吉高由里子さん(37)「もう辞めようかなと思ったことも」30代で気づいた“限界ライン”【舞台『シャイニングな女たち』インタビュー】
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一人の女性の死をめぐり気付かされる、女性たちの現代社会の生きづらさや「主観の不確かさ」を描く、舞台『シャイニングな女たち』が12月7日より開幕します。主人公・金田海を演じている吉高由里子さんは、20代の頃の自身を振り返り、「辞めたい」と思うことがあったと明かします。30代に突入し変化した思い、そして走り続ける理由についても聞きました。
Profile
1988年7月22日生まれ、東京都出身。2006年に映画『紀子の食卓』でスクリーンデビュー。2008年には、映画『蛇にピアス』で日本アカデミー賞新人俳優賞とブルーリボン賞新人賞をW受賞。その後も、連続テレビ小説『花子とアン』、『星降る夜に』、『最愛』などヒット作が続き、2024年の大河ドラマ『光る君へ』では主演を務めた。
やり直しが利かないぶん、自分を立て直す精神力が必要
——舞台への出演は、3年ぶりです。今、どんな心境ですか?
テレビドラマや映画に入る時も怖さはあるけれど、舞台はやっぱり生ものなので怖いです。それに、今作で舞台は4作品目の出演になるので、「慣れていないんです」という魔法の言葉の効力もなくなってきたなという怖さもあって(笑)。舞台はやり直しが利かないぶん、くじけそうな自分を立て直す精神力が必要だし、よりメンタルを鍛える期間になりそうです。それに、どの現場でも思うことですが、自分のせいで現場を止めることはしたくない。風邪やケガに気をつけて、挑みたいです。
——舞台ならではの表現で、気をつけていることは?
どうなんだろう…。テクニック面よりも、自分がどう感じて演じるか、のほうが重きを置いているかもしれません。舞台は、私たちが板の上に立ってからは私たちで最後までなんとかしなきゃいけない空間で、映像の現場は、常にスタッフさんに囲まれている環境。舞台では目の前にお客さんがいるけど、映像では目の前にカメラマンが立っていますから(笑)。そうした状況の違いをどう感じて、動けるかなのかなと思っています。
観客を舞台の世界に誘い、連れ回したい
——舞台ならではの楽しさは、どこにあると思いますか?
目の前に俳優がいて、そこで芝居をしているってすごい迫力ですよね。私自身も、蓬莱さんの『おどる夫婦』という作品を観に行ったとき、「長澤まさみさんって本当に存在しているんだ!」って思いましたから(笑)。観ている側としては、そういう感覚も楽しいと思います。
——なるほど! 確かに、驚きますよね。
それに、私の演劇体験の話をすると、舞台を観ているうちに、気づけば自分の過去を振り返っていたことがあって。セリフが頭に入ってくるというより、外で鳴っている感覚なのかな。自分も登場人物たちと同じように、そのシチュエーションを生きていたんです。そのとき、これは「作品に連れ回されているな」と感じて。こういう感覚を生み出すことも、演じる側の醍醐味のような気がしています。今作も、過去と現在を行き来する作品ですし、観ている方を作品の世界に誘い、連れ回すことができたらいいなと思っています。
——演じるのは、社会人として働く傍ら、他人のお別れの会に紛れ込んでビュッフェを食べて帰る行為を繰り返している女性・金田海です。どんな女性だと感じていますか?
きっと今よりも過去のほうがキラキラとしていて、感情の起伏があった子だと思うんです。うれしさや幸せがたくさんあるときって、人は悲しいほうへ寄って行かないような気がしているのですが、彼女はお別れの会に自ら紛れ込んでいて。そうやって悲しいほうへ寄っていこうとするのは、寂しさがあるからかな、と。だからこそ、今の彼女は人の悲しい状況に寄り添えるし、それで自分を救われている、という状況なんだと思います。
——「知らない人のお別れの会なのに、なぜか涙を流している」という描写もありました。
彼女は今、何にむなしさを感じているのかも、理解できていないような状態だと思う。味のしないガムをかじっているような日々を送っているんじゃないかなって。これからより深く彼女を理解して、深掘りしていきたいです。
30代になり、「継続は力なり」を実感しました
——吉高さんは20代の頃、続けていたことはありますか?
20歳になってから24歳くらいまでの間、毎年ホームステイをしていたんです。あの時期にしかできないことだったと思うし、たくさんの人に出会って、新しい経験をさせてもらえたことは、私の中で大きな財産になっています。
——なぜホームステイを選択されたのですか?
観光よりも、「人」に興味があったんだと思います。それに、昔から「誰かの家」が好きだったんです。そこの家ならではの食事や生活習慣を味わうことが楽しくて。それに、知らない人同士から交友関係が始まる、というのも刺激的でした。
——行動力がありますね!
日本にいるとどんどん仕事を入れられちゃう、っていう不純な動機で始めたんですけどね(笑)。でも、考えるよりもすぐに体が動いていたんです。何事も、頭で考えるよりも先にまずはぶつかっていくタイプで。迷った場合は両方選んでいたし、なんでも挑戦するようにしていました。だからこそ、20代の私に言いたいことは「続ける努力をしなさい」です!
——手を広げすぎましたか?(笑)
そうなんです。それは、昔の自分に注意してあげたいな。もちろん挑戦することは大切だけど、「継続は力なり」という言葉の意味をより深く感じるようになったのは30代になってからかもしれません。
——「人」に興味を持たれていたということは、交友関係も広かった?
それこそ20代のころは、フットワークも軽くて、どこにでも顔を出していましたよ(笑)。というのも、私はこの世界に16歳から入りましたが、10代の頃はもちろんお酒の場に同席できなかったので、20歳になってから参加できることがうれしくて! でも、20代後半になってからは、広げた風呂敷の中から何が大事かを少しずつ考えていくようになりました。
——ガラッと環境を変えられたのですね。
「出会いを広げたい」という欲求が落ち着いたんでしょうね(笑)。あと、「これ以上大切な人を増やしたくない」という気持ちも持っていました。大事な人に出会えることはすごくうれしいことだけど、増えれば増えると、自分が抱えきれなくなって苦しくなってしまう気がしたんです。だから最近は同じ人たちとばかり遊んでいますね。
自分が苦しくなるラインを知っておくことも大事
——30代に入り、仕事面にも変化はありましたか?
いろいろな経験をしたぶん、臆病になったような気がしています。それに、年齢を重ねるにつれて、どんどん任されるものも大きくなっていって…。主演を任せていただくことも多くなりましたが、それに合わせて、責任感も膨れ上がっていく。求められる平均値も、20代の頃より高くなりますしね。年齢も経験数も、あらがえない数字だからこそ、客観的に自分を見つめる機会が増えた気がします。
——吉高さんはずっと順風満帆で、軽やかにハードルを越えられているようなイメージを持っていました…!
本当ですか⁉︎ 立ち止まることばかりですよ(笑)。それに、「もう辞めようかな」と思ったこともあります。生きていると、「始めたい」があれば「辞めたい」もあるだろうし、その感覚と向き合うことは大切なことだと思うんです。自分が苦しくなるラインを知っておく、というのも大事なんじゃないかな。
——それでも吉高さんがこの仕事を辞めなかった理由は?
結局は、「人」だと思う。自分のために最初から最後まで駆け抜けようなんて、絶対にできない!(笑) 私が限界を感じたとき、周りが私の気持ちに寄り添って「立ち止まらせてくれた」ということにもすごく感謝しています。そうやって周りが支えてくれて、いろいろな人とのご縁が実を結び、私は今このポジションにいられていると分かっているから。そんなみなさんのために、頑張ろうと立ち上がれたんだと思います。
Information
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』
12月7日から28日まで渋谷・PARCO劇場にて上演。大阪・福岡・長野・愛知公演あり。一人の女性の死をきっかけに、主人公・金田海(吉高由里子)をはじめとする女性たちの現在と過去が交錯する群像劇。そこから浮かび上がる、現代社会の生きづらさや「主観の不確かさ」を作・演出を務める蓬莱竜太が繊細に描く。
ドレス¥303,600パンプス¥171,600イヤリング¥210,100リング¥148,500バングル¥171,600(すべてロエベ/ロエベ ジャパン クライアントサービス)
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撮影/MANAMI ヘアメーク/中野明海 スタイリング/申谷弘美 取材/小林揚 編集/越知恭子