【小西さやかさん監修】知っているだけで綺麗になれる2020年コスメキーワード検定

小西さやかさん監修、美STオリジナルの「大人のための化粧品検定」を作ってみました。怒濤の進化を遂げる美容業界。新成分や話題の美容用語が続々登場! あなたは全部答えられますか? ※解答と解説は問題の下にあります。

各美容成分の説明文中の(あ)(い)に当てはまる言葉を以下の(a)(b)(c)(d)から選びなさい

Q1. ニールワン

肌のハリに必要な(あ)や(い)の量が減少するとシワが定着しやすくなります。ニールワンは(あ)や(い)を分解する「好中球エラスターゼ」の働きを抑えることで、シワの出現を抑える効果があります。 (a) ヒアルロン酸 (b) セラミド (c) コラーゲン (d) エラスチン

シワ改善の効果・効能を厚生労働省に認可された「ニールワン」を世界で唯一配合。シワコスメブームの火付け役。リンクルショット メディカル セラム〈医薬部外品〉20g ¥13,500(ポーラ)

Q2. レチノール

レチノール〈別名(あ)〉は、加齢で遅れがちなターンオーバーを整えて、皮膚の弾力性の維持に欠かせない(い)の産生を促進。皮膚に柔軟性を与えて、シワを改善します。 (a) ビタミンC (b) ビタミンA (c) ヒアルロン酸 (d) コラーゲン

左、深いシワも最先端テクノロジーで根本から改善。セラムリッサーリッズS 20g ¥30,000〈医薬部外品〉(クレ・ド・ポー ボーテ)右、しっとりツヤ玉実感でリピーター続出。エリクシール シュペリエル エンリッチド リンクルクリームS 15g ¥5,800〈医薬部外品〉(編集部調べ)(資生堂)

Q3. ヒト型セラミド

人の肌にもともと存在するセラミドと同じ型のセラミドを「ヒト型セラミド」と呼びます。肌との親和性が高く、また肌自身のセラミド産生力を高める効果も。肌内部に浸透して水分を繋ぎ止めるほか、(あ)の隙間を埋めて保湿力を高めます。セラミドで満たされている肌は、(い)の働きが高く、健やかで潤いに満ちています。 (a) キメ (b) 角層細胞 (c) バリア機能 (d) ターンオーバー

左、ヒト型セラミド2種を独自技術で世界最小サイズにナノ化して、肌の奥まで潤いをチャージ。アスタリフト ジェリー アクアリスタ40g ¥9,000(富士フイルム)右、ヒト型セラミド5種類をラメラ構造で浸透性を高めて高濃度に配合。モイスチャライジングセラム50㎖ ¥4,000(エトヴォス)

Q4. ナイアシンアミド

ニコチン酸アミドとも呼ばれるビタミンBの一種。元来、厚生労働省に認可されている(あ)効果のある成分で、肌荒れを防ぐ作用も。2018年に(い)効果のある有効成分としても新たに厚生労働省の認可が下りたため、多くのナイアシンアミドを配合した商品が発売されて話題となりました。 (a) 小顔 (b) ニキビ (c) シワ改善 (d) 美白

左、ヒアルロン酸ケアやコラーゲンケアも強化して、力強くシワを改善。カネボウ リンクル リフト セラム20㎖ ¥13,500(カネボウインターナショナルDiv.)右、シワ改善も美白も叶えてコスパ◎。リンクルホワイトエッセンス30g ¥4,500(オルビス)

Q5. マイクロニードル

マイクロニードルとは、微細針の先端部に薬剤を含ませて皮膚に貼ることで薬剤を経皮吸収させる技術です。その代表格が高分子(あ)マイクロニードル。(あ)は細胞間に(い)を蓄えて肌をみずみずしく保つ成分です。これをマイクロニードル状に成形することで保湿効果が長時間持続する高分子(あ)を浸透させることが可能になりました。 (a) エラスチン (b) 水分 (c) NMF (d) ヒアルロン酸

左、約1,200本の針が配列された大きめシート。ナビジョン HAフィルパッチ2枚×3包入¥5,800(資生堂)右、体内で分解されにくい持続型ヒアルロン酸を使用。メディリフト 3Dマイクロフィラー 4セット入り¥7,600(ヤーマン)

Q6. 人工皮膚スキンケア

花王では「ファインファイバー技術」と命名。「(あ)療法」に着想を得た、新世代のスキンケアです。美容液を塗布後、ポリマー溶液を極細繊維として肌に噴射し、一枚の薄いヴェールを形成。ヴェール膜内の極細繊維に(あ)で引き込まれた美容液が徐々に放出されることで、膜内の(い)環境が一晩中保たれます。 (a) 真空  (b) 湿潤  (c) 過冷却現象 (d) 毛細管現象

ヴェールエフェクター(美容液)をなじませ、極細繊維のもと(化粧液)をディフューザーで吹き付けると、極薄のヴェールが完成。エスト バイオミメシスヴェール美容液40g ¥12,000、ディフューザー¥50,000、化粧液9㎖ ¥8,000(花王)

Q7. 幹細胞コスメ

様々な細胞に分化できる「幹細胞」は、エイジングケアはもちろん(あ)医療でも注目のトピック。幹細胞コスメと呼ばれるものには肌の幹細胞を(い)する成分を配合したものと、幹細胞を抽出・培養した幹細胞培養液を配合したものがあり、後者には高い保湿効果が見込まれる植物由来幹細胞培養液と、成長因子などを含み細胞の活性や組織の再生効果が期待されるヒト由来幹細胞培養液があります。 (a) 活性化 (b) 高度先進  (c) 再生 (d) 増殖

左、エイジングケアの切り札として注目を集める成長因子を含むヒト幹細胞培養液を配合。XLUXES プロケア リバーサーセラムW10㎖¥15,700(エックスワン)右、年齢とともにエネルギーを失う幹細胞にアプローチ。細胞に活力を与え、肌の生体機能全体を活性化します。カプチュール トータル セル ENGY スーパー セラム30㎖ ¥16,000(パルファン・クリスチャン・ディオール)

Q8. ラメラ構造

肌の角層に見られる、(あ)×セラミド×(い)×セラミド×(あ)というようにミルフィーユ状に並んだ状態をラメラ構造といいます。隙間なく外壁を作ることで、角層から水分が蒸発することを抑えて潤いを保ったり、外部から異物が侵入することを防ぎます。また、最近では化粧品の有用成分をラメラ構造状に配合して、その効果を高める技術も開発されています。 (a) 水  (b) タンパク質  (c) 油  (d) アミノ酸

みっちりと層状に重なり合う独自開発のラメラ乳化技術を用いることで、水分の蒸発を抑えてみずみずしい〝水ツヤ膜〟が長時間持続。同時にSPF40・PA+++の高いUV効果も維持します。ルナソル グロウイングデイクリームUV 40g ¥4,500(カネボウ化粧品)

Q9. スキンフローラ

腸内フローラが注目されてきましたが、実は、皮膚にも同じように(あ)の集団〈(い)〉が存在していて、(あ)の種類や数のバランスが崩れると肌荒れの原因となることが解明されてきました。化粧品にプレ&プロバイオティクス由来成分を配合して(い)を整えることで、美しく健やかな肌へと導く新しいアプローチのスキンケアが、注目を集めています。 (a) マイクロバイオーム (b) 細菌  (c) ミトコンドリア  (d) ケラチノサイト

健やかな肌へと導くことから〝美肌菌〟とも呼ばれる常在菌の集団「マイクロバイオーム」。これらの成長を促す3種の栄養素と4種のプロバイオティクス由来成分を配合して、常在菌をケアするという新発想の美容液。ジェニフィック アドバンスト N 30㎖ ¥10,000(ランコム)

Q10. 発酵コスメ

発酵とは(あ)が人間に有益な有機物を生成する過程全般を指し、その過程により生み出された成分を配合した化粧品を発酵コスメと呼びます。発酵には麹菌や(い)が用いられることが多く、さまざまな有用成分を含んだ発酵液には肌の代謝やバリア機能のサポートといった効果が期待できます。 (a) 大腸菌 (b) ウイルス (c) 微生物 (d) 乳酸菌

左、白神産の5種の厳選植物を純白麹「しらかみ」で発酵させた濃密化粧液。フローラドリップ160㎖¥13,000(アルビオン)右、ヒアルロン酸の産生促進やバリア機能を改善する働きが認められたはちみつ発酵液をベースにした贅沢処方。発酵液ローション150㎖¥7,800(HACCI)

Q11. 酵素

酵素とは生体で起こる化学反応の触媒となる(あ)。食べ物の消化や吸収だけでなく、肌の角層にも存在し、ターンオーバーをはじめとしたさまざまな反応に関わります。また、肌の天然保湿因子〈(い)〉の生成や、肌のトーンやシミの発生にも深く関係していることが解明され、美容分野への応用が期待されています。 (a) ペプチド  (b) NMF  (c) AGEs (d) タンパク質

希少なブナの新芽エキスが、肌の生まれ変わりなどを促す酵素の働きをサポート。透き通るような光に満ちた、くすみや毛穴の気にならない肌へ。クラリフィック デュアル エッセンス ローション150㎖¥11,000(ランコム)

学校法人東京農業大学 食香粧化学科 客員准教授。2011年に一般社団法人日本化粧品検定協会を立ち上げる。大手メーカーで化粧品開発に携わった研究者としての鋭い目線でコスメや美容法を評価。一児の母。

監修したのは……一般社団法人日本化粧品検定協会代表理事 小西さやかさん

解答と解説

A1. (あ)→(c)、(い)→(d) 好中球に着目したシワ改善アプローチ

「好中球エラスターゼ」は、肌に侵入してきた細菌を殺菌してくれる健康に欠かせない酵素ですが、同時に肌内部のコラーゲンやエラスチンも分解してしまいます。ニールワンはこの好中球エラスターゼの活性を阻害して肌のハリを守ります。

A2. (あ)→(b)、(い)→(c) 表皮と真皮の両方向からシワを改善

レチノールは、表皮ヒアルロン酸の産生を促進して、水分量を増やすことで柔らかくふっくらとした肌へと導きシワを改善します。同時に真皮部分のヒアルロン酸やコラーゲンなどの密度も高めて、土台となる真皮からも再構築することが確認されています。

A3. (あ)→(b)、(い)→(c) ヒト型セラミドにもこんなに種類があります

ヒト型セラミドも効果は様々。代表的なものに、肌の弾力を高めるセラミド1、保水力が非常に高いセラミド2、バリア機能の回復に優れたセラミド3、ターンオーバーの正常化を促進・維持するセラミド6などがあります。

A4. (あ)→(d)、(い)→(c) 実は昔から馴染みのある美容成分でした

「シワ改善の効能」の認可を受けたのは最近ですが、実は美白や整肌成分として、すでに何十年間も使用されてきた成分です。長年にわたって安全性が確認されているため、幅広い肌質の方が安心して使える成分として定評があります。

A5. (あ)→(d)、(い)→(b) 自分で投与できる次世代医療技術

元々はインスリンやワクチン投与のための医療技術として開発され、その後化粧品への応用がなされた技術。ごく微細な針によって、貼るだけで痛みをほとんど感じずに分子量が大きい物質を角層内に到達させられるため、今後様々な応用が考えられる次世代の医療技術。

A6. (あ)→(b)、(い)→(d) 剥がれず、乾かない未来型フェイスマスク

傷口を乾かさずに、湿った状態に保つことで治癒を早める「湿潤療法」の考え方に着想を得たスキンケア。美容液を塗布した後に肌をヴェールで密閉することで、美容成分の浸透を高めてバリア機能をサポートします。透明な目立たない膜を形成するので、今後は「貼るメーク」への応用も検討されています。

A7. (あ)→(c)、(い)→(a) 未来を照らす光となりうる幹細胞研究

幹細胞の中でも、広く再生医療に応用されているのは以下の3種類。受精卵由来の「ES細胞」、体細胞に遺伝子を加えて培養した「iPS細胞」、そして人体に存在し、その培養液が化粧品にも利用されている「成体幹細胞」です。幹細胞自体にまだ未知の部分が多く、今後のさらなる解明が期待されています。

A8. (あ)→(a)、(い)→(c) コスメに使うと圧倒的な肌なじみ

セラミドは親水性の分子と疎水性の分子を持ち、水にも油にも馴染みます。セラミド同士が繋がって一列に並ぶことで、セラミドを挟んで水分と油分もきれいに整列して隙間のないラメラ構造が形成されます。コスメに使えばカバー力抜群。

A9. (あ)→(b)、(い)→(a) 微生物研究から生まれた新しい美肌アプローチ

腸内細菌が免疫を含む全身の健康に密接に関わっていることは広く知られていますが、実は、皮膚の常在菌集団「マイクロバイオーム」も肌の健康状態に大きな影響を与えていることが、近年の研究で解明されました。

A10. (あ)→(c)、(い)→(d) 新たな力を生み出す発酵に今後も期待

「発酵コスメ」とひとくちに言っても、見込まれる効果は様々。主原料は、野菜や果物、ハーブ、はちみつ、米、乳製品など多彩で、また発酵を助ける微生物も「カビ」「酵母」「細菌」と幅広いため、原料と微生物の掛け合わせ次第でまだまだ可能性が広がる分野です。

A11. (あ)→(d)、(い)→(b) 生命活動の歯車を回す〝かなめ〟のタンパク質

酵素は、消化吸収はもとより、呼吸や細胞の修復など、体内で起こる様々な化学反応に必須のタンパク質です。ですが、体内で生成できる量に限りがあり、加齢とともに減少していくため、限りある酵素の働きをサポートする研究が急ピッチで進められています。

2020年『美ST』4月号掲載 撮影/五十嵐 洋 取材/奥原京子 編集/長谷川 智、佐々木 遼

美ST