【井川遥さん】思春期の子どもとは衝突することもあるけれど「大人同士として付き合える日が楽しみ」
公開前から注目を集めている映画『平場の月』では儚く美しく、そしてリアルな大人の恋を表現している井川遥さん。どんな困難とも実直に向き合い、スモールステップを積み重ね続けたからこそ辿り着けた確かなる現在地。自身のキャリアを振り返りつつ、自分なりの幸せの価値観や50代を見据えたキャリアとプライベートの展望を語ってくれました。
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今いちばんの関心は子どもの成長。大人同士として付き合えるその日が来るのが楽しみ
子どもの「今日うまくいったよ」 という何げない報告を一緒に喜べる時間が幸せ
今の子どもたちは私たち世代とはくらべものにならないくらい忙しいですよね。母である私も習い事の管理や食材の買い出し、塾の振り替えは16時までだったのに過ぎちゃった… などなど、仕事中であっても何か忘れていることはないかと頭の中はいつも考えを巡らせています。学習面でも忙しいですし、家族と離れて友だちと過ごす時間が増えてきたりと、まだまだ心配は尽きません。子どもたちと一緒に日々を迎え、乗り越えているような感覚… 共に一喜一憂しています。
思春期に差し掛かり衝突することも多くなりましたが、まだまだ一生懸命報告してきたりも。「今日が本番なんだ」「うまくいったよ!」と、そういう子どもたちのうれしそうな表情にほっとします。高校生と中学生、だいぶ楽になったとは言え、まだ頑張らないと。
そんな私の今の関心事は、やっぱり子どもの成長。将来について話してみると、上の子は小さなころの夢とは違い、だいぶ具体性を帯びてきました。それぞれの将来の姿を思い描くのは楽しいですね。母的視点で見るならば、まだ子どもに感じられる彼らですけれど、あと数年すれば大人同士として付き合える年齢です。外で待ち合わせてご飯を食べて帰ったり、今とは違う関係性になりますよね。その日を心待ちにしています。
あったことすら気づくことが難しい ささやかな幸せに目と心を配りたい
〝人生の時間〞 というものをここ数年考えるようになりました。私たちの世代は親
の老いを感じるようになるし、自分の体の揺らぎ、そして子どもたちは思春期に。親、自分、子どもたち… 三世代に色々な変化が同時に起こり、背負うものが多くなる世代です。でもそれと引き換えに、自分の在り方は段々とくっきりしてきて。大事にしたいものにフォーカスして打ち込めるようになったのは、歳を重ねてきたからこそ。経験からだと思います。そして大切なことに集中するためにも衣食住という暮らしが快適でありたいし、量より質を求めたくなってきます。
三世代を繫ぐ世代になっているからこそ、それぞれのエネルギーの差をとてもわかり
やすく感じるんですよね。私に関して言うならば自分ひとりで完結してしまうことよりも、相手がいて、創意工夫して、それを喜んでくれたら幸せなんです。サービス精神のような心配性のような、はたまた凝り性というか世話好きというか…それら
のものが入り混じって私なんだと、ようやく最近わかるようになってきました(笑)。
ありふれた日常にも ちゃんと幸せが宿っている
映画『平場の月』は、中学の同級生であり初恋同士でもあるふたりが再会し、また心を寄せていくお話です。青砥(堺雅人さん)は離婚を経験し、私が演じた須藤は夫と死別。地元に戻ってきて偶然再会し惹かれ合う。でも今までそれぞれ過ごしてきた時間があり、生き方がある。大人の恋はただ好きなだけではなく、抱えている問題も、お互いを思うがための遠慮もあるんですよね。そんなふたりが大切にしたいのが〝ちょうどいい幸せ〞。日常の些細なことに互いが共感し、わかり合える。だから一緒にいる。身の丈に合ったささやかなもの。このふたりの恋の行方を一緒に見守って、ふと立ち止まって考えていただけたら嬉しいです。
STORY世代にこそ観てほしい!映画『平場の月』
朝倉かすみのベストセラー小説を原作に、堺雅人と井川遥が共演。時を経て再会した初恋が、時を越えて静かに実りゆく。切なくリアルな大人のラブストーリー。主題歌は星野源「いきどまり」。2025年11月14日(金)より全国東宝系にて公開。
Haruka Igawa
1976年6月29日生まれ、東京都出身。女優として映画やドラマに多数出演。雑誌「VERY」のカバーモデルとしてそのファッションやライフスタイルが同世代の女性から圧倒的支持を得た。今秋は公開を控える『平場の月』のほか、数々の映画に出演中。
肩に掛けたカーディガン、上に着たカーディガン各¥447,700中に
着たハイネックニット¥359,700パンツ¥350,900ピアス¥1,672,000リング¥261,800(すべてエルメス/エルメスジャポン)
撮影/鏑木 穣(SIGNO)ヘア・メーク/佐々木貞江 スタイリスト /青木千加子 取材/西道倫子
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