【山下智久さん】初の海外ドラマ主演で学んだことは…「ワインって人間みたいだな」

さまざまな海外の作品に出演し、国際派スタートして活躍の場を広げつつある山下智久さん。海外ドラマ初主演を果たしたHuluオリジナル『神の雫/Drops of God』が、9月15日から独占配信中です。この作品は、2021年8月にフランスでクランクインし約10カ月にわたって世界各地で撮影されたまさにワールドワイドな作品。役作りに込めた思いや海外でキャリアを積むことで見えてきた新たな景色——。今の山下さんの心境を、多面的な視点で切り取ります。

「ワインって人みたい」初海外ドラマ主演で感じたワインの魅力

—いよいよ配信がスタートしたH

—いよいよ配信がスタートしたHuluオリジナル『神の雫/Drops of God』。海外ドラマ初主演となる今作の魅力を教えてください。
ワインを通して人間を学べるような、そして人間という存在は自然の一部なんだな、と再認識させてくれるような作品に仕上がっていると思います。葡萄は、同じ品質・品種でも、育てる農家さんやその年の天候によって、全く違うものになる。そこに人間との共通点を感じ、勉強にもなったので、見る方も気づきがあるのではないかと思っています。とても壮大なこの作品を通して、自分自身も成長させてもらえました。

—ワインのスペシャリストである遠峰一青のキャラクターをどう解釈し、演じましたか?
まず、遠峰一青は本当に複雑な人間だな、と思いました。裕福なファミリーに生まれて全てを持っているけれど、愛だけは足りなかった。一青を演じて、すべてにおいて愛が一番大切な要素だと感じましたね。硬いワインは、時間を置いて空気に触れることで味が開いてくるのですが、一青もそういうタイプの人間だったんじゃないかな、と。ワインと紐づけて、彼のキャラクターを見るようにしていました。作品に出演させていただくにあたり、ワインをたくさん飲んで勉強もしました。生産者さんの向き合い方や日照時間で味が変わることなど細かい性質を学ぶ中で、ワインって人みたいだな、という気づきがあって。ワインの哲学に触れたことで、アート性の高さを感じたし、自分自身もさらにワインが好きになりました。

経験を積んで見えてきた「関わってくれる人=自分なのかもしれない」という思い

—遠峰一青とご自身で似ているな

—遠峰一青とご自身で似ているなと感じるところはありますか?
どちらかというと僕も一青のように社交的なタイプではないところですかね。人が嫌いになったわけではないですが、心を閉ざした時期もありました。そういう意味で、彼の気持ちを理解できる部分は多かったです。今回のドラマには、いい湿度と環境で保存することでワインの味が変わるように、人も変われるんだというメッセージも込められています。一青の生き方を通じて、自分の心と外の世界を隔てているものを削ぎ落としていく作業の大切さも感じてもらえたら、と思っています。

—今作では親子の絆も描かれています。壮大なテーマですが、親子の描き方にはどう向き合っていましたか?
深いテーマですよね。愛にはいろんな見方・角度があって、正解がないからこそ、「あなたはどう向き合いますか?」と作品を通して投げかけているような気もします。愛にはいろんな要素がある、と演じながら改めて感じていました。ひとりで生きて行くのは限界があるし、人との繋がりは切っても切り離せないもの。僕自身、今の仕事をさせていただいているのも、いろんな人たちの支えがあってこそなので、自分と人・モノは切り離せないと思っています。応援してくれる方たちがいるから僕がいて、僕がいるからみなさんも現場に足を運んでくれる。結局、関わってくれる人=自分なのかもしれない、という感覚は昔に比べると明確になってきました。

パフォーマンスを上げるために意識しているのは“緊張と緩和”

—日本にフランス、イタリアと国

—日本にフランス、イタリアと国を横断して描かれる本作ですが、海外で仕事をする中で日本との違いを感じたり、新たな学びを得たりしましたか?
作品や芸術に対して真摯に向き合う気持ちは日本でも海外でも変わらず、万国共通。ただ、今回の撮影チームでは「撮影時間は1日○時間まで」や「土日は休み」などと決まっていたんです。そういうシステムだとスケジュールのリズムを作りやすくて、僕の中では助かりました。スタッフさんも含めて、体や心を整えられる時間があると集中力が上がるし、アイディアも浮かびやすくなる。集中する時間と緩める時間の緊張と緩和を大事にすることは、これからも心掛けたいと思いました。

—緩める時間には、どんなふうに過ごしていましたか?
今回役作りでダイエットをしていたのですが、週に1回はワインを飲む時間を取っていました。食事を控えめにしていたので、とにかくワインの糖分が身体に染みて、いつも以上にワインが好きな気持ちが爆発していましたね。それは一青の気持ちを理解する点でも良かったと思っています。カミーユを演じる、フルール・ジェフリエさんともよくご飯も食べたし、ワインも一緒に飲みました。

—CLASSY.読者の中には、

—CLASSY.読者の中には、海外で働くことを視野に入れてキャリアに向き合っている人も多いです。世界で活躍される山下さんから是非、アドバイスをいただきたいです!
僕の場合、現地のカルチャーに溶け込めるように、最初はその土地の文化を尊重し、自分を1回消しました。はじめは染まるのが大事だと思うんです。ただ染まりすぎたら、それはそれで勿体無いので、一度吸収した後に、自分らしさを取り戻す作業をやっていくんです。日本で育った自分はかけがえのないものだし、その自分が海外で学んで新しくアップデートされるのが理想だから、どちらの文化に対するリスペクトも大切です。間違っていることや嫌なことがあった時も、最初は気を遣って折れていましたが、やめました。どちらが偉いとかはなくて、お互いに平等。魂は売りたくないって思っているので、自分が思うことを素直に、フラットに伝えることは心掛けていました。

Huluオリジナル『神の雫/Drops of God』
世界的ワインブームを巻き起こした大人気漫画を大胆にアレンジした国際連続ドラマ。山下智久さんの海外ドラマ初主演作。Huluにて独占配信中。
>公式サイトはこちらから

原作:亜樹直 オキモト・シュウ「神の雫」(モーニングKC/講談社)
製作総指揮:クラウス・ジマーマン
監督:オデット・ラスキン
脚本:コック・ダン・トラン
出演:山下智久、フルール・ジェフリエ 他
制作:ダイナミック・テレビジョン
制作協力:アドライン・エンターテイメント
©Hulu Japan

<衣装詳細>
ニット¥74,800シャツ¥44,000パンツ¥59,400(ベッドフォード/バースリー ☎03-6432-9313)

撮影/神戸健太郎 ヘアメーク/竹山直実 スタイリング/櫻井賢之(casico) 取材・文/坂本結香 構成/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)