夏帆さん、「小5年でデビューしたものの気持ちが追い付かず 思春期の頃はどこかモヤモヤしていました」

ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は、世代を越えた女子たちに大ヒットし、
夏帆さんが演じた鮎美のファッションやヘアスタイルも、毎週話題に。
そんな夏帆さんが今回映画『四月の余白』で演じたのは、暴力的な生徒の存在に荒れる中学校の教師。
鮎美が見せたキュートな表情から一転、今回演じた“冬子”のストレスで髪を掻きむしる仕草が印象的。
意外にも、「教師役を演じるのが初めて」という夏帆さんに、難しい思春期の子たちと接する
中学教師という仕事への印象と、ご自身の思春期時代について聞いてみました!

▼合わせて読みたい
【特別カット集】お肌もお人柄も透明感&清潔感満点な、夏帆さんの表情にキュン!

思春期の子ども達に向き合う中学校の先生って、本当に大変!

役柄を通してではありますが、教師として中学生の子ども達と向き合って、
「先生って、本当に大変だな」と改めて感じました。
そもそも、中学生までに子ども達が接する大人って、親や親せき以外は学校の先生か習い事、塾の先生……、
と限られていますよね。
そんな中で、子ども達を指導する立場にある“学校の先生”は、責任重大ですし、
今の時代、すごく難しいと思います。

撮影前に、𠮷田恵輔監督から今の時代へのテーマを託されたのですが、
その一つが、「正しさだけで、子供たちを導くことができるのだろうか――」ということです。
もちろん、対話で正しく導いていければ、それに越したことはないのですが、
実際には、それではどうにもならない子もいます。
そんな中で、最悪のことが起きてしまうかもしれない。
じゃあ、そういった子どもに対しては、どうしたらいいんだろう……? と。
映画の中、暴力的で手を焼く生徒がクラスメートにケガを負わせた際、
「先生……他人が痛くても、俺はちっとも痛くないんだけど」と、その子が言うんです。
どうしても人の痛みがわからない子どもに対して、どう教育していくのか――?。
決して体罰を“良し”とは思わないですが、果たして“正しさ”だけで
痛みを教えることはできるのか? 正解はあるのか――?
演じながら、すごく考えましたね。
私が演じた冬子は、ストレスで髪を抜けるほど強く搔きむしってしまうのですが、
その気持ちがよくわかります。
私も、“冬子”と一緒になって、考え、悩んでいましたから。

思春期が始まった頃、ポーンと芸能界に入りずっと戸惑いを感じていた

では、私が思春期の頃は――?
そう振り返ってみると、10代の頃は、どこかやり場のない気持ちを抱えて、それをどこにぶつけたらいいんだろう……? とモヤモヤしていましたね。
私は、小学校5年生の時に街でスカウトしていただいき芸能の世界に入って、
まさに思春期の頃、CMや映画、ドラマと色々な仕事をやらせていただいていました。
でも、ポーンと芸能界に入り右も左もわからない中、自分の気持ちが追い付かないうちに
仕事を始めて、そこにすごく戸惑いを感じていました。
学校の授業が終わるとすぐに仕事に向かい、時には長期で学校をお休みすることもあって。
学業との両立も結構、大変でした。
今振り返ってみても、よくやっていたなって(笑)。
それで、色々なことに悩んでいた自分が蘇ってきます。
そうなると、やり場のない気持ちをぶつけられるのは結局親で、親によく当たっていました。
うまく言葉にできず、自身ではうまく対処もできない、
そんな思春期特有のモヤモヤした感情を、私自身どうすることもできずにいたんです。

そして、あの頃に教壇に立ち、私が仰ぎ見ていた先生は、きっと今の私くらいの年齢。
私自身、“教師”を演じるのが初めてで、撮影の初日が教室のシーンだったんです。
いざ、教壇の上に立ち、実際に何十人という生徒を目の前にすると、最初ちょっとたじろいでしまって……。
見られている感覚もあって、すごく緊張したのを覚えています。
なんだか、すごく怖かったですね。
子どもの頃、先生は絶対的に強くて、どんなに叩いても折れない揺るがない存在だと
勝手に思っていたのですが、先生といえど人間。
自分が役柄の中とはいえ、当時の先生くらいの年代になって、教師の役をやってみたら、
折れるし、揺れるし、こんなにも悩みを抱え、こんなにも葛藤してるんだなとすごく感じて……。
すごく大変な仕事だなっていうのを、身を持って感じました。

今年、35歳になりますが、いざこの年齢になってみても、まだまだ未熟ですし、
先生のように人を指導する立場には、なれそうもありません。
私に出来ることは、作品を観る人が社会の問題に気づき、
「誰かと話したい」と思う――、その一役を担うこと。
答えを出すのが難しい問題ではありますが、でもだからこそ
教育環境の未来が開く、そのきっかけとなる作品になったら嬉しいです。

KAHO

1991年6月30日生まれ、東京都出身。2007年映画『天然コケッコー』で主演を務め多くの新人賞を受賞。以降ドラマ・映画・CMなどで幅広く活躍。近年の主な出演作に、ドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(25/TBS)、「ブラッシュアップライフ」(23/NTV)、「silent」(22/フジテレビ)、映画『BAUS 映画から船出した映画館』(25)、『違国日記』(24)、『さかなのこ』(22)などがある。

今回夏帆さんが出演したのは……

『四月の余白』
監督:𠮷田恵輔
出演:一ノ瀬ワタル、夏帆 上阪隼人 篠原 篤 占部房子
山﨑七海 和田 庵 髙田万作 松木大輔 小沢まゆ パトリック・ハーラン
海の見える地方都市で全寮制更生施設「みらいの里」を運営する、元半グレで元受刑者の過去を背負う西健吾。実体験を糧に道を踏み外しかけた子供たちを体当たりで指導するが、体罰も辞さない更生方針は教育関係者から批判されていた。ある時、中学教師の冬子から手に負えない生徒の海斗と、鑑別所帰りの悠について相談を受ける。2人に会った西は、一瞬で海斗の狂気を見抜き、激しい家庭内暴力に疲れた母も息子を「みらいの里」に託すと決意する。しかし、海斗は施設でも寮生とトラブルを起こして脱走し、傷害事件で逮捕されてしまう。一方西は、若い頃に西からリンチされ、左脚に障害が残ったという海斗の父から責め立てられる。記憶のない過去と向き合う西にできる贖罪は、海斗を更生させることだけ。「ひとは変われる」と信じて新たな取り組みに踏み出すが――。6月26日新宿ピカデリーほか全国公開

撮影/田頭拓人 取材・構成/河合由樹

STORY