【NEWSな言葉】レジ袋有料化でエコは進む?

レジ袋が有料化されて2ヶ月が経ちますね。エコバッグ生活にも慣れてきた頃ではないでしょうか? 環境のためになるのならとエコバッグを用意した人も多いと思いますが、レジ袋有料化によって本当に海洋汚染は食い止められるのでしょうか!?

解説いただいたのは
森永卓郎さん
森永卓郎さん
経済アナリスト。日本専売公社(現日本たばこ産業)ほか数々の企業に勤務後、現在は獨協大学教授。専門分野はマクロ経済、計量経済、労働経済、経済政策。『がっちりマンデー!!』( TBS)、『情報ライブ ミヤネ屋』( YTV)などにレギュラー出演中。むずかしい経済を明快に解説するわかりやすい語り口に定評がある。

レジ袋有料化とは?

購入した商品を運ぶために使う、持ち手つきのプラスチック製買い物袋の有料提供を義務化したもの。コンビニ、スーパー、衣料品店、書店などプラスチック製の買い物袋を扱うすべての小売業が対象。

《有料化対象外のもの》

  • 紙袋
  • 布の袋
  • 持ち手がない袋

《プラスチック製でも対象外のもの》

  • 厚手
    プラスチックフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のものは、繰り返し使えてプラスチック製買い物袋を増やさないため。
  • 生分解性プラ
    海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のものは、微生物によって海洋で分解されるため。
  • バイオマス
    バイオマス素材の配合率が25%以上のものは、植物由来でCO2総量を変えない素材で、地球温暖化対策に寄与するため。

 

レジ袋による海洋汚染はほかのものに比べ限定的

7月からレジ袋が有料化されました。なぜ有料化したかというと、プラスチックによる海洋汚染を防ごうというのが表向きの理由です。実際、政府はキャンペーンイベントにさかなクンを起用して、海を守ろうというメッセージを強力に発信しています。ただ私は、レジ袋有料化は海洋汚染防止に関しては、実はほとんど効果がないとみています。

まず、日本の廃プラスチックのなかで、レジ袋が占める割合は2%に過ぎません。圧倒的に多いのは、ペットボトルや食品トレイです。さらに、漂着プラゴミの種類別割合では、重量比でレジ袋が0・4%に対して、漁網などが41・8%を占めています。

それでは、なぜレジ袋がターゲットになったのでしょうか。それは、ペットボトルや漁網を規制すると経済的被害が大きくなるので、経済的被害が相対的に小さいレジ袋が選ばれたのだと私は考えています。レジ袋の有料化で、環境問題への関心を高めようとしているのです。

不要なレジ袋を買わない、散らばらせないことが大切

もちろん、私も海洋汚染は防がないといけないと考えています。ただ、そのためにエコバッグを常に持ち歩くべきということでは、必ずしもないと思います。私自身は、レジ袋は保存して、すべて家庭用のゴミを捨てるときのゴミ袋として活用しています。そうすれば清掃工場で確実に焼却されるので、海洋汚染につながる心配がありません。もしレジ袋が禁止になったら、私はゴミ袋を買わないといけなくなってしまいます。つまり、レジ袋の完全な再利用を前提にする限り、レジ袋有料化の環境への影響はないことになります。

ですから気をつけるべきことは、「再利用の見込みがないのにレジ袋をもらったり買ったりすること」をやらないようにすることです。絶対ダメなのが、「レジ袋をポイ捨てする」など、袋があちこちに散らばるような行為をするということです。

環境への意識が高まることはとても重要なことですが、それが行きすぎるのも危険です。例えば、コンビニでレジ袋を買った人を「レジ袋警察」が糾弾するようなことが起こらないといいなと、私は考えています。

 

\森永卓郎さんが考える/
レジ袋有料化でエコは進む?

  • レジ袋の漂着プラゴミの割合は低く、海洋汚染防止効果は疑問
  • 環境意識の高まりは期待できるかも
  • 不要なレジ袋を買ったり、袋が散らばらないようにするのが大事

※掲載中の情報はMart誌面掲載時のものです。

 

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イラスト/熊野友紀子 構成/Mart編集部

2020年9月号
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