政井マヤさん、思いつきの湘南移住。大ブーイングの家族を「アリかも…?」に変えた方法

元フジテレビアナウンサーの政井マヤさん。俳優・前川泰之さんと結婚し、3人の子どもに恵まれた5人家族です。マヤさんが30代40代と歩んできた道のりには、今、多くの人が直面する悩みと重なるテーマがありました。子どもの“不登校”、自身の“更年期”、そしてコロナ禍での“都内から湘南への移住”。それぞれの局面で、夫婦としてどんな選択をし、家族としてどう支え合ってきたのか。
自分ひとりで抱え込まず、家族を巻き込みながら前に進んでいく——。起きた出来事を「どう向き合い、どう選ぶか」という問いへと変えていく、その姿勢に迫ります。

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“海の近くに住みたい”は、私の思いつき。家族の反対から始まった移住計画

2020年から始まったコロナ禍の中で、ふと、「海の近くに引っ越したいな」と思ったんです。本当に、何気ない私の思いつきでした。あの頃って、やっぱりどこか息が詰まるような感覚があって。家にいる時間が長くなって、気づかないうちにストレスも溜まっていました。下の息子もまだ幼稚園前だったので足音も気になる時期で、「そろそろ引っ越そうか」という話自体はぼんやり出てはいたんですけど、なかなか具体的には動けずにいて。そんな中で、公園にもあまり行けないし、ずっと家にいる時間が増えていき、ふと、昔から通っていたおばのいる湘南の海が、すごく恋しくなったんです。

「ああ、私こんなに海が好きだったんだ」って、自分でもちょっと意外で。それまで、そんなふうに思ったことはなかったのに。でもあのコロナの、独特の空気感だったからこそ、海の近くに住みたいっていう気持ちが、すっと自分の中に浮かんできたんだと思います。ただ、それを家族に話した時は、本当に「え?」っていう反応で(笑)。

夫も「それはさすがに遠いよ」っていう感じでしたし、娘にも「ママ、海似合わないじゃん。いつも海に行ってもマッサージチェアから動かないのに」って言われて(笑)。家族のそんな反応をよそに、それでも「とりあえず一回見に行こうよ」って、いくつか物件の内覧に行くことにしたんです。でも、その道中も、正直かなり大ブーイングで。車内はずっと微妙な空気で「本当に行くの?」みたいな雰囲気のまま現地に向かったのを、今でもよく覚えています。

「ありかもね」の一言で、現実味を帯びてきた移住

半ば強引に付き合ってくれたモデルルーム。車の中の空気は相変わらず、少し重たくて、みんな半信半疑の状態だったのですが、実際にその場所に行ってみて、帰りには、海で子どもたちを遊ばせていたんです。何気ない時間だったんですけど、子どもたちはすごく楽しそうで、私も「ああ、やっぱりいいな」って思いながら見ていました。

そしたらその時に、夫がぽろっと、「…ありかもね」って言ってくれて。「えっ?本当にいいの?」と私の方が驚いてしまうくらいで(笑)。あんなに反対していたのに、っていう驚きもありつつ、でもすごく自然に、空気が少し変わった瞬間でした。そこからは一気に「じゃあ湘南のどこがいい?」っていう現実的な話に進んでいって。本格的に家探しが始まりました。振り返ると、頑張って説得したわけではなくて、「とりあえず一緒に行ってみよう」「同じ景色を見てみよう」っていう時間を持てたことが大きかったのかなと思います。言葉で説明するよりも、その場の空気や子どもたちの様子を一緒に感じたことで、少しずつ気持ちが動いていった。あの時は、そんな感覚でした。

空と海に包まれて暮らす——移住して気づいた、心が満たされる日々

実際に暮らしてみると、都内とは全然違いますね。空がすごく広くて、海も気軽に見に行けるし、富士山が見える日もあって。なんだかまず、私自身がすごく癒されているなって感じています。
夫はもともとアウトドアな人なので、焚き火をしたり、釣りをしたり、すごく楽しんでいて。すぐにこの環境に馴染んでいきました。子どもたちは最初、「原宿が遠くなる」とか「タピオカ屋さんがない」みたいな感じで(笑)、やっぱり都会の方がいいって思っていたと思うんですけど、今はこういうライフスタイルもいいなって思ってくれているんじゃないかな。

正直、子どもが3人いて生活の拠点を移すのは大変でした。周りからも「大変だったでしょう」とよく言われるんですけど、実際は、それまでのマンション暮らしから初めて家を建てる経験でもあったので、間取りや内装を考える時間がすごく楽しくて。東京にいた頃にはなかなかできなかったことだったので、その過程も含めて、移住してよかったなと感じています。暮らし自体も、1年くらいで自然と馴染んでいきました。
それまでは、「仕事が終わったら、すぐ帰れる場所に住まなきゃ」と思っていて、都心にいることしか考えていなかったんです。でも今は、通勤に時間がかかったとしても、それ以上の豊かさを、この暮らしの中で感じています。

移住してからは仕事の形も少し変わって。これまでは「都内に通って仕事をするもの」と思い込んでいたんですけど、茅ヶ崎にFM局が開局するのに合わせてメインパーソナリティとして声をかけてもらい、思いがけず湘南でのお仕事も始まりました。新しい場所で、また違う形で人とつながっていけることもすごく新鮮で。地域の方との出会いも増えて、生活そのものが広がっていった感覚があります。

たまに東京に行くと、よくここで暮らしてたなって思うくらい、すっかり湘南のゆったりした空気に慣れてしまいました。この暮らしを選んでよかったなって思います。ただ、これから先もずっとここに住むと決めているわけでもなくて。またどこか違う場所に住みたいと思うかもしれないし、海外に住んでみたい気持ちもあります。あまり決めつけずに、その時々で選んでいけたらいいなと思っています。

本当に、私の思いつきから始まった移住でしたが、こうして振り返ると、家族が一緒に動いてくれたからこそ、今の暮らしがあるんだなと思っています。あの時、一緒に来てくれて、一緒に見てくれて、少しずつ気持ちを重ねてくれたことに、とても感謝しています。

政井マヤさんProfile

元フジテレビアナウンサー。2000年代に情報・報道番組を中心に活躍し、知性と柔らかさを併せ持つキャラクターで人気を集める。退社後はフリーアナウンサーとして活動の幅を広げ、テレビやイベントMC、講演など多方面で活躍。俳優・前川泰之さんと結婚し、3児の母。
現在は、湘南エリアに拠点を移し、地元FM局でのパーソナリティとしても活動。地域に根ざした情報発信を通じて、新たな一面を見せている。

〈衣装協力〉デニムジャケット¥28,600(ELENDEEK) シャツ¥25,300 パンツ¥24,200(ともにプルミエ アロンディスモン/プルミエ アロンディスモン NEWoMan新宿) ベルト¥17,600(レフィエ/オブリオ) ピアス¥47,300(スキャット) リング[右手]¥23,100(LiiiNともにロードス) ネックレス¥27,500 バングル[2個セット販売]¥9,900 リング[左手中指]¥9,450(すべてアビステ) リング[左手薬指](本人私物)

【ショップリスト】
アビステ 03-3401-7124
ELENDEEK 03-6853-0100
プルミエ アロンディスモン NEWoMan新宿 03-3226-5551
ロードス 03-6416-1995

撮影/中田 陽子 ヘア・メーク/渡辺 みゆき スタイリスト/田中 梨奈 取材/日野 珠希

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