“子どものため”を思って有名私立に入れることは教育虐待?|専門家が答える“教育虐待”Q&A

Q.8

名門私立小に通う息子は、周りが優秀すぎるからか自ら諦めて、「できないキャラ」として開き直るように。見ていてもどかしく「なんでこんなにやらないの?」「何考えて生きてるの?」と問い詰めてしまいます。環境が違えば、こんな劣等感を抱えることもなかったと思うと可哀想ではあるのですが……子どものためを思って、良い学校に入れたのは教育虐待でしょうか?(12歳・男の子ママ)

 

 

A.周りと比較せず、子どもの心の声をしっかり聞いて

周りを気にしているのは子どもではなく、自分自身だと気づいていますか? 子どもを周りと比較し、親としての自分にも優劣をつける考え方を変えてください。自分は何を叶えたいのだろう、親である自分はこの子の何を支えたいのだろう、という2つのことを自分に問うてほしいです。自分一人が難しかったら、夫婦で考える。そもそも夫婦の会話はちゃんとありますか? 名門校に入れたことは虐待ではないですが、名門校に入学したことで優越感を得ようとし、入学後も周りと比べ続けるあり方は虐待です。この暴言は「あなたがこの状態だと私が困る」「あなたの親で私が恥ずかしい」と言っているのと同じ。今からでいいので、子どもに「今までこういう気持ちで、こう言ってしまってごめんね」というお詫びをしてください。12歳なら親の本音は見抜きますが、ちゃんと謝れば子どもは許してくれます。子どもに面と向かって謝るのは親の大事な力の一つです。

答えてくれたのは…
●小川大介さん
教育専門家。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。京都大学卒業後、中学受験のプロ個別指導教室SS-1を創設。個別面談の実施数は6000を数え、受験学習だけでなく、幼児期の能力育成や親子関係の築き方指導にも定評あり。著書に『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』も。中学受験においては、夫婦の子育てビジョンが重要であると指摘し、著書『親も子も幸せになれるはじめての中学受験』には、中学受験の成功のカギがたっぷり。

撮影/古本麻由未 取材・文/宇野安紀子 編集/フォレスト・ガンプJr.
*VERY2020年4月号「受験勉強だけじゃない、過剰な習い事も… もしかして、教育虐待?」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。