熊谷真実さん(64歳)暗黒の40代を経て61歳で離婚…でも「実は昨年再々婚しました」

NHK連続テレビ小説「マー姉ちゃん」のヒロインでデビューして45年。昨年、63歳で初グラビアに挑戦し、ビキニ姿が話題となった女優の熊谷真実さん。「いつもチャレンジしていたい」と明るく前向き。ところが、40代は一番しんどくて暗い時代だったと振り返ります。それをどうやって乗り越え、どんな50代を過ごしてきたのか伺いました。

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お話を伺ったのは…女優・熊谷真実さん(64歳)

《Profile》くまがい・まみ
1960年東京都出身。’79年NHK連続テレビ小説「マー姉ちゃん」のヒロインでデビュー。同年、エランドール賞受賞。以後、舞台、テレビ、映画と数多くの作品で幅広く活躍。’16年「マンザナ、わが町」で紀伊國屋演劇賞・読売演劇賞受賞。埼玉県寄居町ふるさと大使、浜松市やらまいか大使などに就任。’20年夏から静岡県浜松市に移住。

自分の変化についていけず悩み苦しんだ暗黒の40代

私の40代は暗かったですね。閉経が早くて、更年期障害の症状が42歳で出ました。でも、自分では気にしないようにしていたと思います。ホットフラッシュで汗が出たら着替えればいいと常に着替えを持参したり、誰もが経験することなんだからと。ただ太りやすくはなりました。当時は159cmで54キロ。肩に肉がついて全体的に大きくなり、当時流行っていたローライズに挑戦してもハミ肉が激しくて、「これ私?」と、自分の変化についていけないの。好きな服は変わらないのに、自分が思っている体型と変わっているから似合わない。だからホットヨガをやったり。でも、抗っても抗っても抗いきれない食欲がどうしようもなかったです。

そんな外見に伴って、その頃は母親役が多かったです。それでも役にハマりきれない自分がいましたね。どちらかというと、性格は子どもっぽいし、着る服も可愛いのが好き。コンサバな服は似合わないと決めつけていました。今思えば体型が変わっていくことも含めて、どんな自分になりたいのかわからなかった。そんな悩み苦しんでいた48歳のとき、女優の高橋惠子さんから「50代って最高に楽しいよ」と言われて、あーそうなんだ、私もそう思えるようになるんだ!と言い聞かせました。そして、50歳になった瞬間にトンネルを抜けました。「50代は最高」と思うことで、自分で自分に魔法をかけたんですね。

「好きじゃない」のひと言は人生一辛い言葉でした

「やったー50歳になった!」というタイミングで目の前に元夫が現れて、「結婚を前提におつき合いしてください」と言われ、52歳で再婚。

結婚生活は幸せでしたよ。何より感謝しているのは、元夫の故郷である浜松に移住したこと。土地と肌が合って、自然の中でのびのび過ごすことで、心も体も生き返ることができました。

ところが、61歳間近に、夫から突然「好きじゃない」って言われたんです。今思い返しても人生で一番辛かった言葉でした。私は、結婚してハッピーラッキーばかりだったし何の疑いもなかったから、今思い返しても人生で一番辛かった言葉でした。でも深掘りもできず、「わかった」としか言えなかったので、もう離婚するしか選択はないと感じました。状況を説明するため、義父母のところに2人で挨拶に行った帰り、なんとなく一緒に帰りたくないなと思って夫を車から降ろして発車しようとしたら突然エンスト。そうしたらダッシュボードに「後戻りできません」と表示が出たんです。今まで見たこともないような表示が。再びエンジンをかけると、普通に走り出したのですが、その表示が今の自分の状況を意味しているように感じて……。「このまま走るしかない。もう戻れないんだ」と思って涙が溢れました。今向かっている方向に追い風が吹いていると言われているような気持ちになりました。そして、その2カ月後に離婚。61歳でした。

一大決心をして昔の写真を整理していたときのこと。「ああ、このとき楽しかったなあ」「あんなときもあったなあ。ありがとうだなあ」と感謝の気持ちが湧き起こってきた自分に驚きました。出会いも別れも、良い時間を過ごせた10年だったと改めて思えたんですよね。彼に心から感謝できたとき、終わったんだなあと逆に思いました。

東京に戻ることもできましたが、鶯が鳴いている自然の中を朝散歩する生活は捨てられなくて、浜松に残ることにしました。東京でのお仕事は、1時間17分かけて新幹線で移動しています。

1日をハッピーに過ごす秘訣は“朝ニコ運動”

高校生のとき、役者になるって決めました。妹と一緒にオーディションを受けに行くと、妹はどんどん合格するのに、私は落ちてばかり。学校では人気者だったんだけどね。どういう形で役者になれるかはわからなかったけど、「役者になる」って心に決めていたからなれたんだと思っています。

心って悩むためではなく、決めるためにある。悩むのは頭だけ。心をきれいにすると決める、喜びで生きると決める。「なりたい」ではだめで、「なる」と決めることで、人生を一歩踏み出せます。

朝、目覚めた瞬間にニコッと笑う“朝ニコ運動”をしています。もともとは稽古の前の緊張を振り払うためでした。でも、口角を上げると脳が「楽しい」と勘違いして、1日をハッピーラッキーに過ごせるらしいんです。

やりたいと思ったことはこれからも全部やります。だって人生後半!遠慮してたらもったいない!結婚ですか?実は昨年12月に再々婚したんです。だって、私みたいなステキな女が1人でいるなんてありえないでしょ?あ、自分でステキな女なんて言うのは、周りの人がお世辞を言わなくてもいいように(笑)。

還暦過ぎてから、今、こんなふうにいられるのは40代で悩んだとき、結局は大きな意味で自分に抗わなかったからかな。美しさって人それぞれ、百花繚乱でしょ。自分の個性を自分で尊重して、ありのままに生きてきたからこそ、今幸せでいられるのだと思います。

40代のころの私

ヤフーニュースでよく使われるのは、顔が丸々としていた40代の頃の写真ばかりなんですよ。女性本能が脂肪を蓄えようとするのか、急に太り出して着る服に困りました。早い更年期も始まり、30代のキラキラした私はどこへ行った?と自分が自分でないような苦しい時代でした。

熊谷さんが40代に伝えたいこと

40代ってなにかと不安を感じる時期。でも不安があれば不安を解消するための対処法を見つけて実践すればいいだけのこと。不安に思い続けるのでなく、愛や喜びを感じて生きてください。

《衣装クレジット》
ブルゾン¥54,780デニム¥39,380セーター¥28,380(すべてジェーンマープル)

2024年『美ST』6月号掲載
撮影/中村和孝 ヘア・メーク/坂田佳子 取材・文/安田真里 レイアウト/ファブ 編集/和田紀子

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