メンタルトレーナーに聞きました!思春期ジュニアのメンタルの伸ばし方

「頑張ろう!」「大丈夫だよ」などと声掛けをしても、子どもには全く響かないことがありませんか。ここでは、〈思春期の子どもには4つのタイプがあり、それによって適切な声の掛け方も変わってくる〉という説に注目してみました。


★ メンタルトレーナーに聞きました!

教えてくれたのは...飯山晄朗さん(52歳)

1969年、富山県生まれ。メンタルコーチ、中小企業診断士。銀座コーチングスクール金沢校・福井校代表、金沢大学非常勤講師などの肩書を持つ。家電量販店での営業、商工団体の経営指導員を経て独立。歴史的大逆転で甲子園に出場した時の星稜高校、スピードスケートの高木菜那選手など多数のメンタルコーチ実績を持つ。写真が近著。


子どもの個性は4つのタイプに
分かれます。それを知ることで
親子のコミュニケーションを
高めることができます

私が考えているタイプの違いは、性格より「個性」によるものです。元々生まれ持つ潜在意識が個性。性格というのは後天的なもので、社会や生活環境の中で経験的にできあがってゆくものです。

個性はタイプに分かれます。これは子どもに限ったことではないのですが、大人は経験によって環境を学習していくので本来の個性以外も伸ばしています。その点、子どもは、より本来の個性が出やすい。特に思春期は混沌状態でピンチやネガティブな状態のときに個性がわかりやすく出てきます

星稜高校野球部員や、 8,000人以上の子どもたちのコーチングをしてきた中で、同じ言葉を言っても、響く子と響かない子がいるということを痛感していました。それぞれのタイプがあるからに違いないと考え、血液型や星座の分類のような何かがあるのでは? と調べた結果、古代ギリシャの哲学者・エンペドクレスの四元素の思想(地・水・火・風) に行きつき、それをヒントにしました。

実は、私自身、子どもの声掛けに失敗した経験が……。今、息子は26歳ですが、小学生の頃から関わり方を変えていれば、 と後悔しているのです。息子は小学~中学時代に野球でピッチャーをやってました。そんな息子に対して私は「なんであんな球投げるんだ! 練習、練習!」「ストライク球入るまで投げ続けろ!」といった声掛けを続けていました。そのうち息子は「野球がおもしろくない」と……。

結局、高校1年で野球を辞めました。親としては大ショックです。後に息子には 「ずっと“やらされてる感”があった」 と言われました。

ちなみに息子は石橋を叩いても渡らない慎重派。「地のクレバー」タイプです。もっと違う声掛けをしていれば、野球を続けて伸びたのに…… と反省しましたね。息子の名誉のために言っておくと、彼は今では外資系企業に勤めていて、全国トップに入る活躍を見せています。

私の場合もそうでしたが、子どものタイプといっても、実は親の思い込みで「この子はこんな個性だ」と思い込んでいることが多いんです。「こういう子になって、こんな子であってほしい」と型にはめたくなってしまう

タイプがわかると〈この子は団体競技より個人競技に向いている〉とか、〈集団塾より個人塾が合っている〉といったこともわかります。例えば「地のクレバー」タイプなら個人塾がいいでしょう。

子どものメンタルについての本を出版した後に、この4タイプは科学的にも根拠があることがわかりました。一般社団法人のブレインアナリスト協会が作成した脳使用傾向性診断です。明治大学の脳認知科学の教授が監修した質問項目に答えると、タイプがわかる。私もシニアブレインアナリストとして関わりました。 大事なことは、親も自分のタイプを知ったうえで、子どものタイプを知ることだと思います。

4つのタイプにくっきりと分かれるわけではありませんが、どのタイプが強いかを見極めると、いい関係を作りやすくなる。「あ~、だからか」と納得すれば、相手のことも認めやすい。大まかなタイプを知っておけば、仕事やママ友などの人間関係にも役に立ちます。

撮影/吉澤健太 取材/東 理恵 イラスト/德丸ゆう ※情報は2022年6月号掲載時のものです。
 

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