「DREAM BOYS」観劇レポート |辛酸なめ子の「おうちで楽しむ」イケメン2020 vol.16

再びの緊急事態宣言が発令された2021年の東京、帝国劇場で舞台「DREAM BOYS」が無事に千秋楽を迎えました。前回に続き主演を務めたKing & Princeの岸 優太さんを筆頭に、今を時めくジャニーズのスターが客席に夢と希望とドキドキを与えてくれた「DREAM BOYS」。歴代の「DREAM BOYS」も観劇している辛酸さんが今回の主要キャスト3人の魅力について語ります

毎年、帝国劇場で繰り広げられて

毎年、帝国劇場で繰り広げられている熱い男同士の闘い……。帝国劇場にリアルなボクシングのリングが出現し、ジャニーズの最旬のイケメンたちが拳を交えます。2004年から上演されている舞台「DREAM BOYS」が、無事に上演されました。滝沢秀明主演で初演されてから、亀梨和也、玉森裕太が主演をつとめ、美しい筋肉美を披露。そして今回は昨年に続きKing & Princeの岸 優太が主演。ライバル役は同じくKing & Princeの神宮寺勇太で、美 少年や7 MEN 侍のメンバーも出演していて豪華です。
舞台上の、マスクなしのイケメンたちを肉眼で見られる貴重な機会。エターナル・プロデューサーはジャニー喜多川、演出は堂本光一という、ジャニーズスビリットみなぎる作品。2020年12月から2021年1月にかけての公演となり、会場入口に消毒液を配置し、幕間の休憩はなく2時間で終了。客席の通路に降りる演出や客席上空のフライングをなしにするといった感染症対策がとられていました。満席でしたがお客さん同士の私語もほとんどなく、ファンも感染症対策の意識が高いようでした。千秋楽まで無事に完走してほしいというキャストと観客の思いが一致団結しているようです。

2020年版「DREAM BOYS」の主要キャスト3人

DREAM BOYS」は、かつてボクシングのライバル同士だったユウタ(岸)とジン(神宮寺)を中心とした物語。ユウタは心臓病の持病がある弟分のユウト(那須雄登)の手術代を捻出するために俳優になり、ジンは頭蓋骨の不具合を抱えながらボクサーのチャンプになったという設定です。
そして、彼らをとりまく仲間たちと、彼らで一儲けしようとしている芸能事務所のマダム・エマとマリア。ユウタとジンが久しぶりにボクシングの試合をしたところジンが倒されますが、ユウタのグローブの中に鉛の板が入っていたという反則疑惑が浮上。疑いをかけられ、身を隠すユウタ。呪いの人形の館みたいな場所に隠れていたら、ジンの親友タイショウが追ってきて、ユウトも巻き込んで乱闘になり、ユウトが持っていたナイフがタイショウに……。腹部を刺されて倒れるタイショウ、心臓を押えて苦しむユウト、放心状態のユウタ、というどう収拾つけていいかわからない修羅場が繰り広げられました。ジンもタイショウもユウタも入院し(ジャニーズ率が高すぎる病院です)、青年たちのDREAMは悪夢のようになってしまいます。
それでも最終的にはユウタの疑いも晴らされ、裏で仕組んでいたマリアとマダム・エマの関係性も明らかになり、業が深い女たちに青年たちが振り回されていたことが判明。ジンは天に召されてしまいましたが、感動のフィナーレに包まれます。ところどころで歌やダンスが披露され、2時間があっという間でした
イケメンだらけの舞台ですが、メインの3人についてご紹介させていただきます。「ユウタ」「ジン」「ユウト」と名前が似ていて混乱しそうですが、大人女子にとっては脳トレに
もなります。

圧巻の筋肉美とパフォーマンス ユウタ役・岸優太

バキバキに仕上がった筋肉に目が釘付けになりました。ボクシングシーン以外にも半裸にシャツを羽織ったスタイルなど、惜しげもなく肉体美を披露してくださいます。ロープを登るフライングは、本人が「力岸(リキシ)」とネーミング。壁をつたうフライングもあり、客席フライングがなくて残念でしたが、岸さんの身体能力の高さは十分伝わります。ワイルドな歌声には男性ホルモンが感じられました。ボクシングの攻撃的なシーンにとどまらず、優雅なダンスを見せるシーンも。それを物陰から見ていたユウトに「土屋太鳳さんみたい」と突っ込まれ「たまにはコンテンポってもいいだろ」と言うシーンがあり、どこまでがアドリブか不明ですが、さり気ないセリフに笑いのセンスを感じました
弟分のユウトが弾みでタイショウを刺し、さらにジンとのボクシングの試合での反則疑惑もあり、窮地に陥ったユウタの「何もかも引き受けてやろうじゃないか!!」という熱い叫びが耳に残ります。顔つきがリアルにプロのボクサーっぽいですが、そのくらい感情移入して芝居しているということなのかもしれません。
公式パンフには、慣れが生じてしまうと緊張感が薄れて粗が出るので、自分を見つめ直す作業を行ったという、プロ意識が高い発言が。また、「試合のシーンでは、お互いの間の取り方やタイミング、試合のバランスなど、阿吽の呼吸のようなものを感じました」とのこと。半裸で無言のうちに通じ合っている2人……と、つい妄想が膨らんでしまいます。

繊細な美しさとエモーショナルな歌声 ジン役・神宮寺勇太

「ジン」役の神宮寺さんも「ボクシングのシーンのために、時間を見つけては筋トレに励んで体力作りもしっかり行っています」と公式パンフのインタビューで語っていましたが、均整の取れた繊細で美しい筋肉を見せてくれています。「ただ、ずっと筋トレを続けてきた岸くんの体格の良さにはさすがにかないません(笑)」と、謙虚な発言も。同じくらいマッチョになるよりも、筋肉の太さに差があった方が、客席から見分けるのにはありがたいかもしれません。「岸くんに体格では勝てなくても(笑)、芝居で負けるつもりは一切ありません!」と、いい意味で切磋琢磨しています。神宮寺さんのエモーショナルな歌唱力もすばらしいです
「DREAM BOYS」では頭部に何らかの病気を持っていて、試合で頭部を撃たれたことで致命的なダメージを負ってしまう,という不遇の役柄。瀕死状態のジンが幽体離脱して、「オレの心臓はまだ生きている。ユウトに渡してくれ」と、ユウタに告げるシーンでは感動のさざ波が広がりました。霊が心臓移植を許可するというシュールな展開も、演技力で納得させてしまいます。

秀才肌なのも注目のジャニーズJr. ユウト役・那須雄登

ユウタと同じ施設で育ち、彼を兄のように慕うユウトを演じたのは那須雄登さん。過去の「DREAM BOYS」では同じ役を小学生くらいのジャニーズJr.が演じることもありましたが、成長した弟役も結構良いです。線の細さとピュアさが漂う那須雄登さんは適役でした。
そんな彼はリアルでは櫻井翔さんを兄のように慕っています。中等部から慶應という秀才で、櫻井翔さんに憧れて、背中を見て育ってきたようです。学部も同じ経済学部です。とにかく勉強が大好きで「特技は勉強」「趣味は勉強」と公言。前髪が長めなので、このヘアスタイルで集中できて成績が良いということは本当に頭が良いのだと思われます。高校時代はハードなスケジュールの中、櫻井さんも当時頑張っていたんだと自分を奮い立たせて勉強と仕事を両立。
そしてついに櫻井翔さんに認識されて可愛がられるようになり、大学の入学式用に高価なスーツをプレゼントされるまでに!  番組でスーツの価格を聞かれた櫻井さんは「100万超えてたんじゃないかなぁ」と発言。ちなみに櫻井さんは同じく慶應でSFC出身のSexyZoneの菊池風磨さんのことも可愛がっていて、誕生日に約50万円のタグ・ホイヤーの時計をプレゼントしたとか。もし慶應に入れば、櫻井先輩に高価なプレゼントをもらえる!という風潮が広まり、ジャニーズ全体のモチベーションが上がり、さらに高学歴化しそうです。

3人ともそれぞれ違った才能と個性を持っていて、「DREAM BOYS」を見てジャニーズの未来は明るいと確信させられました。来年も、それから先も、安全に帝国劇場で上演される未来を願います……そして客席フライングの復活も……

辛酸なめ子 イケメンや海外セレ

辛酸なめ子
イケメンや海外セレブから政治ネタ、スピリチュアル系まで、幅広いジャンルについてのユニークな批評とイラストが支持を集め、著書も多数。近著は「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「辛酸なめ子の世界恋愛文学全集」(祥伝社文庫)、「女子校礼賛」(中公新書ラクレ)など

撮影(辛酸さん)/村山元一(SIGNO) 構成/CLASSY.編集部