【40代の副業】人生は一度きりだから「外科医と漫画家」の二足のわらじを履いて
毎日は忙しく過ぎていきますが、本当にやりたいことはできていますか? やりたいことがあるなら、やってみる、それを副業として選んだ40代に話を伺いました。
★ 人生の時間は無限じゃない。 だから、「やりたいことはやってみよう」
さーたりさん(43歳・東京都在住) 外科医 兼 漫画家
さーたりさんは、外科医であり、漫画家、さらには3人のお子さんを持つママでもあります。
「親戚に医師が多く、自然ななりゆきで医学を志しました。医学生時代に、手術が好きだと気づき、外科医の道に。体力には自信があったのですが、想像以上の激務で、朝起きてから寝る瞬間まで働いていました」。
そんな状況下で、漫画も描き始めたのは、担当を任された患者さんがきっかけでした。
「若い女性で、年齢が近いこともあり、親しくなりました。彼女は、おしゃれが好きで、ファッション誌を読んでは、お母さんに洋服を買ってきてもらっていました。着られる機会はめったにないのに、『やりたいことはやっておかないともったいない』と言って、おしゃれをして外泊に出かけたことも。
ところが、久々に休みをもらった翌日に病棟に行くと、彼女は亡くなっていたんです。彼女の言葉を思い出し『私、やりたいことを 全部やってるかな?』と考えるように。残された時間は、限られている。仕事もやりたいことだけれど、昔から好きだった漫画を描いてみようとそのとき決めました」。
そうして始めたのが、漫画ブログ。
「当時、キラキラ女医ブログがブームでしたが、私の日常は真逆。その様子をコミックエッセイ風に描きました」。
結婚し、第一子を出産したあとのエピソードは、働くママたち誰もが、「あるある」と共感できることが満載で、人気上昇。単行本としても出版されました。ブレイクしたのは、第二子出産シーンを描いたとき。
「帝王切開の様子を、自分の目で見たくて、枕を高くして体を起こしてお腹を見ながら出産したんです。それで一気にフォロワーが増えました」。
現在は、総合病院で週4日、実家で週1日勤務しています。
「外科医も自分がやりたいことなんです。産休育休を挟んでいるので、やり切っていないという思いがあって、執刀できる現場を選びました」。
漫画を描くのは、お子さんを寝かしつけたあと。
「寝落ちしちゃうこともあるけど、楽しみにしてくれている読者がいると思うと、励みになります。漫画は、好きだから、 割に合わないことがあっても続けてこられました。2つ世界を持っていると、どちらかが大変なとき、気分転換になりますし、読者さんのコメントを読んで、患者さんへの説明が専門的になりすぎてないかな、などと気づくことも。今後は、医学や病気のことを知ってもらえるような漫画も描きたい。やりたいことをやらずに後悔したくはない。やってみようと思っています」。
撮影/吉澤健太 取材/秋元恵美 ※情報は2021年7月号掲載時のものです。