FETICOデザイナー・舟山瑛美さん「モノを選ぶときの最終判断は“自分がどうなりたいか”」

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堀田茜が「30代になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな話題を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載32回目。今回は「FETICO」のデザイナー、舟山瑛美さんからお話を伺いました!

20代、何でもやってみた過程があって、30代の今、やっと自分を見つけた気がしています

【今月の茜のモヤモヤ案件】
人もモノも、独自性が重要視される時代になったと思います。でも、自分らしさって何?と考えると、ないです…という気にも。大好きなブランド「FETICO」のデザイナー、舟山さんはブランドのオリジナリティをどう確立されてきたのか聞いてみたいです。

〈今月話し合いたいこと〉
自分らしさが大事な時代。オシャレも仕事ももっと私らしさを確立したい!

舟山:堀田さんにお声がけいただいたのがとてもうれしくて、今日は楽しみにしていました。
堀田:舟山さんのFETICOの服は、初めてコレクションを拝見したとき、本当に衝撃でした。露出があってもいやらしさがなく、ミステリアスで上品で。「この独自の世界を日本の女性デザイナーが作っているんだ」と心がときめいて。仕事の衣装でも私服でも、愛用しています。
舟山:ありがとうございます。FETICOを立ち上げようと思ったときにまず考えたことは、“女性の体って本当に美しい”という感覚。学生時代、ヌードのクロッキーをよく描いていて、人それぞれ体の線が違うことがすごくおもしろかった。だから、体のラインを全部隠すより、それを生かした服を作りたかったんです。海外のブランドだとそういうデザインは多いけれど、日本だと可愛らしい路線だったり、エフォートレスのほうが多かったり。だから体に沿う、肌を見せる、でもモードで上品なものにしよう、と考えてスタートさせました。
堀田:私が衝撃を受けたのはそういう唯一無二の感性が表現されていたからだったんですね。ブランドの世界観や自己ブランディングはどうやって確立されたのですか?
舟山:学生時代に「自分は何が好きなのか」をすごくリサーチさせられたので、自分らしさの表現はそのときに培われたのかもしれません。その「好き」を表現する服を作ってみましょう…というデザインの授業があったりもしました。当時は古着が好きだったし、好きを追求する中でパンクミュージックに出会ったし、その影響でロンドンのファッションカルチャーも好きになった。漫画の『ご近所物語』も大好きだったから、私はそういうことを表現していたし、今もそこから変わらない部分はたくさんあります。
堀田:私も仕事を続ける中で、自分の“名前”をどう育てるかを考えるようになりました。昔は、SNSもこんなにも盛んではなかったので、事務所が俳優やタレントのイメージを作る風潮だったと思うのですが、今…特にコロナ禍以降は、自分でSNSで発信してイメージを作る時代になったような気がします。会社員の方たちもきっとそうですよね。だから、自分で何が好きかを選び取って、それに責任を持つことがすごく大事になってきたと思います。
舟山:そうですね。高校時代の先生に「鉛筆一本買うにも、なぜそれを選ぶのかを考えなさい」と言われました。それ以来、何かを選ぶときは必ず理由を持つようにしているし、「電車もぼーっと乗っているな」と教えられたから、街を歩く人のコーディネートも常に気にして「あの靴下の合わせ方可愛いな」と思ったら可愛いと思う理由を考えます。そういうこと全部がインスピレーションに繋がるから、自分の気持ちに耳を傾けることが自己ブランディングと呼ばれる話に繋がるのかもしれません。

20代まではとにかく、インプットの時間でした

堀田:他のブランドを意識することはありますか?
舟山:方向性が被らないようにと考えることもありますけど、そこまで気にしなくてもいいと思っています。というのは、私がデザインをしている限りは、何を作ってもちゃんとFETICOらしくなる自信がついたから。だからこれまで、ごくベーシックなTシャツみたいなものを全然作ってこなかったんですけど、今後はそういうものも出していきたいです。堀田さんは他の方と自分を比べたりしますか?
堀田:そういうときもあります。でも私は雑誌やバラエティ番組で培った経験からお芝居の世界に入っていて、その多様な経験は私独自のものなので、それを個性にできているのかなって。20代まではとにかくインプットの時期だったので「堀田茜らしさって何ですか」と聞かれることがあっても正直「そんなのない…」と思っていました。30代になってやっと“私はこういうのが好き。なんでこれが好きなんだろう”を自発的に考えられるようになった気がします。
舟山:30代になってようやくアイデンティティを出しやすくなる感覚、ありますよね。それまでは本当に勉強ばっかり。
堀田:本当にそうですよね。私はアイデンティティが確立されるより先に、いろんな仕事を経験してバックグラウンドが自然にできていって、その積み重ねの後に今の自分らしさを見つけました。だから、舟山さんのように、強い意思やアイデンティティがはじめからあって、道を作って、それに突き進んでいらっしゃる姿には憧れと尊敬があって。私もこれからはそうなりたいです。
舟山:子供の頃から行動力だけはあったのと、謎の自信があったから…というだけなんですけどね(笑)。でもそう言ってもらえてうれしいです。

何かを選択するたびになぜそれを選ぶのかを考え続ける。それが自分らしさになると思う

最終判断基準は”自分がどうなっていきたいか”

堀田:どんな服を着るかも、自分らしさのひとつですよね。…とか言って、私は朝起きて心が強くない日はとりあえずラクなスウェット着ちゃいますが(笑)。
舟山:わかります。私もコスメを選ぶのはそんなに得意ではないので、パーソナルカラー診断を参考にしたりしますよ。でも、モノを選ぶときの最終判断は“自分がどうなりたいか”で選びたいし、服もそう選んでほしいですね。イギリスへの留学などを経て、人からどう見られているかは気にしないけれど、“人に自分をどう見せたいか”は意識するようになりました。
堀田:あれこれ考えた結果、自分として理想的なコーディネートが仕上がったら自己肯定感も上がります。舟山さんはFETICOのお洋服を買う人に、どんな風に着てほしいと考えていますか?
舟山:自信を持ちたい日に着てほしいです。服の一番の良さは、気分を変えられることだと思うので。
堀田:FETICOのお洋服、本当にそういうときにぴったりです。この間、事務所の社長とブルーノートに行く晩食があり、服に迷って、FETICOのセットアップを着て行きました(笑)。服って本当に、気分を変える力がありますね。ファッション誌の撮影でもドラマの現場でも、衣装からそのキャラクターがイメージできるし、生活背景まで感じられるんです。だから、自分が何を着るかも絶対に大事。着るものでいかようにも、自分が変わるはず。
舟山:それだけのエネルギーがありますよね。買物もそう。ちょっと落ち込んでいるときでも、お気に入りを見つけた瞬間に元気が出る。自分を励ます行為なんだと思います。
堀田:今後、FETICOをどうしていきたいと考えていらっしゃいますか?
舟山:立ち上げて5年、まだまだ目の前のことに必死で手探りですけど、小さくてもいいから、ブランドの世界観を体験できる空間を作りたい。何より関わってくれている人の生活をよくしたい。パリでの展示会と撮影も続けているので、海外での活動も広げられたらいいですね。
堀田:今日舟山さんとお話しして、自分らしさや好きな世界観を作ることって自分を信じることから始まるのだなと感じました。私も、過去のどんな経験も自分らしさに繋がっていると感じます。失敗も挫折も全部意味がある。
舟山:本当にそう思います。嫌だったことも、後から振り返ると全部糧になる。だからこそ、迷っても自分の感覚を信じて進むのみです。

対談したのは…

舟山 瑛美
ふなやまえみ●高校卒業後に渡英。帰国後にエスモードジャポン東京校入学、2010年卒業。コレクションブランドのデザイナーなどを経て、2020年に独立、「FETICO」をスタート。2022年に「JFWネクストブランドアワード2023」と「東京ファッションアワード2023」、2025年(第43回)毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞を受賞。

堀田茜
ほったあかね●モデル、俳優。1992年10月26日生まれ、東京都出身。CLASSY.をはじめ多くの女性ファッション誌、ドラマに出演。「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ)レギュラー。『ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-』(J-WAVE)ナビゲーター。2024年4月に結婚。

[茜]ニット¥31,900(マサコテラニシ/アプレドゥマン)ボウタイ付きブラウス¥20,900(クード シャンス/ワールド プレスインフォメーション)イヤリング¥18,900(アビステ) ※舟山瑛美さんの衣装はすべて本人私物です

撮影/イ・ガンヒョン スタイリング/大野由加里[茜さん分] ヘアメイク/TONOE 取材/野田春香 編集/小林麻衣子 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2026年1月号「堀田茜のほったらかしにしたらアカン!」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。