栄養学の専門家が教える「子どもの食事」で大切にしたいこと
子どもに対して母親は、「あれ食べて」「これ食べて」「しっかり食べて!」と言ってしまいがちですが、パパたちはどんな思いなのでしょう? アスリートたちに、自分の経験を踏まえた独自の考え方をうかがい、専門家に検証してもらいました。
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子どもの栄養学の専門家に、アスリートパパたちの話を検証していただきました
相模女子大学 健康栄養学科 教授 柳沢香絵先生
公認スポーツ栄養士。専門分野はスポーツ栄養学。スピードスケート、スキー競技などの栄養サポートを行う。ソチオリンピックにおいて、日本選手団のためのマルチサポート・ハウスのレストランで、食事及び補食提供の責任者を担う。現在、和歌山県と東京都で地域タレント発掘・育成事業に関わる(体力・競技レベルの高い子どもたちをトップ競技者として育成していく事業)。
3人のアスリートパパたちの話
元ラグビー日本代表キャプテン 廣瀬俊朗さん(41歳)
押し付けるつもりはないけれど、味噌汁や甘酒といった日本の発酵食品の良さを、子どもにも伝えたい!
元プロサッカー選手(Jリーガー) 鈴木啓太さん(41歳)
「腸にいいものを」―― 子どもの頃に母親から言われてきたことを、今は僕が娘たちに言い続けることが大事だと思っています。
プロ野球選手 川﨑宗則さん(41歳)
運動している子どもには絶対に補食をとらせたほうがいいと思います。体だけでなく、脳のためにも必要です。
3人のアスリートパパたちの話はどうですか?
3人の方々はしっかり「食」を考えられています。
廣瀬さんの「発酵食品」は、欧米のスポーツ栄養士に褒められる食文化です。食が細いお子さんには、飲み物を牛乳に、料理では「鍋」がお勧め。たくさんの栄養素が摂取できます。
鈴木さんの母親が『腸にいいのよ』『栄養が大事!』『旬で美味しいよ』と伝えてきたのはとても大事なこと。大人になって響くことも多く、食と健康の話は親子の会話にぜひ取り入れてほしいです。
川﨑さんの補食も、海外では早くから体と栄養素の繫がりを教えます。カナダのジュニアスケート選手は「血糖値が下がる」と糖質を考え、合間に補食でグミを。なぜ補食が必要かを日本でも親や指導者が理解し、子どもに教えられる環境作りが必要です。
女子は月経が始まる10〜11歳あたりから鉄分を意識した摂取が必要。「豚レバー」「大豆製品」「貝類」などがお勧め。
成長が著しい10歳〜18歳あたりまでの男子はカルシウムが大事。牛乳だけでも1日に必要な量の半分が摂取できる。
子どもの食育のうえで、大事なことは何ですか?
女子は小学生後半~中学生、男子は中高生が、人生の中でいちばんの成長期、エネルギーが必要な時期です。大事なことは、思春期から食習慣や、食の選択能力をきちんと身に付けることです。食べないと成長が十分にできず、成熟が遅れ、月経異常、骨密度不足、ケガをしやすいなどが起こります。子どもの頃から朝食を習慣化しないと、大人になって「朝、食べると気持ち悪くなる」という体になってしまうことも。
栄養をとるだけでなく、運動、睡眠、朝食を食べて体調を整える、ということは食育トレーニングのひとつです。アスリートに関しては、動く1時間前までに食事を。練習前に炭水化物、練習後はなるべく早く炭水化物+タンパク質の補食など、効果的な栄養摂取を心がけてください。
柳沢先生の著書『親子で学ぶスポーツ栄養』(八千代出版)。親子で一緒にスポーツ栄養を学ぶことができる本。前半は子ども向けに絵のワークシート記入方式。食事や水分補給など自然と身に付くように工夫が。後半は理論編、保護者や指導者向けで、科学的根拠に基づき解説。
撮影/吉澤健太、BOCO(川﨑さん) 取材/東 理恵 ※情報は2023年1月号掲載時のものです。
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