直筆サイン入りチェキプレゼント!田中圭さん「芝居では、なるべく嘘をつかないことを大切にしています」

舞台『夏の砂の上』に出演する田中圭さん(38歳)

ドラマや映画で活躍する一方、舞台にもコンスタントに出演している田中圭さん。今年の出演作『夏の砂の上』が、11月3日から世田谷パブリックシアターで上演されます。劇作家・演出家の松田正隆さんが自身の生まれ育った長崎を舞台に描き、1999年読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞した本作品。現代日本演劇界を代表する演出家であり、圭さんとは『CHIMERICA チャイメリカ』(2019年)以来2作品目の顔合わせとなる栗山民也さんが演出を手掛けます。さて、圭さんは今回どんな顔を見せてくれるのでしょう? 真っ直ぐで飾り気のない素顔とともに、前後編に分けてお届けします!


《前編》
――お稽古の様子から伺います。手応えはいかがですか?

ちょうど「これ、大丈夫じゃないかな」と思い始めたところです。この作品はセリフがすごく少なくて、立ち位置や体の向きが少し変わるだけで関係性が違って見えるんです。そういった面白さを栗山さんが伝えてくださるので、セリフが頭と身体にある程度入って、朧気ながら全体的な形を1回作った中で、「このセリフ、こういうふうに言ったらいいのか」とか「こういうことをこの世界で表現して、こうやって生きればいいんだ」みたいなことを、みんな楽しみながらやっています。これからどんどん余裕がなくなって、来週くらいには「全然わからない」とか言っている気もしますが(笑)、今は稽古が楽しくてしょうがないです。

――一見淡々とした日々に漂う閉塞感と、そこに滲むやるせなさや渇きといった繊細な心の機微が描かれた本作品。栗山さんが今回、田中圭さんのご出演でこの作品を上演したいと思われたことに対しては、どうお感じですか?

正直、最初に「これどうだ?」と言われてホン(台本)を読んだ時は「地味だな」という印象が強くて、何かが潜んでいるのは感じるけど、それが何なのか、このホンのどこがどう面白いのか、ぼんやりとしかわからなくて。ただ、栗山さんが今、僕にこの作品をやらせたいと思ってくださったことは嬉しかったです。その後、栗山さんと一緒に取材を受けた時に、栗山さんが、『CHIMERICA チャイメリカ』とは全く違った、言葉ではない部分で饒舌に語っているような日本人ぽいものを圭にやらせたらどうかと思った、圭の“背中でする芝居”を見てみたいと思った、と話されるのを聞いて、改めて頑張ろうと思いました。なんとか期待に応えたいです。

――二度目の栗山さんの演出はいかがですか?

言葉にすごく説得力があって、『チャイメリカ』の時と同様、今回も驚くほど稽古時間が短いです。頭から最後まで1回通して、みんなで話して、確認して終了、みたいな。みんなそれがわかっているから、家でちゃんと予習・復習して、その1回にすごく集中して臨むんです。だから栗山さんは、こういうやり方にしているのではないかと思うのですが、ほかの演出家さんが同じことをしても成立するのかな? と思うくらい、栗山さんには不思議な力があるような気がします。たぶん、仙人ですね(笑)。いわゆる“ダメ出し”の時間を、みんなで意見を言う場と捉えていらっしゃるところも素敵だなと思います。

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