意識して」
三木:「春人は繊細だけど、道枝さん自身はタフなとこあるんじゃない?グループのライブの合間に撮影をしたり。スケジュール的に相当ハードなはずですけど、現場には割とフラットな感じで入られるから」
道枝:「もうやるしかないと思って(笑)。逆に気合が入りましたけど、気負ったりせず、自分のできることをやっていた感じです」

――三木組の撮影現場はどんな雰囲気ですか?

演出をつける時も全部は伝えない派です(三木監督)
道枝:「穏やかなイメージですね」
三木:「僕はピリピリする現場は好きじゃなくて。楽しく・真面目に・テンポ良くがモットーです(笑)」

道枝さんが「成長した姿を見せるんで!」って(笑)

成長した姿を見せたくて(道枝さん)
三木:「本読みの日に道枝さんが“成長した姿を見せるんで!”って言ってくれて。あ、自分でハードル上げたなって(笑)」
道枝:「言いましたね(笑)」
三木:「撮影になると、その言葉通り、奮闘してくれて」
道枝:「はい。追い込んで越えるしかないって思っていて(笑)」
三木:「何かにかける想いというのはすごく感じました。春人の感情が溢れ出るシーンにどうアプローチするのか…春人の心の動きを表現するために、道枝さんがその時に感じたことを最大限に増進してくれて。そこに役者として一段二段成長した感じがしましたね。でもそれって、最初に役を作り込むより難しくて。瞬発力が必要なんですけど…」
道枝:「かなり挑戦でしたね。これまでは泣き芝居があまりなかったので。受けの芝居を意識してアンテナをすごく張っていました」
三木:「主演としても頼もしかったけど、“俺が引っ張っていく!”みたいな感じにはなっていなくて」道枝「なかったですね(笑)」
三木:「道枝さんがフラットだから、現場全体もリラックスモード。道枝さんは主演として意識していたことはある?」
道枝:「大きく何かを意識したりはしていないですけど、しっかりしないとなって。僕がお芝居に入る時にピシッと切り替えて集中することで現場もピシッとなった瞬間があって。その時に“ああ、こういう引っ張り方もあるんだろうな”って。中には現場をすごく盛り上げる方もいらっしゃると思うんですけど、僕は静かに引っ張るタイプというか(笑)」
三木:「それはグループ活動においてもそうなの?末っ子タイプっていうか、甘え上手な感じ?」
道枝:「いや、そういう感じではないですけど、グループでは割と気を抜いていますよ(笑)。のほほんとしていますけど、一人の時はやっぱり気を張るんで(笑)」
三木:「なるほど(笑)」
道枝:「でも今回よりも“セカコイ”の方が緊張していました。人見知りなんで、本当にどうコミュニケーションを取ったらいいかわからなくて。自分のことでいっぱいいっぱい(笑)。今回は前回ご一緒した方が圧倒的に多かったから、安心して臨めました」

――三木監督との次回作があるならどんな作品がいいですか?

三木:「道枝くんが関西弁で話す芝居を撮りたいです。ムードが絶対に変わる気がするんだよね」
道枝:「ぜひともやらせていただきたいです。楽しみです!」

映画監督・三木孝浩さん
2000年よりミュージックビデオの監督として活躍後、2010年『ソラニン』で長編監督デビューし、『僕等がいた』(2012年)や『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016年)、『ほどなく、お別れです』(2026年)など代表作多数。道枝駿佑さんとは『今夜、世界からこの恋が消えても』(2022年)以来の2度目のタッグになる。

〈衣装〉すべてスタイリスト私物
撮影/神戸健太郎 ヘアメイク/花井菜緒(JOUER)〈道枝さん分〉、大谷亮治〈亀田さん分〉 スタイリング/壽村太一〈道枝さん分〉、飯嶋久美子(POTESALA)〈亀田さん分〉 取材/棚田トモコ 編集/平賀鈴菜 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2026年4月号「“俳優・道枝駿佑”の現在地」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。