その演技に、目が離せない!黒崎煌代さん(24歳)「40代って楽しくて美味しそうな役がたくさん。 だから、40代を目標に頑張ります!」
NHKの朝ドラ「ブギウギ」のオーディションで演技未経験ながら主人公・鈴子の弟、
六郎役を勝ち取って俳優デビューし、同年には映画出演を果たした後にもオファーが絶えず、
彗星のごとく現れ、3年間で大きな存在感を現わす黒崎煌代さん。
現在Netflixで配信中の『九条の大罪』や「月9」ドラマで放送中の「サバ缶、宇宙へ行く」でも、
「演技が上手いこの子は、何者……?」「その演技に、目が離せない!」など話題に。
さらには、カンヌの映画祭で日本人初の主演女優賞を獲得した映画『急に具合が悪くなる』でも、
作品の重要なキャラクターとして登場。
なぜ、僅か3年で世に“気になる存在”となり得たのか――?
その理由が知りたくて、インタビューを決行!
「知りたい!」と思う純粋な気持ちから、たくさんの情報を得てインプットする、
その柔らかな吸収力こそが、理由だと感じられました。
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「知りたい」と思い、知的障害のある方々の施設を訪ねました
知的障害のある青年を演じた『九条の大罪』に続き、カンヌで脚光を浴びた
『急に具合が悪くなる』では重度の自閉スペクトラム症の少年・智樹を演じました。
パリ郊外を舞台に撮影された映画は、現地の俳優さん達が多く出演し、フランス語と日本語が
交互に飛び交う物語の中、僕が演じる智樹は発する言葉はほとんどなく、
体自体、動きの一つ一つが彼の言葉となります。
僕自身、当事者ではないことから、自閉症に関して知らないことだらけで。
オーディションの段階から、監督やプロデューサーの方々と
そういった障害のある方々の施設を訪ねたんです。
それで、とにかく「知りたい」と思い、障害のある方の関係者にインタビューして、情報を集めました。
次に、自閉症の方の心の内側が知りたくなって、作家の東田直樹さんが書いたエッセイ本
「自閉症の僕が跳びはねる理由僕が飛び跳ねる理由」を読みました。
「なぜ目を見て話さないのか」「なぜ同じ質問を繰り返すのか」「なぜ跳びはねるのか」といった、
周囲から理解されにくい自閉症者の行動の理由や内面の感情を58のQ&A形式で明快に解説した本です。
その本を読んで、実は自閉症の方は感情を上手く外に出せないだけで、
僕と考えていることは変わらないんだな、と思ったんです。
「自分たちと違う」と思うのは、見る人がそういった目で見ているだけ。
そうやって、僕なりに情報を集めて、監督と長い時間をかけてキャッチボールして、
工夫して発声や動きを作っていきました。
でも、演じることにおいて、僕が演じた“智樹”と僕自身を切り離すことはできません。
だから、「僕の感覚」というものも諦めることなく、4~5ヶ月かけたリハーサルの中で、
僕の感覚と“智樹”の感覚をすり合わせて、シンクロできるようにする、という作業を
長い時間を割いて続けていました。
その結果、介護施設の入居者の方々たちと足を触り合ったり踊ったりするのを、
智樹が「楽しい」と感じていたように、僕も「ああ、楽しい!」と実際に感じていました。
僕が楽しければ、“智樹”も楽しいと映し出される、
“演じる”ってそういうことじゃないかなと、今、感じています。
俳優デビューして3年で、フランスですごい俳優さん達と演技ができたことは、
僕にとっては、宝物のような時間。
フランスの俳優さん達は、ものすごくレベルが高いんです。
映画自体も、彼らが引っ張ってくれたという感覚がありました。
介護施設の入居者役として出てくださっている方々も、一人一人にその人の
人生が現れるような演技で。本当にすごかったです。
メインキャストではないは日本人だけれど、彼ら抜きにはこの映画は決して成り立たない。
完成した映画を観て、こんなにレベルの高い映画に参加できて本当に嬉しいな、と思いました。
20年後、40代で役を手にするために、ふわふわなんかしてられません!
フランス人の方々もそうですが、今回共演させていただきカンヌで主演女優賞にも輝いたお二人、
ヴィルジニー・エフィラさんや岡本多緒さんといった40代の大人女性は本当に頼りがいがありました。
お二人には、共通して“強さ”といったものを感じました。
芯が通っているというのでしょうか。
だから、一緒に演じていて、何だか安心するんです。
それに、エフィラさんといい、多緒さんといい、今の40代の女性は美しくて魅力的ですよね。
僕と同世代の女性が、20年後にあんなに逞しくなるのだとしたら、僕も負けないように
頑張らなくちゃ!と思います。
一方で、今回ご一緒させていただいた長塚京三さんといい、今、月9ドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』で
ご一緒するしている北村匠海さん、Netflixドラマ『九条の大罪』でご一緒した柳楽優弥さんといい、
先輩俳優さん達の存在感はすごい。
きっと、ふわふわしていたら、あんなふうにはなれないと思います。
毎年毎年、いや毎日毎日、重ねているものがあるから、あの位置にいれるのだと感じます。
きっと、情報をインプットされる努力を怠らず続けていらっしゃるに違いありません。
僕は最近、先輩俳優さん達を仰ぎ見て、「40代って俳優にとって、何だか楽しくて
美味しそうな役がいっぱいあるな」って思うんです。
だから、そこに向けて頑張らなくちゃって。
きっと、必要とされる俳優でい続けることが、一番難しいことですから。
今、僕のいちばん大きな目標は、「なるべく長く日本の映画、映像業界に関わっていくこと」なんです。
だから、日々の努力を欠かさず、情報をインプットしていかないと。
今は、10代の頃のように無限に時間はないけれど、お風呂の時間や移動時間だって無駄にせず、
スマホでたくさんの作品を見ています。
そうしたら、先輩たちがいる位置に少しでも近づけるんじゃないか、と思うから。
Kodai KUROSAKI
2002年4月19日生まれ、兵庫県出身。22年「第一回レプロ主役オーディション」に応募し、演技未経験ながら約5000人 応募の難関を勝ち抜き、同年に参加した23年後期NHK連続テレビ小説「ブギウギ」のオーディションにて、主人公・鈴子の 弟、六郎役を勝ち取り俳優デビュー。『さよなら ほやマン』(23/庄司輝秋監督)にて映画デビューも果たし、第33回日本 映画批評家大賞新人男優賞(南俊子賞)を受賞。近年の映画出演作は、主演作『見はらし世代』(25/団塚唯我)、『今日 の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(25/大九明子監督)、『アフター・ザ・クエイク』(25/井上剛監督)、『ストロベリー ムーン 余命半年の恋』(25/酒井麻衣監督)、『万事快調<オール・グリーンズ>』(26/児山隆監督)、『脛擦りの森』(26/ 渡辺一貴監督)など。昨年、第99回 キネマ旬報ベスト・テンで新人男優賞、第47回ヨコハマ映画祭で最優秀新人賞を受 賞。現在、ドラマ「サバ缶、宇宙へ行く」(CX)、「九条の大罪」(Netflix)が放映中。
『急に具合が悪くなる』
出演:ヴィルジニー・エフィラ 岡本多緒 長塚京三 黒崎煌代
監督:濱口竜介
介護施設で理想の介護の在り方を探求するマリー=ルーと、独創的な演劇の演出家でステージⅣのがん患者である真理。同じ名前を持つ二人が偶然に出会い、友情を超える絆を結ぶ魂の物語。世界三大映画祭すべての主要賞を獲得し、『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー賞国際長編映画賞に輝いた濱口竜介監督が、日本、フランス、ベルギー、ドイツによる国際共同製作で、初めて海外撮影を敢行慣行した作品。
6 月 19 日(金)TOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー
撮影/田頭拓人 取材・構成/河合由樹