ストレスでお腹が痛くなるのはなぜ?原因と予防のためのセルフケア5選[医師監修]
「ストレスがたまるとお腹が痛くなる」「緊張する場面でお腹が痛くなって辛い……」などの悩みを抱えていませんか? 腹痛は胃腸だけの問題に見えて、実は心の負担と深く結びついていることがあります。ストレスでお腹が痛くなる理由や対処法、予防のためのセルフケアを紹介します。
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1.ストレスで腹痛が起こるのはなぜ?
ストレスによる腹痛の背景には、自律神経の乱れが関係しています。自律神経は体を緊張・興奮状態にする交感神経と体を休息状態にする副交感神経の2つからなり、両者がバランスをとりながら血圧や呼吸、消化吸収などの働きをコントロールしています。
ストレスがかかると交感神経が優位になり自律神経のバランスが崩れがちに。これにより胃や腸の働きまでもが乱れてしまい、胃酸の過剰分泌や腸の過活動などが引き起こされてしまうのです。その結果、キリキリした腹痛やお腹の張り、下痢、胃もたれなどにつながることもあります。
2.ストレスによって起こる胃腸の不調
ストレスをきっかけに起こりやすい胃腸の不調には、主に以下が挙げられます。
■機能性ディスペプシア
■過敏性腸症候群
■胃・十二指腸潰瘍
機能性ディスペプシアは検査では異常が見つからないけれど胃痛や胃もたれなどが続く病気です。過敏性腸症候群は、6ヶ月以上にわたって腹痛や腹部不快感が起こります。どちらもストレスによる胃腸の働きの乱れが深く関係しています。
胃・十二指腸潰瘍は主にピロリ菌によって起こりますが、ストレスが発症や悪化の要因になる病気です。
このように、ストレスが引き金となって起こる病気は様々あるため、気になる場合は医療機関を受診しましょう。
3.ストレスによる腹痛が起きた際の対処法
ストレスによる腹痛が起きた際には、無理に動かず、衣類の締め付けをゆるめて楽な姿勢をとりましょう。お腹を冷やさないよう温かくして安静に過ごすと、胃腸に負担をかけにくくなります。
あわせて、鼻から吸って口からゆっくり吐く腹式呼吸を数回するのも効果的です。自律神経は無意識に働いているものですが、腹式呼吸は自律神経を刺激して副交感神経を優位にする働きがあります。無理に痛みを抑え込むのではなく、心身の緊張をほどくことを意識しましょう。
4.ストレスによる腹痛を防ぐセルフケア
ストレスによる腹痛を防ぐには、ストレスを軽減して自律神経を整えることが重要です。今日からできるセルフケアを紹介します。
①消化の良いものを摂る
胃腸が敏感なときは消化の良いものを摂ることが大切です。おかゆやうどん、鶏胸肉、白身魚、豆腐など、消化しやすく胃腸に負担をかけないものを選びましょう。また、柔らかく煮た野菜もおすすめです。
逆に、脂っこい食事や香辛料、アルコール、コーヒーなどは胃腸を刺激したり交感神経を優位にしたりするため注意が必要です。これらの食材はできるだけ控えましょう。
②瞑想をする
心身をリラックスさせるために、瞑想をするのもおすすめです。瞑想というと難しそうですが「今の呼吸に意識を向ける」だけでも十分です。
気軽にできる瞑想法の一つとして、マインドフルネスが挙げられます。マインドフルネスでは「今この瞬間」へ注意を向けることで心を落ち着かせます。
マインドフルネスを実践する際には、椅子に座って背筋を軽く伸ばし、呼吸だけを数える方法から始めましょう。頭の中に雑念が浮かんでも無理に消そうとせず、呼吸へ意識を戻すのがコツ。初めは数分から始め、徐々に時間を延ばしましょう。
③休む時間を確保する
睡眠時間やリラックスタイムを確保して、心身を休める時間を確保することも効果的。睡眠不足が続くとそれ自体がストレスになり、自律神経の乱れを引き起こす悪循環を生みます。
就寝前には仕事などのストレスの元となることは考えないようにし、照明を落とした部屋で深呼吸やストレッチなどをして休むための時間を意識して作りましょう。睡眠の質が高まることで心身が休まり、自律神経が整いやすくなります。
④スケジュール管理を見直す
スケジュール管理を見直すことも効果的です。予定が詰まりすぎていると、気づかないうちに「間に合わないかも」という緊張が積み重なりストレスになります。タスクに優先順位をつけて必要な時間を見積もり、あらかじめ余白を入れておくと、不安は軽くなりやすいものです。
完璧を目指して予定を埋めるより、途中で休める隙間を残すことが、結果的に精神的なストレスの軽減につながります。予定が詰まりがちという場合は、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
⑤漢方薬を活用する
ストレスによる腹痛が気になるなら、漢方薬を活用するのも一つの手。漢方薬は自然由来の生薬を複数組み合わせて作られています。体質から改善するため、腹痛が起きにくい体づくりに役立ちます。
ストレスによる腹痛には「胃腸の働きを回復する」「胃酸の分泌を整える」「自律神経のバランスを整える」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
<ストレスによる腹痛におすすめの漢方薬>
・安中散(あんちゅうさん)
胃腸を温めて、胃酸の過剰分泌を抑えることでストレスによる胃痛や胃もたれ、胸やけなどを改善する漢方薬です。もともと胃腸が弱い人や体力があまりない人に用いられます。
・半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
胃腸を温め胃腸の動きを整えるとともに、炎症を鎮めてストレスによる胃痛やむかつきなどを改善する漢方薬です。お腹がゴロゴロしてみぞおちのつかえ感がある人に用いられます。
漢方薬の効果を得るには、体質や症状などをもとに自分に合うものを選ぶことが大切。どのように選べばよいか分からないなら、専門家に相談するのが安心です。自己判断ではなく、医師や薬剤師などの専門家に相談してセルフケアに取り入れましょう。
【ストレスによる腹痛に関するQ&A】
Q.腹痛の原因となるストレスにはどのようなものがありますか?
仕事のプレッシャーや人間関係、将来への不安など、精神的なストレスだけではなく、生活習慣の乱れによる身体的なストレスも関係しています。たとえば、睡眠不足や生活リズムの乱れ、飲酒・喫煙などの習慣がストレスとなっていることがあります。
Q.ストレスによる腹痛に効果的な市販薬はありますか?
ストレスによる腹痛には市販薬が一時的に役立つことはあります。ただし、痛みが起きているのが胃や腸のどちらか、どのような症状があるかなどによって合う市販薬は異なります。購入時は薬剤師や登録販売者に、痛む場所、下痢や便秘の有無、症状の強さなどを伝えて、説明書をよく読んで服用しましょう。
Q.ストレスによる腹痛は病院に相談したほうがいいですか?
ストレスによる腹痛は一時的で自然に治まることもありますが、繰り返したり慢性的に続いたりする場合は受診がおすすめです。特に体重の減少や嘔吐、我慢できない強い痛みなどがあるときは病気の可能性があるため早めに相談しましょう。内科や消化器内科のほか、ストレスの影響が強いと感じる場合は心療内科も選択肢の一つです。
<参考文献>
北條麻理子,渡邊純夫「ストレスと消化器疾患」順天堂医学.2010,56,P.537〜542
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか
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