【霧矢大夢×咲妃みゆスペシャル対談】話題の日本初上演ミュージカル『マチルダ』で共演!

世界各国の演劇賞に輝いた名作ミュージカル『マチルダ』の日本初演が決定! 今回、オーディションで役を勝ち取った元宝塚歌劇団トップの霧矢大夢さんと咲妃みゆさんのインタビューを2回に分けて公開。舞台の見どころからウェルビーイングなお話まで、たっぷりとお話していただきました!

――舞台『マチルダ』出演のお話

――舞台『マチルダ』出演のお話がきたときの感想はいかがでしたか。
霧矢 私は’16年にブロードウェイでこの作品を観ているんです。あの舞台を日本で上演すると聞き、「これは何かの縁だわ!」と勝手に思いまして(笑)。日本初演メンバーに選ばれたい!とワクワクした気持ちでオーディションに挑みました。受かったと聞いた時は本当に嬉しくて、精一杯演じるぞ!と思いました
咲妃 ブロードウェイの『マチルダ』はどうでしたか?
霧矢 子供が主役ということで、ほんわかしたハートウォーミングな作品なのかなと思って観たんです。そうしたら想像していたものとまったく違い、本当に複雑な文学作品だったので子供はもちろん大人が観ても感動できるミュージカルだなと思いました。
咲妃 私は『マチルダ』を実際に観たことはありませんでしたが、世界中で愛されている作品だということは存じ上げていました。私の周りの舞台業界の方達のなかにも、この作品を観て感銘を受けられた方がたくさんいらっしゃいます。オーディションを受けさせていただけるとわかったとき、ビビビッと感じるものがあったので、「絶対に演じたい!」という強い気持ちで挑戦しました。出演が決まった時は私もとても嬉しくて、頑張らないと!と気持ちが引き締まったのを覚えています。

――霧矢さんが演じるミセス・ワ

――霧矢さんが演じるミセス・ワームウッド、咲妃さんが演じるミス・ハニーについて、キャラクターの魅力や演じるのが難しそうだと思うところをお聞かせください。
霧矢 ミセス・ワームウッドは、本当にいまだかつて演じたことがないほどのひどい母親です。マチルダの最初の脅威である両親が揃ってひどいので、どんなに最悪な家庭環境で育っているかということを一番最初のワームウッド家のシーンで表現しなければなりません。常に両親が口喧嘩していたりマチルダに無関心だったり、マチルダは望まれて生まれてきたのではないということを、カラフルにノイジーにバンッと印象づけます。でもマチルダがまっすぐな目で私を見てくると、「いたいけで、なんて可愛いんだろう」と思ってしまう素の自分がいて。良心と闘って跳ね返さないといけないのが本当に大変です(笑)。全編を通してまったくいいところのない毒親なので、良心だけでなく倫理観などすべて含めてゼロにして自己中心的に生きなけなければと思っています。そんななかでコミカルさを表現できる社交ダンスの場面は、思いっきり楽しんでやりきりたいです!
咲妃 ミセス・ワームウッドは本当にひどい母親なんですけど…どこか憎めないんですよね。何でだろう?といつも思っています。両親ともにひどいんですが…。
霧矢 そこがね、うまくできているなと私も思っています。ただただ悪い人ではなくて、愛嬌がある悪い人なんだよね、
咲妃 そうなんです、愛嬌があるんです!
霧矢 何でかな?と考えてわかったのが、「おバカなんだ!」ということ(笑)。頭のいい悪い人は嫌われるけど、おバカな悪い人は憎めないの(笑)! 「アホやなぁ」って笑っちゃう感じ(笑)。
咲妃 だからなんですね! ミセス・ワームウッドは、きっとお客様も好きになるだろうなって思います。
霧矢 (笑)。ありがとう。悪い人達もその人なりに一生懸命生きているというところを、キュートだなと思っていただけたら嬉しいです!

咲妃 ミス・ハニーの役作りはま

咲妃 ミス・ハニーの役作りはまだ模索中ですが、この作品のキーポイントとして、子供のまま大きくなった大人と子供ながらに大人の感覚を持ったマチルダとの違いがあると教えていただきました。本来は大人のはずの人が内面的には子供のままというところがこの作品の面白さだと。それはミス・ハニーにも言えることです。彼女がマチルダと接するたびに前に進む勇気をもらっているということを大切にしたいです。
今、お稽古で難しいなと思っているのは、生徒たちの前とミス・トランチブル校長やワームウッド夫婦の前での在り様に明確に差をつけるところです。でもそれだけにとらわれてしまうと、生徒の前でいい先生であることと、校長たちの前でおどおどすることを誇張して演じるだけになってしまいます。見た目のお芝居ではなく、彼女の本質をしっかりとらえて演じなければいけないと痛感しているところです。まだ模索中ですので、役の魅力を語るには至っていないですね。

――今は個々でお稽古をしている

――今は個々でお稽古をしている最中で、これから皆さんで合わせるお稽古が始まるとか。
霧矢 そうなんです、それぞれが自分の場面だけを抜き取ってお稽古しています。パズルの小さなピースを作っている感覚になりますね。私は初めての経験だけど、ゆうみちゃん(咲妃さんの愛称)は前にやったことがあるんだよね?
咲妃 はい。皆さんとお稽古できる日が楽しみですよね!
霧矢 本当に! 今は稽古場が3、4カ所あって演者に合わせてカリキュラムが組まれています。私達はいただいたスケジュールを見ながら1時間目は芝居、2時間目はダンス、3時間目は歌といった感じで、いくつかある稽古場を渡り歩いています。「次はどの教室なのかな?」みたいに(笑)。
咲妃 学校みたいですよね。
霧矢 稽古のスケジュールがきっちり決まっているので、このシーンが終わるまでは何時まででもやる、ということはないですね。そんな中で吸収できることは何だろうとすごい集中力を使っています。実際、子役のマチルダと芝居できる時間もすごく限られているから、その中でいかに自分の役をつかめるかという作業をしています。
咲妃 家でのマチルダしか、まだ知らないということですよね?
霧矢 そうなの、学校でのマチルダやすごい力を発揮しているマチルダをまだ見てないの! 早く見たいけれど、今は自分がやるべきことをしっかりやって落とし込んでいく時なんだなって。そして、みんなで合わせる時になったらさらにステップアップできるだろうなと思っています。
咲妃 私の想像なんですが、クワトロキャストの4人のマチルダは他のキャストさんとあまり関わらせないようにお稽古が組まれている気がします。ミス・ハニーとマチルダの場面も、マチルダ不在でお稽古することが多かったので感覚がつかみづらかったんです。でも、いざ合わせた時に慣れていないぶん、ものすごく神経をはり巡らせましたし、マチルダのすごさを感じることができました。個々にお稽古することのメリットを改めて感じましたね。

――最後に舞台を楽しみにしてい

――最後に舞台を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
霧矢 私は自分本位の究極の毒親を演じますが、いたいけな女の子が主人公の物語です。大人が観てもピュアな勇気をもらえる作品ですので、どうぞ劇場に足をお運びください!
咲妃 日本初演『マチルダ』に携わることができて光栄です。一生懸命お稽古して精進しますので、是非観にいらしてください!

ミュージカル『マチルダ』
英国の国民的作家、ロアルド・ダールの児童文学「Matilda」(「マチルダは小さな大天才」)をもとに、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが’10年に制作し、瞬く間にウエストエンドで最も人気のある作品となった、全世代に愛される超ヒット作『マチルダ』。2023年春、満を持して日本オリジナルキャストで日本初上演! 東急シアターオーブにてプレビュー公演3月22日(水)~3月24日(金)/本公演3月25日(土)~5月6日(土)。大阪公演あり

霧矢大夢
‘94年に宝塚劇団に80期として首席入団。歌、ダンス、芝居と三拍子揃った実力派として入団当時から注目を集め、’09年に月組トップスターに就任。退団後も『マイ・フェア・レディ』、『PIPPIN』等、舞台を中心に活躍。

咲妃みゆ
‘10年に宝塚歌劇団に96期として入団。愛らしい容姿と実力で’14年に雪組トップ娘役に就任する。退団後はテレビドラマ『まだ結婚できない男』や舞台『ゴースト』『千と千尋の神隠し』等に出演している。

<霧矢さん着用衣装>ブラウス、スカート(ともにALYSI/マツオインターナショナル カスタマーサービス☎0120-29-1951)
撮影/大瀬智和 ヘアメーク/鈴木麻衣子<霧矢さん分>、本名和美<咲妃さん分> スタイリング/Akiko Yamashita<霧矢さん分>、國本幸江<咲妃さん分> 取材/よしだなお 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)