高橋克典さん(59)還暦を迎える今、仕事やプライベートへの向き合い方「自分にできることをやらせてもらう」

ドラマ『サラリーマン金太郎』をはじめ、数々のヒット作で主演を務めてきた高橋克典さん。近年はヒロインの素敵な父親役や気弱な三枚目の役、さらにはバラエティ番組の司会を務めるなど、活躍の場を広げている人気俳優が、12月に3年ぶりとなる舞台『応天の門』に出演します。その公演中に、なんと還暦を迎えるという高橋さん。作品への取り組みや日々の生活について伺いました。

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漫画原作の舞台は初めて。慣れない平安時代の設定に不安もありました

舞台『応天の門』の原作は、WEB漫画誌で連載している灰原薬さん作の同名の人気漫画。博識でリアリストの文章生・菅原道真と、京随一の色男で都を守護する役職にもある歌人の在原業平が、平安京で巻き起こる怪事件を解明していく物語です。

「漫画が原作のテレビドラマは以前から色々やらせてもらってきたんですが、舞台は今回が初めてです。時代設定が平安時代の作品にも、これまであまり馴染みがなかったので、とても新鮮に感じています。正直、最初はちょっと不安もありましたが、原作の漫画を読むとイメージが広がりますし、今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』が、まさに平安時代の話。よし、これに乗っていこうと思いまして(笑)。衣裳さんがまた、平安貴族の雰囲気たっぷりの素敵な装束を用意してくださっているんです。明治座の舞台で、それを着て芝居をするのが楽しみですね」

高橋さんが演じるのは昔から美男の代名詞にもなっている高貴な生まれの歌人・在原業平。女性たちにモテモテな一方で、検非違使を率いて都の治安を守る頼もしい存在でもある役柄は、スーツの上からでもわかる鍛えられたボディに、大人の渋みと色気と艶を併せ持つ高橋さんに、まさにぴったりです。

「ありがとうございます。舞台を観にいらした皆さんにもそう思ってもらえるように頑張りたいですね。というのも、業平の人物像がよくわかるようなセリフや場面というのが、かなり限られているんです。本気で好きになった女性とのエピソードもチラッと触れられる程度ですし、歌人でありながら検非違使を率いる役目にもあるという結構ギャップのある役柄でもあるので、それをどこまで立体的に埋めていけるか、稽古で格闘しているところです。もちろん、原作のイメージも大事にしたいですし、稽古に入る前から業平の時代に詠まれた和歌を読んで、自分なりにイメージを膨らませてきた平安時代の空気感みたいなものも、ふとした時に醸し出せたらいいなと思っています」

12月半ばには還暦を迎える高橋さん「若さの秘訣なんてないですよ」

キリリとした表情はもちろん、爽やかな笑顔も素敵な高橋さん。公演期間中の12月半ばに、還暦を迎えるというから驚きです。

「若さの秘訣なんて、ないですよ。そもそも、歩み方は人それぞれ違うもので、僕はたまたまこんな感じになっているだけ。普段からジムで基本的なトレーニングはしていますが、特に何かを意識したり、ましてや特別なことをしているわけではないです。もちろん、その時々で演じる役に合わせて、筋肉をつけたり、落としたりはしますけどね。
びっくりしたのは、今回の舞台で初めて共演する、菅原道真役の佐藤流司くん。自分で玄米ご飯を炊いて、おにぎりにして稽古場に持って来ていたりするんですよ。僕が若い頃は、レトルト商品とかカップ麺とか、そういうインスタント食品やジャンクフードがたくさん出てきた頃で、僕も喜んで食べていたし、外食産業がどんどん発展していた時代でしたからね。違いに驚きました(笑)」

高橋さんが食事に気を付けるようになったのは、30代半ば頃。主演を務めるドラマの撮影のために身体を鍛えるようになったことがきっかけだったといいます。

「身体を鍛え始めると、当然、じゃあ筋肉を付けるためにどういうものを食べたらいいのか?と考えるようになりますよね。そうすると段々、自分の身体に必要なものと不必要なものがわかってきて、食事にも気を付けるようになる。それが習慣化していって、今に至る感じです。だから僕の場合、“身体にいいものを食べなきゃ”というようなこだわりが、特にあるわけではないんです。そもそも自分の性格として、“こうだから、こうしなくちゃいけない”と決め込むことが好きじゃないんですよ」

プライベートでは、母校“青学”の同窓祭の実行委員長を務め、目まぐるしい一年に

そんなご自身の日常を、2015年に始めたブログにも綴っている高橋さん。飾らない素顔や、一児の父としての姿も垣間見られると好評を得ています。

「ブログを開設したきっかけは、所属している事務所に勧められたことです。もともと僕はすごく面倒くさがり屋なんですが、日記もつけていないし、SNSをやっているわけでもないので、ブログでもやらなければ何にも残らないかなと思って始めました。とはいえ、あまりいい加減なことは書けませんし、ちゃんと書こうとすると結構時間を取られるので、やれる時にやる、という感じです。ブログを通じて、高橋克典は最近こんなことをやっているのかと、親しみを持っていただけたら嬉しいですね」

ブログには、多忙な中、母校である青山学院の今年の「青山学院大学同窓祭 AOYAMA GREEN FESTIVAL」で実行委員長を務めたことも綴られ、話題を呼びました。

「僕自身は大学を途中で辞めてしまったんですが、初等部から通っていた青山学院の大学が今年創立150周年の節目を迎えるということで、その同窓祭、要は卒業生による文化祭のようなイベントの、実行委員長をやってくれないかと頼まれまして。いやあ、本当に大変でした。同窓祭には7年前から関わらせてもらってきたんですが、実行委員すらやったことがなかったので、たくさんのことを判断・承認しなければならないのに前例がわからなくて。しかも、ドラマを3本、映画を3本撮りながらだったので、目が回る忙しさでした。
なので、副実行委員長をはじめとする周りの方々や各部の色々な人たちにすごく力になってもらって、僕は僕にできることをやらせてもらいました。結果として、同窓祭を大盛況で終えることができましたし、たくさんの人と出会えて楽しかったですね。皆さんにご協力いただいて、今年はホールでの公演をチャリティーにして、集まったお金を返済不要の給付型奨学金にあてることができたことも嬉しかったですし、僕自身も野外ステージで、昔のメンバーと賑やかしでバンドをやったりして(笑)。何よりも、無事に終えられてほっとしました。そんな今年を締めくくる舞台『応天の門』、とにかく集中して、いい作品にしたいですね」

高橋克典さんprofile

1964年生まれ。神奈川県出身。1993年「抱きしめたい」で歌手デビュー。その後、俳優としての活動も始め、TBS『サラリーマン金太郎』シリーズ、テレビ朝日『特命係長 只野仁』シリーズ、日本テレビ『課長島耕作』シリーズなど、多数の主演ドラマのヒット作を生み出す。近年の主な出演作は、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』、NHK BS『大岡越前7』、テレビ朝日『素晴らしき哉、先生!』、NHK『未来の私にブッかまされる!?』、映画『乱歩の幻影』、舞台『醉いどれ天使』など。BSテレビ東京『ワタシが日本に住む理由』では司会を務める。

高橋克典さん出演の舞台 『応天の門』

Ⓒ灰原薬・新潮社/舞台『応天の門』製作委員会

【公演情報】

舞台『応天の門』

原作/灰原 薬『応天の門』(新潮社「コミックバンチKai」連載) 脚本/桑原裕子 演出/青木 豪

出演/佐藤流司 高橋克典/中村莟玉 高崎かなみ 本田礼生 白石隼也 坂本澪香/青山良彦/八十田勇一 若狭勝也/篠井英介/西岡德馬/花總まり(特別出演)

https://www.meijiza.co.jp/info/2024/2024_12/

撮影/沼尾翔平 ヘア・メーク/佐藤健行(HAPP’S.) スタイリスト/小川カズ 取材・構成/岡﨑 香

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