長谷川理恵さん独白 ・後編「新しい出会い、家族への感謝、思い描く未来のこと」

長谷川理恵さんが半生を振り返ってくれました。40代も後半のアネフォーの今、思うこと、そして未来の話とは。後編です。
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Rie Hasegawa

大学在学中、雑誌 CanCam でモデルデビューを果たし、雑誌 Oggi では約4年間カバーを務めるなど同世代女性のリーダー的存在として支持される。その後2000 年にテレビ番組の企画でマラソンに挑戦、2003 年のホノルルマラソンでの自己ベストタイムはなんと 3 時間15分36秒。また野菜ソムリエ第一号、WabiYoga(侘びヨガ)インストラクター第一号の資格も所得。最近は彼女のコーチでもある友岡和彦氏とともに行う「リエトレ」が即日満席の人気ぶり。


「鎌倉への移住。新しい人々との出会いが私を変えてくれました。マインドフルネスな生き方にも目覚めました」

結婚・出産後は都内に住んでいましたが、頼れる友達も周りにおらず、初めての子育ては思った以上に孤独で、不安ばかりでした。鎌倉には実家もあるし、親が近くにいてくれることが一番安心だと思うようになり、主人と相談して鎌倉に移住することにしました。引っ越した直後は、スタバもないし、ネオンもないし、朝早いし、夜はシーンとしてるし、どうしようかなってしばらく悩んだこともありましたが(笑)。山があって海があって、自然に触れ合いながらのびのびと子育てできて、さらに人もみんな家族みたいに温かくて鎌倉は本当に最高! そう思えるようになりました。そんな鎌倉に移住して少し経った頃、鎌倉の茶道山田宗徧流のお茶会に見学に行く機会があり、山田先生の奥様に「WabiYoga(侘びヨガ)のインストラクターをやってみない?」とお声がけいただきました。ちょうど体調を崩し始めて走れなくなっていた頃だったので、やってみようと思ったんです。ヨガといってもお茶の作法の延長のような感じで、四季を感じながら自然と調和し、瞑想などを取り入れながら自分と向き合い、心の内面を整える作業。鎌倉の土地や自然に合った瞑想、呼吸法、ストレッチをマンツーマンで指導を受け、お茶もたてられるようになり、半年後には教室も開くようになりました。今まで続けてきたマラソンは動くことで自分と向き合い、体と心をコントロールしてきたのだけれど、侘びヨガは呼吸という静の動きで体の滞りを巡らせて、心身をコントロールするもの。当時の走れなくなった私には侘びヨガとの出合いは本当に大きかったです。コロナ禍で今は教室もお休みしていますが、主人や息子を送り出した後、庭に出て瞑想したり、あと時間がなくても太陽の光や吹き抜ける風を感じたり、鳥のさえずりを聞いたり、空気のにおいを嗅いだりと、自然を五感でフルに感じながら、自分自身と向き合う時間を大切にしています。

「懐の深い主人、私を成長させてくれた息子。尊敬と愛と感謝をもって大切に向き合って生きていきたい」

取材を行った日(6月4日)は、奇しくも結婚記念日。ご主人と息子さんへの、たくさんの愛を語っていただきました。

主人は、そうですね……。ありきたりなんだけど、感謝と尊敬と愛でしかないです。本当にたくさんのことを学ばせてもらっているし、辛くて苦しかった過去も主人が傍にいてくれたから乗り越えられました。もし神様という存在がいたとして、一番守ってもらえたと思うことは、主人と結婚できたことかなって思うんです。結婚当初、本が出されていましたが、主人はそのことについては全く何も言わず……。きっといっぱい思うことはあったと思うのに、私を見守ってくれていました。そして今もコロナ禍で大変なはずなのに弱音ひとつ吐かず頑張ってくれている。本当に主人と結婚できたことが人生で一番ありがたかったことだなと思います。でも、もちろん喧嘩する時だってありますよ。お互い気が強いから、暴言を吐いてしまうこともあるのだけど。私、夫婦は鏡だなって思っていて、優しく接すると優しくしてくれるし、不機嫌だと主人も不機嫌。だから謝ることだけは努力しようと。言葉にできない時はせめて気持ちだけはごめんねって思うようにしようと日々心掛けています。特に、コロナ禍になってからは、外で一生懸命、戦っている主人に対して、「いつも本当にありがとう」と言葉で伝えるようにしています。「こんな私と結婚してくれてありがとう」って今日、家に帰ったら言いますね(笑)。息子は、小学校に入るまではこんな教育をして、あそこの塾に入れてとか一生懸命考えていたんですけど、今は何か得意なことがあってそれを活かせる生き方ができて、彼がHAPPYならそれでいいかなって思うようになりました。以前はいかにもレールを敷いてしまいそうな感じだったんですけど……。でも楽しそうに歌を歌ったり、ギターを弾いたりしている姿を見ていると、そんなふうに思えるようになって、元気で笑顔で過ごしてくれていたらいいなと思っています。母も日々成長しています。とはいえ、子育ては毎日色々な悩みが出てきますよね。そんな時は、ママ友さんたちに相談させてもらっています。ママ友さんたちには、いつも本当に助けられていて、とっても感謝しています。

「原石を磨いて磨いて輝くダイヤモンドの人だと言われたことがあります。好きなことへのチャレンジは、47歳になったこれからも、おばあちゃんになっても続けます。それが私だから」

鎌倉の地で〝浄化の雨〟が降る中、過去から現在について語ってくださった理恵さんが未来について思うこととは─。

今後の夢は、昔みたいに何がやりたいって具体的な願望が色々あるわけじゃなくて……。ヴィーガンスイーツもそうなんだけど、私自身が好きでやっていて、それがアレルギーでおやつが食べられない子どもたちや、ダイエット中でスイーツを我慢している人たち、必要って思ってくれる人たちの元に届けばいいなって。それが叶えば本当に幸せだなと思います。私は昔からマラソンも、今はダンスもそうだけど色んなことをやってきて、実はそれがすごくずっとコンプレックスだったんです。何か特別な才能がないから色んなことをやっているのかなと思った時があって。そんなふうに悩んでいた時、友人がとある有名占い師さんに私のことを聞いてくれたら、「彼女はダイヤモンド、色んなことを極めてそれを全部削って光る人、だから色んなことをやっていいんだよ」とアドバイスしていただけて。ふっとすごく楽になりました。「じゃあ好きなことはどんどんやっていってもいいんだ!」って。ダンスも未知の世界だったけど始めてみて今すごく楽しいと思えるし、ヴィーガンスイーツもそのうちのひとつで、もうすぐ全国の皆さんにお届けできるような新しいことも考えていて、そのことを考えるだけでワクワクします。あとやっぱりモデルの仕事も大好き。若い時からやってきて今も大好きだから、もっと自分を磨きたい。そしてまた今後何か違う新しいことも出てくるかもしれません。だから大きな夢とかって今は特にないんです。好きなことをやっていけたら、それが本当に幸せ。そして好きなことをできることに、日々感謝しながら、こうしていただけるご縁を大切にしながら、これからも生きていけたらいいなと思っています。好きなことへのチャレンジは、おばあちゃんになっても続けます! それが私だから。そして、今回はこのような機会をいただきましたけど、願わくば、こんな私の経験を聞いていただくことで、どこかで同じように辛い思いをして、日々悩みを抱えている方が、自分だけじゃないんだって少しでも軽い気持ちになってくれたらうれしいです。色々あるけど一緒に頑張っていきましょう。これから先、皆さんと一緒に寄り添いながら歩んでいけたら本望ですね。

    ニットキャミソール¥24,200(オーラリー)カーディガン¥33,000(エンリカ)パンツ¥20,900(ティッカ)ピアス¥22,000(ピパ スモール/ビームス ハウス 丸の内)リング¥11,000(シンパシー オブソウル スタイル/フラッパーズ)
    ブラウス¥17,600(エレ ストリオフ)スカート¥31,900(エンリカ)サンダル¥2,640(ラコレ/アダストリア)ネックレス¥64,900(ソワリー)

撮影/鏑木 穣(SIGNO) モデル/長谷川理恵 ヘア・メーク/MAKI スタイリスト/竹村はま子 取材/澁谷真紀子 ※情報は2021年9月号掲載時のものです。

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