中沢元紀さん「(鈴木)亮平さんと(黒木)華さんからいただいたお守りはいつも部屋の大事なものゾーンに飾っています」
演技にはストイックに向き合いながら、日常ではとことん自然体。そのギャップも魅力の実力派俳優・中沢元紀さん。今回は、人生で大切にしているものや、飾らず自分らしく生きる哲学まで、その素顔に迫ります。
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僕を“飾らない場所”へ戻してくれる 祖父からもらった大事な一冊
My top pick A BOOK from my grandfather
『菜根譚 エッセンシャル版』
(洪自誠/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
日々の中で時折読み返しては、気づきを得ている一冊。さまざまな教えが書いてあり、役者としてのヒントをくれます。欲や迷いを手放し、素の自分にリセットしてくれる存在です。
理想は、立っているだけで 生き様が見えてくる芝居
『菜根譚』を初めて読んだのは、朝ドラ『あんぱん』の撮影中でした。おじいちゃんが40歳くらいの頃に読んだらしくて、それを僕にと新しく買って送ってくれたんです。いろんな人生訓が書かれているのですが、中でも刺さったのが、「飾らずに生きる」という一文でした。僕が目指す究極の役者像は、ただそこに立っているだけで役として生きているように見える人。あれこれと足すんじゃなくて、引いて、引いて、最後に残ったもので役の生き様が見えるようなお芝居がしたいと思っています。そう考えるきっかけになったのが、『下剋上球児』でご一緒した(鈴木)亮平さん。第9話で松平健さん演じる恩師と対峙する場面があるんですけど、亮平さんの顔が生徒にしか見えなかったんですよね。あのシーンを観たときに「これだ」と思いました。亮平さんや(黒木)華さんはいつも役として生きてきた。いつかお二人みたいな芝居がしたい。僕の理想です。
この間もかつ(兵頭功海)の家に『下剋上球児』のメンバーで集まりました。僕は仕事があったので遅れて行ったんですけど、着いたらみんなで『下剋上球児』を観てたんです(笑)。「恥ず!」と思いながらも「ここの表情いいよね」って話したり。途中で虎(小林虎之介)が「今から亮平さんにテレビ電話しようぜ」って言い出したんですが、さすがにそれは「出るわけないだろ」ってかつが止めました(笑)。
〈モデル衣装〉デニム¥49,500(ニードバイヴィンテージ/ゲストリスト)サンダル¥36,300(ニードルズ/ネペンテス)その他スタイリスト私物
穏やかに見えるらしいでも、 負けたくない気持ちはある
亮平さんと華さんからいただいたお守りは、いつも部屋の大事なものゾーンに飾っています。華さんのお守りは劇中で使われたものですが、全部華さんの手作り。すごく時間がかかったと思うんですけど、芸歴の浅い僕たちに役者としての背中を見せてくださったんだと思います。だから僕も『ひだまりが聴こえる』ではノートは全部自分で書くようにしていました。そっちの方がちゃんと想いがこもる気がして。すべての作品で同じようにすることは難しいけど、できる限りそうしたいなと思っています。いつか亮平さん・華さんとまた共演することが僕たち球児全員の目標。たぶんみんな心の中で誰が一番先に再共演できるか競っているんじゃないかな。僕も、もっとキャリアを積んでからまたご一緒できたらという気持ちもあるけど、誰かに一番をとられるくらいなら僕が一番に再共演したい。そこは譲りたくないです(笑)。
同世代への対抗心は、普段表に出すことはないけど、心の奥にはちゃんと持っています。僕はライバル心をマイナスなものだと考えていなくて。むしろもっと頑張らなきゃってプラスのエネルギーになる。たとえば『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』で共演した水上(恒司)くんは同い年ですが、座長として常に周りに気を配っていた。ああいう動きは今の僕にはまだできない。すごいなと思う反面、負けたくないという闘争心に火がつくきっかけにもなりました。『あんぱん』の撮影中に、(北村)匠海さんから「次は(高橋)文哉や元紀の世代がこの業界を盛り上げてほしい」と言ってもらったことがあって。同世代で刺激を与え合いながら、もっと成長していきたい。僕の中で20代で飛び抜けた活躍をした先輩というと、菅田(将暉)さんなんです。いつか僕も菅田さんみたいにすさまじい役者が出てきたと言われるようになりたいという野望はあります。
たぶん、役者って みんなMなんだと思います
撮影期間中は、いつも頭の中は役のことでいっぱいです。時には、寝ている自分までカメラに撮られている、なんて夢を見ることも。役に入り込みすぎることに怖さを感じる反面、それだけ没頭できていることへの喜びもある。たぶん役者ってMなんだと思います。どこまで役と一体になれるか。そのギリギリを攻めたいなって。
でもだからこそ、心を無にする時間を持つことが大事で。僕が一番リフレッシュできる場所は、仙台のおじいちゃんの家。子どもの頃から休みになると、家族みんなで遊びに行ってました。書き初めしたり切り絵を教わったり、楽しい思い出しかない場所。自然豊かで、家と家も離れているから、大声を出しても誰にも怒られない。子どもの頃はよく弟と大声をあげて遊んでいました(笑)。
今年のお正月もおじいちゃんの家に行きました。おじいちゃんは僕のファンクラブ仙台支部みたいなのをつくっていて、周りの方たちに僕のことを布教してくれているみたいで(笑)。ちょっと照れくさいけど、そうやって応援してくれているのが嬉しいです。おじいちゃんは元校長先生で、家のいたるところに本棚がある読書家。ふざけるのも好きで、まさに飾らずに生きている人。僕も、役者としても、人としても、飾らずまっすぐに生きていきたいです。
PROFILE
◼︎中沢元紀(なかざわもとき)
2000年2月20日生まれ。ドラマ『下剋上球児』で鮮烈な印象を残し、W主演作『ひだまりが聴こえる』での表現力も大きな話題に。'25年にはNHK連続テレビ小説『あんぱん』での大役を経験しその確かな実力を世に知らしめた、今もっとも注目したい若手俳優。
〈モデル衣装〉メッシュジャケット¥31,900(プレステージ アパレル)パンツ¥35,200(ディスカバード)スニーカー¥19,800(カルフ/シードコーポレーション)その他スタイリスト私物
撮影/久野美怜 ヘアメイク/速水昭仁 スタイリング/田中トモコ 取材/横川良明 構成/真野まよい 編集/宮島彰子 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2026年7月号「~彼を構成する、愛すべきモノ~MY ESSENTIALS」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。
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