窪塚洋介さん(46)『IWGP』のキング役は「こんなに長生きするキャラクターになるとは」【映画『次元を超える』主演】
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2000年代に、数々の人気ドラマに出演して人気を博した窪塚洋介さん(46)。『池袋ウエストゲートパーク』のキング役や、『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』の佐伯役に、憧れを抱いた人も多いのではないでしょうか。そんな窪塚さんの最新作である、映画『次元を超える』が、現在絶賛公開中です。年齢を重ねて俳優としての魅力はますます磨きがかかっていますが、実は30代後半まで「くすぶっていた時期」が10年以上も続いていたとか。これまでの窪塚さんの俳優としてのキャリアや、ちょうどアラサー世代のとき、精神的な支えになっていたという音楽活動について、お話を聞かせていただきました。
プロフィール
1979年5月7日生まれ。神奈川県出身。1995年、俳優デビュー。2001年には主演映画『GO』で、日本アカデミー賞最優秀主演俳優賞を史上最年少で受賞。2017年にマーティンスコセッシ監督作『沈黙 -サイレンス-』でハリウッドデビューを果たし、国内外の話題作に多数出演するほか、モデル、執筆など多岐にわたって才能を発揮。自身のYouTube番組やゴルフアパレルブランドなどのプロデュースにも注力している。
キャリアにアップダウンがあったからこそ、今の自分がいると思う

――CLASSY.世代にとって、窪塚さんといえば『池袋ウエストゲートパーク(IWGP)』のキング役の印象が強いです。SNSでもたびたび話題になりますが、ご自身はどう思っていらっしゃいますか?
こんなに長生きするキャラクターになるとは思ってなかったですね。何年か前にCMで復活させていただいたり、フィギュアを作っていただいたりもして。『IWGP』はもちろん、キングというキャラクターが、時空を超えて愛されているのは素直にうれしいです。Netflixで配信されてからは、若い世代の方々にも「ファンです」なんて言ってもらえて。俺にとっては「ラッキー!」って感じです(笑)。
――史上最年少で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞されるなど、20代前半でスターダムを駆け上がった窪塚さんですが、当時はどんなお気持ちだったのでしょう?
世間が、自分の一挙手一投足に反応してくれるような感覚があって。キャリアもいい感じに積めてるなと思ってたんですけど。結局、自分の手で1度“バーン”って壊したみたいになりましたよね(笑)。
――たしかに04年の転落事故は衝撃的でした。その後約1年間、俳優活動も休止されていましたよね。
今振り返ると、当時経験したことは全部自分の肥やしになっているから、必要なアップダウンだったと思いますけどね。たぶん、ずっと順調なだけだったら、勘違いしたまま大人になってただろうし。かといって、あそこから這い上がれなかったら、今俺はここにいないだろうし。いいことも悪いことも、混ざり合って今の自分の温度になっているんだと思います。
音楽活動を始めたのは、レゲエをやらないと生きていけないと思ったから
――その後、ちょうどCLASSY.世代である27歳のころから、「卍LINE」名義で本格的な音楽活動をスタートされています。どんなきっかけがあったのでしょうか?
そこに山があったから登った…というよりは、この山を登るほかに道がないと思ったんですよね。レゲエミュージックをやらないと、もう生きていけないって気持ちだったから、覚悟を決めて活動を始めました。
好きだから夢中でやってたけど、正直、最初はぜんぜんダメで。ライブに出ても、まったくお客さんを盛り上げられないんですよ。登場したときは歓声がわくけど、ほとんど出落ち状態。客寄せパンダみたいなものですよね(笑)。俺がアラサーのころは、全国を回ってライブして、日払いのギャラをポケットに突っ込んで帰る…みたいな生活をしてました。
――その数年前までスターだった窪塚さんにとって、そのギャップがつらくはなかったですか?
まあ、でも楽しかったからね。1番キツかったのは事故の直後で、そのあとは少しずつ上がっていくだけでしたし。ただ、役者としては、なかなかいい作品に巡り会えなくて。2017年に『沈黙-サイレンス-』に出るまでは、ずっとくすぶっている感じはありました。だから10年以上、レゲエミュージックが精神的にも経済的にも、俺の支えになっていましたね。
DJやラッパーに憧れた20代。でも「俳優がやるのには違和感があった」

――窪塚さんがそこまでレゲエミュージックにのめり込んだきっかけについても伺いたいです。
最初はヒップホップから入ったんですよ。東京に出てきて3年くらい、実家にも帰らず遊び倒していた時期があって。ちょうど、トントン拍子にキャリアが上がっていた時期に、渋谷のクラブにも通っていました。そこでいろいろな人たちに出会ったんですけど、DJとかラッパーっていうのがすごくカッコよく思えたんですよ。だって、さっきまでただのおじさんだった人が、ステージに立った瞬間、ものすごく輝いて見えるんですもん。俺もやりたかったんだけど、当時は俳優がDJやラッパーをやるっていうのに戸惑いがあったんですよね。
――たしかに、今はまったく気にならないですけど、当時はかなり違和感があっただろうなと思います。
表に出せるわけじゃないのに、隠れてリリックを書き溜めたりしていました。そんなときに、ヒップホップのDJをやっていた友だちが、今度はレゲエのサウンドを始めるってことで。本場のジャマイカで修行するって言うから、俺もついて行ったんです。そこで、レゲエの魅力に取りつかれたんだと思います。ラブ&ピースな音楽だし、いい意味で“出たとこ勝負”というか、カッコつけない感じが逆にカッコよくて。自分で活動を始めてからは、毎年アルバムを出したり、とにかくライブに出続けたり。10年間、夢中で駆け抜けてようやく、自信が持てるようになりました。
芝居をしているときの自分は、次元を超えて別の人生を生きている
――現在は、俳優業もふたたび軌道に乗っているかと思います。主演映画『次元を超える』も公開されますよね。CGやVFXを駆使していたり、気功を使ったバトルのような展開もあったりと、盛りだくさんな内容ですが、現場ではどこまで想像がついていたんでしょうか?
CGやVFXのシーンは、完成版を見てから「こんな感じになってたんだ!」と驚く部分も多かったです。気功の技も、現場では自分たちの感覚だけが頼りだったから、演者同士で世界観をすり合わせたりもしました。俺が放った技を、(松田)龍平が止めるシーンがあるんですけど、そのテンポがすごくゆっくりで(笑)。龍平は「俺はこれくらいのスピードだと思います」って言うんだけど、俺の感覚だと「いや、今もう3発くらい当たってたよ!」って、めっちゃ笑ったことを覚えています。
――シリアスなシーンでしたが、現場は和気あいあいとした雰囲気だったんですね(笑)。本作はストーリーも映像もインパクトが強く、強烈な体験をさせられる映画だったのですが、窪塚さんも撮影中に、作品の世界に取り込まれるような感覚はありましたか?
実は俺、アメリカの研究所からの依頼で、脳波を測定したことがあるんです。その人の性格とか精神状態が、脳波からある程度読み取れるらしくて。そのとき、芝居をしている状態でも調べたいってことで、豊田監督の『全員切腹』の長台詞を、なるべく本番のつもりで読んだんです。それは侍の役だったんですけど、まるで“侍脳”と言えるような、完全に役に入り込んだ状態になってたらしいんですよ。しかも、夢を見ているときと同じ脳波だったとかで。
たぶん、俺が芝居をしているときって、夢の中で別の人生を生きてるような感覚なんでしょうね。だから、この作品はもちろんのこと、現場でカチンコが鳴った瞬間、いつも“次元を超える”体験をしているんだと思います。
インフォメーション
映画『次元を超える』
窪塚さんが松田龍平さんとW主演を務める映画『次元を超える』は、10月17日から公開。孤高の修行者・山中狼介(窪塚洋介)が、危険な宗教家・阿闍梨(千原ジュニア)の家で行方不明に。謎の暗殺者・新野風(松田龍平)は狼介の恋人から依頼され、捜索を開始するが…。日本から地球、そして宇宙までも巻き込む、壮大な作品になっています。
スタイリング/三田真一(KiKi inc.) ヘアメーク/佐藤修司(botanica make hair) 撮影/新道トモカ 取材/近藤世菜 編集/越知恭子