「日焼けしたくない!」と思うその前に。押さえておきたい紫外線の基礎知識
いよいよ夏本番。日差しが強くなってきて、「絶対に日焼けしたくない!」と思っている人は多いはず。でも、そもそも紫外線についてきちんと理解していますか? そこで今回は、紫外線の種類や日焼けの仕組みなど、知っておきたい基礎知識をお届け。大阪美容クリニック理事長の南 真実子先生にお話を伺いました。
知っておきたい紫外線の基礎知識
紫外線を知れば、今までなんとなくやっていた日焼け対策がちょっと変わるかも。日焼けだけではない、紫外線が及ぼす影響も解説します。
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紫外線が肌に与える影響
皮膚に太陽光が当たると、急性障害としていわゆる日焼けであるサンバーン(炎症反応)のほか、サンタン(色素沈着)や免疫抑制が起こります。
そして、慢性障害としてしみ、シワなどの光老化が起こり、最終的にはがんが生じます。
地球に届くのはUVAとUVBの2種類
紫外線といっても波長によりUVA、UVB、UVCに分けられます。地球に届く紫外線はUVAとUVBであり、UVAは波長が長いため皮膚の内部深くの真皮まで到達しますが、UVBはほとんどが表皮までしか到達しません。
いわゆる日焼けはUVAでもUVBでも起こりますが、主にUVBの影響です。UVAは真皮まで到達するため、慢性的に浴びると肌にハリを与える弾性線維が変性し、シワやたるみの原因となります。
日焼けが始まるまでの時間
紫外線を浴びる量にもよりますが、一般的に肌が赤くなる日焼けは紫外線を浴びてから数時間後から始まり、8時間から24時間でピークを迎えます。その後、一度赤みが引いたのち、色素沈着が起きてしまうと肌が黒くなります。
ただし、赤くなるのは肌の防御反応なので、日焼けというのは体にとって悪いこととも言い切れません。紫外線のダメージから肌を守るためにメラニンが生成されて肌を守っているのです。
黒くなるかならないかの決め手となるのが、ターンオーバー(肌の代謝のしくみ)。これが乱れてしまうと、メラニンがうまく排出できなくなってしまい肌に残ってしまいます。
ターンオーバーのサイクルが整っているときはメラニンが残りにくいですが、年齢を重ねるとともにターンオーバーのサイクルが乱れやすくなるのでメラニンが残りやすくなります。
“光老化”や“ビタミンD”不足に注意! 紫外線との付き合い方
黒くなる日焼けもいやですが、しみ、シワ、たるみなどの“光老化”はもっと怖い! ただし、紫外線を浴びないことにもリスクがあるそうで……。
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光老化が始まる年齢
光老化が始まる年齢は、浴びる紫外線の量に左右され個人差があります。たとえば、部活などで10代のころ毎日紫外線を浴びていた方とそうでない方とではかなり差があります。
ですが一般的に早い方は20代後半ぐらいから症状が出始め、30代になるとほとんどの人に症状が出るといわれています。
光老化の原因は長年浴び続けたUVAです。20代後半から30代になって「ある日、突然しみができた!」という方も多いですが、長い間、皮膚の中に蓄積されていたものが肌表面に現れてきた、という場合がほとんどです。
紫外線は悪者じゃない︎ 極端に浴びないことのリスク
紫外線を浴びると体にビタミンDが作られます。極端に紫外線を浴びないことはビタミンD不足の危険があります。
ビタミンDが不足するとカルシウム不足になり、骨が弱くなるなどの危険性があります。極端な例ですが、血中のカルシウム量が下がると痙攣を起こす場合も。最近はお子さんに紫外線対策をする親が多いため、赤ちゃんや子どものカルシウム不足が問題視されています。
紫外線が届きやすい時間をチェック
日焼けをせずに紫外線を浴びるというのは難しいのですね。夏は午前10時から午後2時の間に1日の70%の紫外線が降り注ぐといわれているので、その時間帯を避けて外出するのがいいでしょう。また、紫外線が少ない日陰を利用する、帽子で顔に当たる紫外線を防ぐ、など工夫してみるといいでしょう。
紫外線を理解して、上手に日焼け対策♡
紫外線の種類や、日焼けだけでない肌に与える影響、そして極端に浴びないことのリスクもご紹介しました。今だけでなく、将来の肌や体のことを見据えて上手に対策してみてください。
教えてくれたのは……大阪美容クリニック理事長の南 真実子先生
祖父や父が産婦人科医であったことから、自身も大阪医科大学医学部卒業後、初期研修を経て大阪医科大学産婦人科教室に入局。主に、腹腔鏡手術、不妊治療、周産期治療などに従事し、産婦人科専門医を取得。検診業務にも従事し、マンモグラフィー読影認定医を取得。女性がいつまでも健康で美しく輝いていられるよう、更なる高みを目指して、美容医療、アンチエイジング医療を行う。大手美容クリニックで活躍後、2017年大阪美容クリニックを開院。婦人科・美容皮膚科を通じて、女性をトータルにサポートできるよう診療を行っている。
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Text_Yui Sato