堀井美香さん54歳、メンタル不調から「数日間カプセルホテルに…」更年期の限界ピークの乗り越え方

更年期は誰にでも訪れるもの。「更年期という札を貼ってもらえてメンタル不調が上向くきっかけとなった」と話す、アナウンサー堀井美香さんのお話は、いつか来る変化に対しての不安を軽くしてくれます

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堀井美香さん profile

1972年3月22日、秋田県生まれ、54歳。1995年、TBSに入社し、2022年からフリーランスに。現在はフリーアナウンサーの仕事に加え、朗読会や音楽会のプロデュース・出演や演劇活動など幅広く活躍中。様々なポッドキャストで聴ける『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』も根強い人気。Instagram(@horiimika2022)も好評。


涙が出たり やる気レスで動けない──

私の更年期症状はおもにメンタルの不調(*1)でした。2020年くらいに始まったのですが、朝起きても何もする気が起きず、理由もなく悲しくて絶望感でいっぱいになってしまうこともたびたび。考えても仕方のないことが頭の中を堂々巡りします。この世のあらゆるものの存在を否定してみたり、疑ってみたり。メンタル不調のピーク時は、高校生の息子が塾を休んだことでかなり感情を取り乱し、夫に「しばらくの間、一人でホテルに滞在してみてはどうか」と提案され、数日間カプセルホテルに泊まったこともありました。ホットフラッシュや動悸など、一般的によくある更年期症状はなく、メンタルが落ちこむ日が周期的に来るパターンの更年期でした。今はその周期がだんだん摑めてきて、2〜3日不調が続いた後は回復するはず、などとサイクルが予測できるようになりました。

【*1・メンタルの不調】

閉経前後は女性ホルモンの急激な減少により、自律神経が乱れることが。不安定さを感じたら婦人科の更年期外来で相談するのがおすすめです。

メンタルダメージは HRTのジェルで対応

— TBSを退社し、フリーランスに転向後、朗読会や音楽会のプロデュース・出演や演劇活動など幅広く活躍している堀井美香さん。親近感のあるお人柄と多彩な活動で、まさに輝く50代のお手本とも言える堀井さんは、今もときどき不定愁訴の症状に悩まされているそう。

私の周囲には60代、70代の先輩方も多く、更年期というものは誰にでも訪れるものであり、症状は多種多様だということは聞いていたので、それほど慌てることも恐れることもありませんでした。症状が出始めて婦人科の更年期外来で血液検査をしたところ、ホルモンの値は正常でした。そのうえで先生に「アンチエイジングのためにも、経皮ジェルなどはおすすめです」と言われて、経皮吸収エストラジオールの「ル・エストロジェル」を使っていた時期がありました。女性ホルモンに働きがよく似ているエクオールサプリメントと経皮ジェルを併用しながら、メンタル不調の波をなんとかコントロールできた気がしています。今はジェルはあまり出番がないのですが、調子が崩れてもこれがあれば大丈夫、と思えるお守りのような存在でいてくれるので助かっています。

いちばんの底は抜けたかもしれませんが、先のことはわかりません。でも婦人科でホルモン検査をしたりジェルを処方してもらったりすることで「更年期という札を貼ってもらえた」のが、精神面が好転するきっかけとなりました。原因がわからない落ち込みではなく、はっきりと「あなたは更年期です」「不調は女性ホルモン減少のせいです」という診断が下されて、トンネルの先に光が見えたような感じです。ホルモンのせいで更年期があるなら、この時期を逆にチャンスと捉えて、自分をリニューアルしていけばいいのではないか、と気づかせてもらえた。今は、生活や生き方を変えるきっかけを与えてもらったような気分です。ホットフラッシュなどはないとはいえ、肩こりや冷え、手の痺れなどは少々ありますので、メンタルの波とうまく付き合いながら、身体面の変化にも今後気を付けていきたいですね。

無理矢理にでも 予定を作り 「スイッチ」に

— 「何もやる気がしない」から1日が始まることもあったという堀井さんですが、「不調を、自身の体調や生活習慣を見直し立て直すきっかけにする」という考え方は目からウロコ。置かれた状況を逆手にとって健康管理に生かすやり方は参考になりそうです。

心身の健康維持のために、体に入れるものは大切だと思うので、タンパク質やアミノ酸は日々、意識してきちんと摂るようになりました。1日50グラムを目標に、オイコスやザバスのヨーグルトやドリンク、アミノバイタルなどを積極的に取り入れています。パンは好きなのですが、ご飯や麺などの炭水化物は、あまり多くの量を食べられないので、食べる時には美味しいものを厳選していただきます。お米は断然、サキホコレ派。ふるさと秋田県のお米・サキホコレは、粒も美しく、深い甘みがあり、冷めても美味しいのが特徴。サキホコレを時々少しだけいただくのが贅沢な時間です。あとはミズナやワラビなどの山菜や、ぎばさや岩のりなどの海藻、麹など、秋田の長生き高齢者たちが日常で食べているものが最高の食事なのではと思うようになって意識して摂るようにしています。

とはいえ、実は甘いものが大好きで、起きてすぐ食べることもあれば、一日中食べることもある超甘党。取材で糖化年齢を測ってもらったら67歳と出てしまいました。糖化年齢というのは、一度上がると、いくら甘いものを制限しても下がらないらしく、これ以上上がらないよう気をつけるべきなのですが、どうしても甘いものはやめられません。でも美味しいケーキなどをチェックする時間はいいドーパミンが出ていると思うので、これはこれで健康に良いかなと思っています。

ジェルやサプリメント以外の更年期対策として、よくウォーキングをしています。皇居、銀座、日本橋周辺を夜遅くに歩いて朗読の暗記をしたり、オーディブルを聴いたりするのは、有酸素運動と仕事の一石二鳥。筋トレやピラティスなどは全くやっていないので(笑)、とにかく時間を作って歩くようにしています。

また、目標がないとやる気レスに陥りがちな自分をよく知っているので、常に長いスパンで取り組む仕事を作るようにしています。何もないとサボりがち(笑)になりますが、やり遂げなければならない目標があると、怠けグセよりも責任感の方が勝ります。例えば、朗読劇をする場合、2年先の劇場予約になるので、少なくとも2年後の公演に向けて日々準備をしなければなりません。それに向かって動くことで、自分を鼓舞することができる、そんな仕掛けを作ってやる気を停滞させないように心がけています。朗読劇や演劇の本番のための準備も、パワーの源かもしれません。図書館を拠点にして、一日中本を探したり読んだり、またはカフェに行ったりする日をスケジュールに入れるようにしていますね。その日がいつも待ち遠しく、他のお仕事も頑張れる、好循環になっています。

フリーになって始めた本の読み聞かせや、駄菓子カーで施設をまわったり、お弁当の配達、点字の音訳などのボランティア活動にも力を入れ始めました。それらの活動は全部楽しくて、私自身が力づけられる、そんな気がしています。ピアノや着付けといった習い事も続けており、仕事のインプットとアウトプット、ボランティア、趣味の習い事、これらのバランスを取るように心がけると、メンタルも比較的安定するような気がします。

また今、海に近い自然の中に小さな仕事場を作っています。私たち夫婦と職人さんとで建設している家です。その場所に通って、無心で木を切ったり片付けたりすることも気分転換になっている気がします。

更年期は誰にでも訪れるもので、ホルモンのせいで起こる「人生後半の思春期」のようなもの。私は更年期を感じたことで自分と向き合うことができました。50歳前後のこの時期に起こる変化から目を背けるのではなく、自分を見直す絶好のチャンスと考えることで、50代以降をもっと豊かに楽しんでいける、そう思っています。

カーディガン¥22,000ニット¥19,800スカート¥27,500(すべてAMACA/SANYO SHOKAI)イヤリング¥46,200リング(左手)¥305,800(ともにMARIHA)バッグ¥66,000(CULLNI/CULLNI FLAGSHIP STORE)その他スタイリスト私物

撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/藤原リカ(スリーピース)スタイリスト/片山沙織 取材/柏崎恵理 ※情報は2026年5月号掲載時のものです。

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