スマホの悩みは万国共通 !?細川 珠生が解説!教育ニュース【第7回】

スマホを「解禁」したときには、親の目の届かないところでどんなことが起こるのだろうかと心配でたまりませんでした。

 

 

親世代が経験していないという意味では、子育てをする上での圧倒的な悩みといったら、私は「スマホ問題」ではないかと思っています。現在16歳の私の息子が生まれたころは、親もまだガラケーでメールのやり取りをする程度。子供がスマホを持つのは、せめて中学になってからというのを、一つの目安にしてきた世代です。

でも、息子世代より下は、生まれたときからスマホがあり、時にはスマホがおもちゃ代わりになって育った世代。世の中も、スマホなしには生活が不便になってきているし、「教育のICT化」により、今やノートや教科書と同じように、学習の備品にもなっています。子供にスマホを持たせることに、高いハードルがあると感じる親の思いをよそに、今や子供の世界にも、決して不要なものとは言い切れなくなってきていますね。

特に「防災」という観点から、現在は禁止をされている学校への持ち込みも、見直すべきだという意見は以前からありました。災害時に、見つけるのが難しくなっている公衆電話では、家族と連絡が取りづらいことが大きな理由です。そこで、文科省も7月末に、スマホ等の携帯電話の小中学校への持ち込み禁止を、条件付きで見直し、各教育委員会に通知しました。小中学校、いずれも原則禁止ではありますが、小学校については遠距離通学ややむを得ない事情がある場合、中学校については、①学校での管理や紛失トラブルなどにきちんと対処し、②保護者の責任においてフィルタリングを設定、③学校と家庭が危険性や正しい使い方を適切に指導すること、④生徒自らが、学校、保護者と相談して使用のルールを決めることを条件に、学校への持ち込みを認めるというものです。すでに高校への持ち込みは、各学校が、教育活動に支障がないよう配慮することを条件に認められています。

 学校が「公式」にスマホ所持を認めると、大人には見えにくくなるネット上でのトラブルや友人関係への支障、また勉強時間が削られて、成績に響くのではないかという心配が大きくなります。私も息子が中学に進学し、スマホを「解禁」したときには、親の目の届かないところでどんなことが起こるのだろうかと心配でたまりませんでした。

一方で、もはや社会のツールとして、いずれ持たせる時がくるのであれば、親の保護下にある今だからこそ、長短両面をきっちり教えることができると考えることもできます。またこのスマホやゲームの悩みは、世界共通の親の悩みでもあり、息子が通う米国の高校でも、親と先生のミーティングがあれば、必ずトピックとして取り上げられています。

そもそも、文科省の「見直し」は、単に学校への持ち込みに関することだけであり、ルールを決めることはもちろん、使い方や問題についてしっかり話し合うことは親の責任といってもいいでしょう。大人にとっても、スマホには利点も弊害もありますから、その意識を子育てでも応用し、親が主導権をもって、子供のスマホ利用から目を離さない、という姿勢を頑張って貫いていきましょう。私も皆さんと同じように、引き続き頑張りたいと思っています。

 

Profile

細川 珠生

政治ジャーナリスト。聖心女子大学英文科卒業。政治全般や地方自治、教育に関する知見を活かし各方面で活躍。三井住友建設株式会社社外取締役、星槎大学非常勤講師なども務める。16歳男子の母。
近著に『明智光秀10の謎』(本郷和人共著、宝島社)。
https:// blog.excite.co.jp/tamaohosokawa

編集/羽城麻子 デザイン/ attik

 

VERY NAVY 10月号『細川珠生さんのNEWSなエデュケーション』から 
詳しくは2020年9/7発売VERY NAVY 10月号に掲載しています。

 

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